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HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社ジーエヌアイ

日本・中国を中心としたアジアに多い疾患向け治療薬の創薬ベンチャー

事業内容:創薬研究・開発・販売等
本社所在地:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN30F
URL:http://www.gnipharma.com/ 設立年:2001年
株式公開年:2007年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):10百万円 資本金(2009年3月期):2,858百万円
売上高(設立年):0百万円 売上高(2009年3月期):204百万円
従業員数(設立年):3人 従業員数(2009年3月期、連結):73人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ウエル技術ベンチャー投資事業有限責任組合、早稲田1号投資事業有限責任組合(ウエルインベストメント株式会社)

事業概要

米国企業として設立、その後日本へ

当社は将来の創薬事業のグローバル展開を考え、2001年秋に、バイオ産業の一大中心地である米国カリフォルニア州サンノゼの米国法人Gene Networks, Inc.として設立された。また翌年2月に福岡県にある久留米リサーチパーク内に久留米研究ラボを開設し、遺伝子ネットワーク技術による創薬研究に着手した。その後、海外の投資環境が悪化するなかで、日本での事業活動に集中するために2003年に日本法人を本社とした。

日本・中国に主眼を置いた創薬企業へ

その後、当社の創薬事業のさらなる飛躍を目指すために2005年5月中国企業であるShanghai Genomics(SG), Inc.の株式数の約4分の3を取得し、2008年6月には完全子会社化した。SG社は中国を代表するバイオ創薬ベンチャー企業として能力が高く評価されており、また創薬候補物を有していたことから、同社を統合することで創薬の上流から下流までをカバーすることが期待された。これにより、上海に創薬と臨床の研究開発チームを置き、日本や中国を中心にアジアに多い疾患を標的にした治療薬開発を低コストで行える新しいビジネスモデルの基礎を構築した。

現在は、バイオ実証実験や臨床試験などを中国に集約して実施している。当社は、中国の大規模な臨床ネットワークとコスト効率の高さ、また中国で先進的な研究施設や体制などを有し、世界で最もヘルスケア市場の成長率が高い中国と、世界第2位の市場規模を持つ日本において、新薬を開発することを経営目標に掲げている。

中国で臨床実験を行うメリットは、直接経費が日米に比較して数分の1以下と大幅に低いだけでなく、開発時間の短縮や必要症例数の確保など、真のコスト効率に優れた治療薬開発の事業活動が可能な点にある。

創薬活動を一貫して実施

創薬プロセスは3つに分けられるが、それら全てのプロセスを自社で行う体制を整えようとしている点が他の創薬ベンチャーにはない当社の特徴である。

まず、上流プロセスである「創薬研究活動」では、当社独自の研究あるいは外部の製薬企業との共同研究を通じて、ターゲット遺伝子や既存化合物の作用メカニズムの解明などを行っている。中流プロセスにあたる「創薬インフラ活動」では、当社独自の研究あるいは外部の製薬企業との共同研究を通じて、各種実験や前臨床試験などを実施している。下流プロセスにあたる「基本創薬活動」では、当社が独自に開発あるいは外部からライセンスを受けた創薬候補化合物等の臨床試験を実施し、医薬品としての承認を受け、製造及び販売を企画実行している。

創薬ベンチャー企業の多くが、高コストをカバーするために「創薬研究活動」に注力し、「基本創薬活動」等は外部の製薬企業との提携に頼るという「バイオベンチャー」モデルであるのに対して、当社は、一部を自社で一貫して行うというユニークな体制を目指すことで、高い利益率を確保したいと考えている。

がんと炎症薬に注力

現在は、日本や中国で特に多い疾患に注力した医薬品開発を行っており、放射線性肺炎(RP)と特発性肺線維症(IPF)に適応する候補物「F647」、肝線維症や肝硬変に適応する候補物「F351」、さらに急性肝不全・ウイルス性肝炎に適応する候補物「F1013」、などの開発に取り組んでいる。

プロダクト&パイプライン

2009年7月、中国において「F647」の特発性肺線維症(IPF)への適用に関する特許権を取得し、2009年末を目標に中国にてIPFに関する新薬承認申請(NDA)を行う予定であるなど、上市に向けて一歩ずつ着実に前進している。

創業からVCに出会うまでの経緯

アメリカでのIPOを目指しVCから資金調達

冒頭で説明した通り、2001年の創業時には、バイオベンチャーの公開実績の豊富さや資金調達のしやすさを考え、米国NASDAQ市場でのIPOを目指していたため、米国シリコンバレーに本社を設立し、日本法人は同米国法人の子会社として設立した。

創業時からIPOを目指しており、シード段階から多数の日本のVCを中心に資金調達をしてきた。2001年の会社設立時から2002年3月にかけて実施した初回のVC投資では、複数のVCから、合計250万USドル(約3億円)を調達した。

日本でのIPOに切り替え、順次VCから追加投資受入

当初は米国でのIPOを目指していたが、当社設立後はITバブルの崩壊と重なり、欧米等の海外での資金調達の環境が悪化していった。

また環境面だけでなく、研究開発のパートナーや投資家にも日本の企業等が多いこともあり、2003年に日本に本社を移し、日本でのIPOを目指して、再スタートを切ることにした。

そして、2003年から2005年にかけて、投資を受けているVCからの紹介や当社独自の開拓で、さらに多くのVCから投資を受けた。結果的に、IPOまでの間に、10数社のVCから投資を受けた。

それらのVCのうちの1社が、(独)中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営するウエルインベストメント(株)であった。当社は、早稲田大学のベンチャー支援活動と以前から関係があったことから、ウエルインベストメント(株)にも投資前から各種相談に乗って頂いていた。そうした経緯もあり、当社から依頼して投資を検討していただいた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

増資ラウンドのアレンジ

VCに対して期待することとしては、やはり資金調達面の支援が第一であり、特に多額の資金を必要とする創薬ベンチャーにとっては、非常に重要な経営課題である。

シード段階から投資をしていただいたVCには、その後の増資ラウンドでも、他のVC紹介やラウンドのアレンジなどで協力いただいた。

役員派遣や人材紹介等を通じた経営支援

特に中心的な役割を果たした初期段階でのリードVC2社からは、設立時から取締役を派遣いただき、経営を直接的に支援いただいた。彼らとは公開前だけでなく、現在でも事業開発や資金調達のアドバイスをしていただくなど、良好な関係を築いている。

また、ウエルインベストメント(株)からは、監査役(現在当社の最高執行責任者)の紹介をはじめ、現場の専門人材を紹介いただくなど、人材紹介の面で特に支援いただき有難かった。

技術経営面のアドバイス

ウエルインベストメント(株)は、早稲田大学が関与するVCであることから、技術経営に関する知識を豊富に有しており、様々なアドバイスをいただいた。

IPOによる経営効果と今後の展望

厳しい市況のなかIPOを実現

2007年8月、当社は東証マザーズに上場した。

この時期は、すでに株式市場の暴落が始まっており、上場時期として良い時期とはいえなかった。しかし創薬ベンチャーとして成功するためには、さらなる資金調達が必要不可欠であり、状況が大変厳しいことは認識しつつも上場することを選択した。

上場の目的は、何をおいてもまず株式市場から資金を調達することであり、上場時・上場後の新たな資金調達を目指すことであった。その資金によって、アジアの様々な疾病で悩む患者さんに対する治療薬を市場に届けるのがバイオ創薬企業の大きなミッションであると考えている。

しかし上場以降の金融市場の混乱により、上場時の資金調達額自体が計画通り実施することができず、また今のところまだ資金調達の環境も好転しているとは言い難いが、臨床開発は着実に進んでいる。今後の事業展開のために是非とも資金調達を実現していきたい。

厳しい経営環境でも上場できたのは、当社の理念や事業戦略、また将来の事業展開のポテンシャル、社内体制の整備など、様々なことを総合的にバランスよく評価いただいた結果ではないかと考えている。

まずは新薬申請と製造販売体制の構築を目指す

当社のプロダクトパイプラインのうち、最も開発が進んでいる特発性肺線維症(IPF)に適応する「F647」の新薬申請を中国で行うことが当面の目標となる。ただ、現状、製造販売体制が整っていないため、新薬申請を行うとともに、製造販売体制を整備することが課題となる。言い換えれば、製造販売体制を整え、特発性肺線維症(IPF)に適応する「F647」の承認を得て、その製造販売を軌道に乗せることが、当社にとってのこれからのステップと考えている。

また同時に、まもなくフェーズ1が終了する予定の「F351」にも注力し、次なるステップとしていきたい。

いずれは日本や海外での販売を目指す

当社は中国に臨床ネットワークを構築しており、自社で臨床開発を行っている点が、他の創薬ベンチャーには真似できない優位性であると認識している。新薬承認後は中国での新薬の製造販売を目指すことになるが、実証データや経験を基に、いずれは、日本や欧米などに臨床開発を広げていくことで、会社のバリューをさらに高めていく所存である。

代表者プロフィール

取締役・代表執行役 社長兼 CEO イン・ルオ
取締役・代表執行役 社長兼 CEO
イン・ルオ

1982年に北京ユニオン医科大学で学部課程修了。91年米国のコネティカット大学ヘルスケアセンターで理学博士号を取得。93年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校にてポスドクとしてHIVに関する研究を行う。同年米国バイオベンチャー企業アビロンに研究員として入社、その後クロンテック・ラボラトリーズ・インクを経て、96年NASDAQ上場企業のライジェル・ファーマシューティカルズでゲノム創薬部門長就任。2001年5月、Shanghai Genomics, Inc.を設立、董事長CEO就任。2005年6月、当社代表取締役常務COO就任、2008年6月当社代表取締役社長兼CEO就任。2009年4月、Shanghai Genomics, Inc. 董事長兼CEO就任(現任)、同年6月当社取締役・代表執行役社長兼CEOに就任。現在、上海の中国国家ゲノムセンターの機能ゲノム部ディレクターおよび上海交通大学の客員教授を兼務。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

中国での創薬を足がかりに、将来は日本や欧米でも治療薬を開発していきたいと思います。起業やIPOを目指す方は、これから困難に直面して厳しい判断を迫られる場面が多々あると思いますが、環境変化に対応しながらも「会社の理念」に基づく意思決定と行動を起こしていくことが重要だと思います。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

・遺伝子制御ネットワーク技術など高い基本技術
・会社設立後における当初予定より早いスピードでの研究成果
・研究開発と製品化でのグローバルな体制(日米欧中)
・バランスのとれた優秀なマネジメントチーム

VCの視点からみた同社の成功要因

バランスのとれた優秀なマネジメントチームの存在し、事業展開にあたって中国の上海ジェノミクスを買収することによるパイプラインの補完が行われ、さらに中国での臨床試験による開発時間の短縮及び必要症例数の確保ができたことが主な同社の成功要因であると考えます。
(ウエルインベストメント(株) ファンドマネージャー・公認会計士 浅海治人)

2009年度取材事例
掲載日:2009年10月19日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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