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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社ケア21

ご利用者第一主義に現場第一主義を重ねて、地域へ心からの介護サービスを

事業内容:介護保険法に基づく訪問介護事業・居宅介護支援事業及び施設(有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスセンター)の運営等
本社所在地:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル7F
URL:http://www.care21.co.jp/ 設立年:1993年
株式公開年:2003年 市場名:ヘラクレス
資本金(設立年):10百万円 資本金(2008年):633百万円
売上高(設立年): 売上高(2008年):6,200百万円(連結、10月期予想)
従業員数(設立年): 従業員数(2008年):2,153人(非常勤ヘルパーを含む)
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):フューチャー二号投資事業有限責任組合(フューチャーベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

学習塾経営から介護サービスへ

当社は設立当初、学習塾の運営から事業をスタートさせたが、「社会に役立つ事業」を経営理念としており、教育・福祉・文化という3つの領域において事業展開することを標榜していた。介護サービス事業への参入は2000年の「介護保険制度」施行が契機となったが、その前年に商号変更をしている。

学習塾経営と介護サービス事業とは事業形態が非常に似ており、(1)地域密着型の事業であり、地域での評判を上げることによって利用者の増加につなげることができる、(2)サービス提供者(学習塾:講師、介護:介護ヘルパー)へ十分な教育研修を行えば品質の高いサービスを提供することが可能であり、顧客の満足度を高められる、という共通点を有している。また、学習塾には集団授業と個別授業があるが、基本的に一対一のサービスである訪問介護事業は学習塾の個別指導に類似するものであり、学習塾の個別指導で培ったノウハウが円滑な事業転換を容易にしたと考えられる。

ホームヘルプサービスの模様

ホームヘルプサービスの模様

利用者の尊厳を尊重した訪問介護

当社では利用者の尊厳を尊重した介護サービスに努め、利用者が人間らしく豊かな暮らしを送れるヒューマニズムにあふれる介護に注力してきた結果、質の高いサービスが利用者から支持され、訪問介護ステーションのみならず、特定有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問看護などの介護拠点も増え続けている状況にある。

介護サービスは人対人の、いわゆるマンツーマンのサービスであるため、質の高いサービスを提供するには自ずと量的な制約・限界があるが、当社では常に質を重視し、ケアスタッフの成長を促す経営努力をしている。資本や数の論理に拠らない、「最大ではなく最高の福祉サービスの提供」に設立以来努めてきた。

地域でのNo.1を事業戦略に

介護サービスの事業展開において地域性は非常に重要な視点である。介護サービスは地域密着型、生活密着型のサービスであるため、全国展開しているブランド力のある大規模資本の事業者であっても、地域別にみると必ずしも強いとは言えない。地道に評価を積み重ねて地域を面で押さえることが重要であり、当社は大規模事業者と比して経営資源が限られているため、徒に全国展開に奔ることなく、一貫して大阪等の進出地域でNo.1を勝ち取る戦略を採っている。設立当初、売上の90%を占めていた訪問介護事業は、施設介護の増加とともに現在では60%程度に構成比が下がっているが、これは訪問介護によって地域を面で押さえ、地域の信頼を得た後に施設介護等の事業を展開するという当社の事業戦略の表れでもある。

同業他社で当社のように訪問介護事業をコア事業に据えて地域でのサービス提供に注力している事業者は少なく、こうした事業戦略が介護サービス市場の中で当社の存在を際立たせている理由である。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業時からIPOを視野に入れた資本政策

学習塾経営から介護事業へ進出するため、1999年7月から資金調達を開始し、2000年1月にフューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下、FVC社)に対し転換社債を発行したが、当社では創業当初からIPOを視野に入れた経営と資本政策の立案に注力してきた。

当時は貸し渋りにより金融機関から融資を受けることが難しい状況にあったことに加え、IPOを視野に入れた資本政策の在り方を考える中で、ベンチャーキャピタル(以下、VC)を中心として出資を募ることとしたが、「介護保険制度」の施行が迫りつつも、訪問介護サービスの事業性・成長性が確たる状況になかった当時の状況に鑑みれば、転換社債という投資手法は発行体である当社とVC間の利害関係をうまく調整するに相応しい、妥当な投資手法であったともいえる。

VC等を活用した事業の拡大と成長

時機を得た拠点化と経営基盤の整備

FVCを含め、VC数社並びに事業会社等からの出資を得たが、こうした外部資本の導入なくしては時機を得た出店は成しえなかった。

実際、調達した資金を活用して2000年4月に教育研修制度の充実とモチベーション向上に資する人事考課システムの構築を行ったところ、ほどなく黒字化が実現し、利用者も急増したため、同年6-7月に介護ステーション3ヶ所を設立した結果、業績が飛躍的に伸びたという事実がある。

デイサービスセンター「たのしい家」

デイサービスセンター「たのしい家」

「介護保険制度」の施行後間もない初期に地域密着型の質の高い訪問介護サービスを展開し、早期に信頼を得て利用者が急増したタイミングをうまく捉えながら人材育成・評価システムの整備と訪問介護ステーションの増設を行ったことが、今日までの成功の礎となったと認識している。


IPOによる経営効果と今後の展望

ヘラクレスを上場市場に選んだ理由

当社は2003年10月に大阪証券取引所ニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」へ株式の上場を実現した。

ヘラクレスを選んだ理由については、大阪の企業であるので地場の証券市場を選択したい、という想いの他に、並行的に検討していた東証マザーズにおいて、当時上場企業の不祥事がみられ、マザーズ側がこれを契機に条件を引き上げたことなどによる。

IPOの時期と自己資本比率

IPOの時期については、当初の予定からは半年遅れであった。最初は大手証券会社が主幹事であったが、IPOを行うには事業規模が小さいため、もう少し拡大してからIPOさせたいという意向が示された。当社としては早期のIPOを希望していたため、地場の証券会社に主幹事を変更し、半年遅れでIPOを果たした。

IPO直前におけるVCの株式保有比率は41.5%と高かったが、当社のIPO政策は発行体である当社主導で行っていたため、VCディスカウントを懸念して主幹事証券会社から自己資本比率を上げるような要請はなかった。自己資本比率を高めると経営は安定するが、ともすれば株主軽視ともなり、また緊張関係の維持という観点や株式の流動性という観点からもVCの株式保有比率は意図的に高めにしていた。

また、当社のIPO政策で特徴的であったのは、一般的には発行体は公募・売出価格を高めに設定する傾向にある一方で、当社では株主に長期にわたって株式を保有してもらい、流動性と安定性のバランスを確保すべく、公募・売出価格はなるべく安値に設定したいという考えを採ったことである。

IPOによる信用力の向上

当社の事業は行政との関わりが多いため、必然的に経営の透明性や信用力、実績が問われるものであるが、IPOによって市場や関係者からの信用力が向上し、事業展開がいままで以上に円滑にできるという環境の変化をもたらしたようである。介護サービスに従事する現場の従業員についても、そうした好影響を肌で感じている者は少なくない。

介護事業に留まらない社会貢献を

当業界では近年コムスン事件があり、業界が大きく揺れている。また、介護サービス事業自体が未成熟な面もあり、当社としても急速な成長・発展を遂げた中で、現在、財務基盤の強化が急務となっている。

当社は大阪以外にも、東京、名古屋、九州などの都市部地域でNo.1の事業者となることを目指しているが、介護事業に留まらず、「社会に役立つ事業」という経営理念の実践に今後とも努める所存である。

一例を挙げると、当社では大阪府吹田市千里ニュータウンにおいて、高齢者向けの無料シャトルバス(マイタウンバス)の運行を2008年5月より開始している。事業に留まらない地域貢献活動の一環であるが、高齢者の移動手段の確保や介護施設への利便性の向上に資する仕組み作りを提案している。

介護サービス事業の主な対象者である高齢者は交通・通院に関する負担・苦労が大きく、また訪問介護には安否確認という側面もあり、地域で助け合うという意味合いからも、新聞等のマスメディアや市民病院などとも連携して、高齢者が暮らしやすい街づくりを支援していきたいと考えている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 依田 平
代表取締役社長
依田 平
1952年 11月22日生
1976年 ぎょうせい 入社
1979年 (株)エポアンドエディ設立、代表取締役
1993年 (株)ヨダゼミイースト(現、ケア21株式会社)設立、代表取締役社長(現任)
1997年 学校法人未来学園理事長(現任)
2003年 学校法人依田学園理事長(現任)
2004年 社会福祉法人気づき福祉会理事長(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

企業は社会に貢献できなければ存在理由がないと考えており、地域貢献は当社存立の大前提と言えるものです。これから起業を志す方も、企業を単なる事業推進や利益創出の仕組みと考えずに、社会貢献を成すための「地域社会に欠かせない、人と人をつなぐ架け橋」と捉えて、事業活動と社会貢献の望ましい関係を思い描いてみて下さい。

また、ベンチャー企業の経営や成長性は従業員がやる気を持ち、輝いて仕事ができる環境をいかに構築するのか、ということに尽きるのではないか、ということを実体験から学びました。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

使命感を持ちながらビジネスを推し進めていた経営陣の下、(1)高齢化社会の到来と介護保険のスタートにより介護サービス市場の急成長が見込めたこと、(2)塾経営を通じて対人サービス業に必要なサービスのノウハウを習得していたこと等の理由から投資を決定しました。

VCの視点からみた同社の成功要因

(1)地域密着型で事業を展開することにより高品質のサービスを維持することができ、それぞれの進出地域にて高シェアを獲得することができたこと、(2)財務経理及び人的管理能力が高かったこと等が成功の一つの要因であると考えています。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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