本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

ビリングシステム株式会社

Web決済のハブ機能を果たすことを通じて、企業と金融機関を一元的に結ぶマネー・チェーン・マネジメントを確立し、決済業務の新しい波を創造する

事業内容:自社決済プラットホームを基盤とした決済業務支援サービスの提供
本社所在地:東京都港区芝公園1-6-7 ランドマークプラザ9F
URL:http://www.billingjapan.co.jp/ 設立年:2000年
株式公開年:2008年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):310百万円 資本金(2008年):1,283百万円
売上高(設立年): 売上高(2008年12月末):765百万円
従業員数(設立年):2人 従業員数(2008年12月末):24人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):投資事業有限責任組合KF-インキュベーションファンド(ニュー・フロンティア・パートナーズ株式会社)

事業概要

企業と金融機関を結ぶマネー・チェーン・マネジメントの確立

当社は、銀行・郵便局・信用金庫など様々な金融機関と一般企業とを結ぶ決済サービスのプラットホームを構築し、ハブ機能を果たすことで、企業の資金回収、支払業務などの決済業務や資金繰りを支援するサービスを提供している。決済プラットホームの主なサービスは、3つに大別される。1つ目が、インターネットを利用した個人投資家の株式売買の資金移動をリアルタイムでサポートする「クイック入金サービス」、2つ目が通販事業者等の多数の集金を要する企業に代わり、一括して代金を回収する「収納代行サービス」、そして3つ目が、当社の決済サービスを利用することで蓄積される決済データを分析し、クライアントの資金調達を支援する「ファイナンス取次支援サービス」である。

当社のビジネスモデルは、企業と多数の金融機関を一元的に結び、サプライチェーンマネジメントと同様に、決済情報から全体の最適化を目指す「マネー・チェーン・マネジメント」の思想のもと、構築されている。本思想は、当社の競合他社との差別化に現れている。それは、ターゲットとする顧客と事業領域の設定である。すなわち当社は、決済代行サービスを提供している企業の中でも、取引する銀行のシステムに対応せざるを得なかった中小企業をメインターゲットとしている。また、決済支援サービスを主軸としながらも、最終的には企業のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)まで受託可能な決済関連業務のワンストップ・サービスを提供できる体制を整えており、単なる決済支援サービスのみの企業とは一線を画したビジネスを展開している。

なお、顧客が中小企業であることを考慮し、サービスはASP形式で提供し、低いイニシャルコストとランニングコストを実現させ、導入企業の負担を抑えている。

創業からVCに出会うまでの経緯

系列を越えて、企業サイドから決済業務を革新したい

創業者で代表取締役の江田は、さくら銀行で23年間にわたって企業間決済機能の開発に携わってきた。大企業向けのオーダーメイドの決済機能の企画・商品化を担当する中で、すべての銀行が同じ決済システムで動いていないが故、それぞれの決済システムを導入し、接続しなければならないという企業の不満の声に対応すべく各種金融機関と企業の決済業務を連携させる基盤構築に向けた検討を続けてきた。しかしながら、金融機関の立場からでは様々な制約があり、企業の求める利便性の高いサービスの提供は難しいと判断し、系列を越えて真にユーザーサイドに立脚した独立系の決済業務支援サービスの実現を目指し、2000年6月に当社を設立した。

当時から、あらゆる銀行のシステムに対応できる一元的なシステムを構築すれば、大幅な効率化とコストダウンを実現しビジネスとして成立するのではないかと考え、付き合いのあった東芝ソリューション(株)や三井物産(株)に事業コンセプトを説明するなどして、練り上げていった。一方、東芝もこれまで手薄であった金融分野の社会インフラ整備という点で関心を持ってくれた。結果、設立当初のファーストラウンド(2000年8月)において、東芝ソリューション(株)、同社と取引があった(株)アルゴ21、東芝から機動的な対応をしてくれるVCとして紹介を受けた中央三井キャピタル(株)の3社から計60百万円の投資を受けた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

経営上の重要局面で実現したVCからの資金調達

ファーストラウンドから約4ヶ月後、約半年後にそれぞれ、第三者割当増資を実施した。2001年10月には、JALカードと提携し、JALのWebサイトでの航空券購入に際し、当社のプラットホームのハブ機能を活用して複数との銀行決済の取次ぎが可能となるサービスを提供するようになった。

2002年6月に、創業から4回目の第三者割当増資(総計180.45百万円)を実施した。そのうち、ニュー・フロンティア・パートナーズ(株)(当時は国際キャピタル(株)、以下NFPという)がGPである投資事業有限責任組合KF-インキュベーションファンドに340株(51百万円)を引き受けてもらった。NFPとの出会いは、NFP担当者が日経産業新聞掲載の記事を見て訪問してきたことからであった。当時は、創業以来、初めての会社存続へ向けて重要な局面を迎えており、買収交渉や大手ファンド1社からの投資などのいくつかのオプションがある中で、実現した増資であった。当社の強みの1つである系列を越えた決済システムの実現には、一定の中立性も確保しなければならなかったので、本投資の実現は、中立性を担保してくれる結果となり、新たな事業展開の道を切り拓いてくれるものとなったと言える。

新たな事業展開の1つとして、2006年4月には、(株)大塚商会との業務連携により開発し、当社の決済ワンストップ・サービスにおけるBPO展開の第一弾となった「たよれーる振込代行サービス(企業が複数の仕入先企業への送金処理が一括で行えるサービス)」をリリースした。大塚商会の顧客層を中心に当社のサービスは導入され、当社のBPO展開の主力サービスにまで成長した。

投資時点だけでなく継続的な関係を築くなかで新たな優良取引先を得る

当社は、これまでに多くのVCから投資を受けてきたが、VCを活用した事業の拡大・成長を実現するためには、2つのポイントがあると考えている。1つは、VCの業績や財務状況のモニタリングを超えて、ビジネスの話が進む関係を構築できるか否かということである。特に、安田企業投資やNFP、三菱UFJキャピタル等のVCとは、取引先の紹介といった売上の増加に繋がるビジネスの話が多かった。例えば、2004年11月に、損害保険ジャパンなど損保11社が共同開発した自賠責保険の共同システム「e-JIBAI」に対して収納代行サービスを提供できたことは、当社の信用力を高め、提携企業が着実に増えた成功例である。

さらにもう1つのポイントは、投資時点のスポット的な関係だけでなく、投資期間の終了後にも継続的な関係を築いているかということである。企業価値の向上に大きく寄与したNFPを含めた数社のVCとは、投資期間を終えて株式を保有しなくなっても、現在投資を行っているベンチャービジネスを紹介してくれるなど、長期的な関係を築くことができている。

IPOによる経営効果と今後の展望

「健全性」の評価と「信用」を獲得

当社は2008年3月、東京証券取引所市場(マザーズ)に上場した。上場までの道程は、証券会社や財務局、東証などの関係機関へ説明を続ける日々であった。毎週、東証の担当者とのヒアリングが設定され、当社のビジネスの本質から、これまでの株主、投資を受けたVCとの出会いやそのファンドの出資者まで詳細な説明を求められ、当社の企業経営の健全性や継続性を見極められた。ちょうど、決算時期と重なり繁忙を極めたが、当社の第1号ユーザーがJALであったことや公的機関である中小企業基盤整備機構が出資しているファンドから投資を受けた実績は、少なからず株式公開審査の説得的な材料になったものと考えられる。

そして上場の結果、新たな主要取引先を得て、さらに信用力が向上した。当社のような銀行決済を扱う事業は、これまでにどのような顧客にサービスを提供できたかという「取引実績」が何よりも重視される。上場して間もなく、大手生損保会社である三井住友海上火災保険(株)に対して、保険料の請求・収納代行・入金消しこみサービスの提供を開始できたことは、当社の信用力をさらに高めてくれた。また、人材獲得に関してもHP上の採用サイトへのアクセスが増加する等、公開の波及効果が表れている。

さらに、公開後はコア業務である決済支援サービスの安定した収益を基盤として、新たな事業展開も図りつつある。今後は、当社に集約される決済情報を活用して、CO2の排出量・削減量の算出やクレジットの算定等も可能にする環境決済基盤などの企業活動の情報DBの構築・提供を推進していく計画である。そして、WEB時代における決済業務の新しい波の創造(「総合決済情報産業」の創造)に貢献していきたいと考えている。

代表者プロフィール

代表取締役 江田 敏彦
代表取締役
江田 敏彦
1953年生
1977年 早稲田大学理工学部物理学科卒業
1977年 三井銀行(現:三井住友銀行)に入行
1998年 コーポレートバンキング部先端金融商品開発次長、企業間ECプロジェクトリーダー
2000年 さくら銀行退職
2000年 ビリングシステム株式会社設立 代表取締役 就任(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

当社が存続できているのは、以下の事項等が考えられます。(必ずしも、全てが出来ている訳ではありませんが・・・)
1. ビジネスモデルに賛同し、一緒にビジネスに参加してくれる人がいたこと。
2. ビジネスモデルの正しさを誰よりも自分が信じ、思い続けてきたこと。
3. ビジネスモデルの核をブラさず、業務拡大可能な対応を自分で考え、自分で描き続けること。
4. どんな場合でも、何とかなる、打開策があると思い込めること。
5. 最悪の想定はするが、悪いことは考えず、良くする方法を考えられること。
6. 会社のお金はしっかり管理運営するが、自分では管理運営できない体制とすること。
7. 公私を明確にし、会社のお金は使わない。但し、必要な請求は必ずすること。
8. けちであること。然し、せこくしないこと。欲張りにならないこと。(個人も、会社も)
9. 投資や新規業務などへの会社のお金の使いみちは、一人で決められない体制にすること。
10. 自分に対して、ダメなことをダメと誰でもが言える会社の環境を心掛けること。
11. 真面目に働くこと。誰よりも働くこと。仕事が楽しいと思い続けること。
12. 健康であること。

ベンチャーキャピタルの声

ニュー・フロンティア・パートナーズ(株) 代表取締役社長 鮫島 卓
ニュー・フロンティア・パートナーズ(株)
代表取締役社長

鮫島 卓
同社に投資をするに至った判断のポイント

・ 江田社長が前職の銀行時代より決済業務に従事し同分野に精通されていた事。
・ 当社の提供するサービスは、電子商取引を通じ事務効率化、コスト低減に加え、安全性・信頼性という顧客ニーズを的確に把握していた事。
・ 更に、商取引データを管理することで、その情報加工により、決済のみでなく周辺サービスの提供が可能となり汎用性が高くなる事。

VCの視点からみた同社の成功要因

・ 事業発足後、ビジネスモデルの核であったBtoB市場の未成熟などにより電子商取引における決済業務が苦戦する中で、それに代わるBtoC市場での決済業務・収納代行サービス等の周辺サービスへと顧客ニーズを把握し的確に対応できた。
・ これは前述の社長の経歴とそれに基づいて構築された柔軟性のあるシステムの特徴が背景にある。
・ 苦境の時期を乗り越え、リストラによる経費削減に加えて、マネジメントチームの結束力と地道な営業力で克服できた。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 8日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

前の記事次の記事



このページの先頭へ