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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

テラ株式会社

「樹状細胞ワクチン療法」を中心としたがん治療技術・ノウハウを提供

事業内容:樹状細胞ワクチン療法等の研究開発、技術・ノウハウの提供、再生医療の研究開発
本社所在地:東京都千代田区麹町4-7-2 サンライン第7ビル7階
URL:http://www.tella.jp/ 設立年:2004年
株式公開年:2009年 市場名:JASDAQ NEO
資本金(設立年):10百万円 資本金(2008年12月期):247百万円
売上高(設立年):0百万円 売上高(2008年12月期):546百万円
従業員数(設立年):1人 従業員数(2008年12月期):17人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ユーテック一号投資事業有限責任組合(株式会社東京大学エッジキャピタル)

事業概要

東大医科研の研究成果をもとに起業

テラ株式会社(以下、テラ)は、東京大学医科学研究所(以下、東大医科研)のがん治療技術に関する研究成果である「樹状細胞ワクチン療法」に基づいた新たな医療支援サービスを提供することを目的として、2004年6月に設立された。

「樹状細胞ワクチン療法」とは、免疫療法のひとつであり、樹状細胞にがんの特徴を持つ物質(がん抗原)を認識させ、その樹状細胞を患者の体内に戻すことで、リンパ球にがんの特徴を覚え込ませ、がん細胞のみを狙って治療する方法である。

東大医科研の臨床研究では、患者自身のがん細胞を使って樹状細胞にがんの抗原情報を覚え込ませていたが、がんの手術後に治療を希望する患者も多く、そのような患者は自身のがん細胞を入手することが困難であった。この問題を解決する必要性もあり、テラは、徳島大学口腔外科講師岡本正人氏(現テラ取締役)が開発した樹状細胞をがんに直接注入する技術や、大阪大学大学院教授杉山治夫氏が発見したがんの人工抗原「WT1ペプチド」を樹状細胞ワクチン療法に応用する独占的権利を取得し、独自の「樹状細胞ワクチン療法」を確立した。

アイマックスがん治療への発展

テラは現在、「樹状細胞ワクチン療法」を中心として、化学療法、放射線治療等を組み合わせ、患者の免疫機能を最適化・最大化させることにより効率よくがんを攻撃する、独自の最先端がん治療技術・ノウハウ「アイマックスがん治療(免疫最大化がん治療:Immune maximizing therapy for cancer)」を構築し、契約医療機関に提供している。

テラの提供するサービスは、治療を行うための設備の貸与から、技術・ノウハウの提供、マーケティング、医療機関・患者向け情報提供、権利使用許諾に至り、契約医療機関が「アイマックスがん治療」を提供するために必要な、包括的な支援をしている。

契約医療機関の種類は契約形態別に、(1)設備の貸与を含めたすべての支援を行う「基盤提携医療機関」、(2)設備貸与以外の支援を行う「提携医療機関」、(3)医療相談外来を設置した医療機関に情報提供等を行う「連携医療機関」の3つがある。

テラの契約する医療機関は、2009年6月末時点で、「基盤提携医療機関」7機関、「提携医療機関」5機関、「連携医療機関」1機関となっている。

創業からVCに出会うまでの経緯

外科医からビジネスの世界へ

テラの社長である矢崎氏は、テラを創業する以前は外科医として大学病院に勤務していたが、医師として多くのがん患者と向き合うことにやりがいを感じながらも、自分だからこそ実現できる患者への貢献の仕方もあるのではないかという思いが消えなかった。

矢崎氏は、起業を考えて大学病院を退職した後、ビジネスそのものを学ぶ必要を感じていたこと、バイオテクノロジーに大きな可能性を感じていたことから、2000年11月、遺伝子解析技術を用いた創薬系バイオベンチャー企業に飛び込んだ。矢崎氏はその会社で企画・財務・予算管理・経営計画の策定など、ビジネスの現場に近い仕事を経験することができた。

東大医科研での研究

再生医療をはじめとする細胞治療が今後成長するだろうと考えていた矢崎氏は、そのバイオベンチャー企業で、細胞治療に関連する新規事業の提案をしていた。あるとき、東京大学医科学研究所付属病院の病院長にプレゼンテーションする機会に恵まれ、その結果、当該新規事業の事業化を前提として、東大医科研の客員研究員として誘われることとなった。

矢崎氏は、東大医科研で臍帯血移植や臍帯血を用いた再生医療をはじめとする治療に関する研究を行いながら、新規事業の事業化に向けた検討を続けていたが、その過程で現在の事業の根幹となる「樹状細胞ワクチン療法」と出会った。悪性黒色種や甲状腺がんの末期がんの患者を対象に「樹状細胞ワクチン療法」を実施した臨床研究で、約30%※1の臨床的有益性(腫瘍の消滅、縮小、進行停止)が得られたのである。

※1 Nagayama H. et al. Melanoma Res. 2003 Oct;13(5):521-30.(東京大学医科学研究所、悪性黒色腫に対する研究)

研究成果をもとに起業

この「樹状細胞ワクチン療法」は、がん細胞のみを狙って攻撃でき、正常細胞を傷つけないことから、副作用がほとんどないといわれている治療法であり、矢崎氏は、臨床研究結果や患者からの要望の多さから、この技術の事業化は社会貢献になると確信し、教授の同意を得て、2004年6月、ひとりでテラを立ち上げた。

VCからの資金調達

創業後は、事業の立ち上げから、契約医療機関探し、人材確保など、やることに終わりはなかったが、そのなかでも、矢崎氏が特に苦労したのが資金調達であった。

「樹状細胞ワクチン療法」を医療機関に導入するためには億単位の資金が必要であったが、事業計画しかなく導入実績もない段階では、資金を提供してくれる金融機関はなかった。そのような時、矢崎氏が友人から紹介されたベンチャーキャピタリストが、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営する(株)東京大学エッジキャピタル(UTEC)の現代表取締役郷治友孝氏であった。

矢崎氏は、UTECは単にキャピタルゲインを得るのではなく、大学発の技術を責任を持って社会に送り出すための支援に重きを置いているVCであることを知り、共感を覚え、また郷治氏もテラの技術の社会貢献性に興味を持ち、二人は意気投合した。

VC等を活用した事業の拡大と成長

事業計画策定支援

その後矢崎氏は、郷治氏からアドバイスを得ながら事業計画やビジネスプランをブラッシュアップさせ、2005年1月にUTECから最初の投資を受けることができた。会社設立直後の事業収入のない段階にもかかわらず、UTECが熱意を持って投資決定したことは、テラにとって大きな出来事であった。

矢崎氏と郷治氏は、その後も交流を深め、時には経営者と株主の立場の違いから厳しい意見を戦わせることもあったが、二人の信頼関係が揺らぐことはなかった。

設備投資資金の投資により契約獲得

テラは2005年1月に投資を受けた資金を元に樹状細胞の培養装置やシステムなどを用意することができ、その結果、東京にあるクリニックと初めての契約を結ぶことができた。その後、他のVCからも投資を受け、IPOまでにUTECとあわせて2社のVCから投資を受けた。

矢崎氏は、投資を受ける際には、円滑な経営の意思決定を確保するため、経営陣が一定の株式シェアを保つことと、投資方針が異なるVCから投資を受けないことに注意したという。また、テラは医療分野に携わるだけに、利益を追求するだけでなく、倫理性も非常に重要視しており、価値観を共有できるVCに出会えたことは幸いであったという。

行政対応やビジネスパートナーの紹介

テラの事業は細胞治療という新しい分野の事業であり、ビジネスモデルにも新規性があったため、その実現には国や自治体などからの情報収集や交渉が必要であったが、テラには所轄官公庁とのネットワークがほとんどなかったため、UTECは、厚生労働省の情報提供や折衝のサポートも行った。

UTECは、テラが大学発バイオベンチャーではあるが、早期に売上と利益を生むビジネスモデルを有することを評価し、東京大学産学連携本部やビジネスパートナーの紹介など、非常に熱心に支援を行い、その結果テラは、事業進捗に応じた追加投資を受けることができた。

IPOによる経営効果と今後の展望

チームワークでIPOを達成

2009年3月、テラはJASDAQ NEOに上場したが、上場に至るまで成長した背景には、軸となる経営理念を貫いてきたことがあった。経営者が確固たる理念を持ち、社員にビジョンを伝え、同意を得て目標に向かって力強く進んできたこと、理念に合う人を採用してチームワークを大切にしてきたことが、IPO達成として結実したと矢崎氏は言う。

資金調達手段の多様化と信用力向上を目指す

テラが上場を目指した目的は、第一に資金調達と調達手段の多様化、第二に会社の信用力の向上であった。

資金調達に関しては、市況が悪いなかで上場したものの、一定の資金を確保することができ、また調達手段の多様化も実現できた。市況を鑑みて上場時期をずらすという考え方もあったが、テラは、会社の信用力向上というもう一つの目的を考慮し、早期上場を選択した。

会社の信用力についても、メディアなど、外部からの情報発信機会が増えることによって、着実に向上してきている。

「アイマックスがん治療」の拡大を中心とした事業展開

今後テラは、「アイマックスがん治療」をマイルストーンに従って確実に展開し、また、新しい細胞技術の開発や、病院ネットワークを活用した付帯的なサービスの提供など、新規事業も展開していく予定である。

『コレカラを、テラから。』を合言葉に、最先端の細胞医療技術・ノウハウをグローバルに提供すること、がん以外の様々な病気について治療法を提供すること、その範囲を治療のみならず予防にまで拡大すること等を目標として、テラは今後も挑戦を続けていく。

代表者プロフィール

代表取締役社長 矢崎 雄一郎
代表取締役社長
矢崎 雄一郎

1996年4月、東海大学付属病院勤務。2000年11月、創薬系バイオベンチャー企業入社。2003年4月、東京大学医科学研究所細胞プロセッシング寄付研究部門研究員。2004年6月、テラ(株)を設立し、代表取締役社長就任(現任)。2009年11月、新日本有限責任監査法人が主催する『アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2009ジャパン』アクセラレーティング部門ファイナリストに選出。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

将来的には、創薬にも挑戦していけるような企業を目指していきたい。これから起業を目指す方は、決して諦めず、人を大切にして、長期的な視点に立って身の丈に合った経営をしていって欲しい。

ベンチャーキャピタルの声

(株)東京大学エッジキャピタル 代表取締役社長 マネージングパートナー 郷治 友孝
(株)東京大学エッジキャピタル
代表取締役社長
マネージングパートナー

郷治 友孝
同社に投資をするに至った判断のポイント

テラのがん治療法は、外科手術や抗がん剤といった標準的ながん治療だけでは対応できないがん患者の治療ニーズに応えられるものであることや、がん治療だけでなくがんの再発予防にも役立つと考えられることから、大きな汎用性と将来性を感じ、投資を決断した。また、経営陣が、矢崎社長をはじめ、多様なバックグラウンドを持つ若くて柔軟なチームによって構成されている点も評価した。

VCの視点からみた同社の成功要因

矢崎社長らが、チームワークよく、必要なことをどんどん吸収して足場を築いていく柔軟性と探究力を活かして会社を発展させ、経営者としても成長していった。また、特定の研究室だけに縛られず、有益な技術は様々な大学から導入して、会社の競争優位性を強めていったことも成功に至った大きな要因である。UTECとしても、創業時から経営陣とともに事業や規制上のリスクをあらかじめ洗い出し、投資実行後も取締役として経営に関わりながら追加投資を重ね、リスクの低減や成功確率の向上のために社外株主の立場から尽くすことができた。

2009年度取材事例
掲載日:2009年12月 1日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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