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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

メディシノバ・インク

喘息急性発作や多発性硬化症など十分に有効な治療法がない病気のための医薬品の開発に注力

事業内容:医療用医薬品のライセンス導入・導出及び開発
本社所在地:4350 La Jolla Village Drive, Suite 950, San Diego, California 92122, USA
URL:http://www.medicinova.jp/ 設立年:2000年
株式公開年:2005年 市場名:ヘラクレス、NASDAQ
資本金(設立年):1,000万米ドル 資本金(2008年):4,804万米ドル
売上高(設立年): 売上高(2008年):
従業員数(設立年):3人 従業員数(2008年):26人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ユーテック一号投資事業有限責任組合(株式会社東京大学エッジキャピタル)

事業概要

革新性のある医薬品開発に特化

当社は、2000年9月、田辺製薬(株)(現田辺三菱製薬(株))の米国現地法人である田辺アメリカの100%出資子会社として、米国カリフォルニア州にて創業した。十分な治療がまだ確立されていない疾病を患う世界中の患者に、よりよい治療を提供することを通じて社会に貢献することを企業理念として掲げ、この理念を実現するため、これらの疾病を改善する医薬品の導入、開発、販売を手がけるグローバルな製薬企業を目指している。

なお、現在は、田辺三菱製薬(株)との資本関係はなく、独立したバイオベンチャーとして活動している。

日本の製薬企業との戦略的提携を通じた医薬品の開発

主として日本企業との戦略的提携関係を通じて、他の医薬品との差別化が可能で市場性が大きく、かつ、商業的に適切な範囲における特許資産を有する臨床及び臨床前の新薬の製品候補からなる多様なポートフォリオを構築している。

ポートフォリオ構築にあたっては、経営陣の有するネットワークを通じて、様々な日本の製薬企業との戦略的提携関係を構築してきた。現在は、キッセイ薬品工業(株)、杏林製薬(株)、田辺三菱製薬(株)、明治製菓(株)等、資本関係にとらわれず、様々な企業と開発を進めている。

岩城社長は、米国で臓器移植の医師として30年以上活動する傍ら、複数のバイオベンチャーの経営に関わり、日本の製薬企業が米国等の海外展開で苦戦しているのをみてきて、自身の経験やノウハウ・ネットワークなどを活用して、何とか日本の製薬企業にも飛躍してもらいたいという想いをもって創業したという経緯もある。資金力や交渉力の面で、欧米の大手医薬品メーカーと比べて劣る日本の製薬企業にとっては、アメリカの大手CRO(臨床試験受託機関)やFDA(米国食品医薬品局)との交渉を、当社が開発のパートナーとなることで効率的に進めて行くことが出来るというメリットは非常に大きいものと自負している。

10製品の革新的な医薬品開発に取り組む

現在、10の製品候補の開発に取り組んでおり、そのために、8つの化合物についてライセンスを取得している。

10の製品候補の適応疾患は、気管支喘息、喘息急性発作、多発性硬化症、間質性膀胱炎、固形癌、全般性不安障害、切迫流産、尿疾患、循環器系疾患である。

これらの開発パイプラインのなかでも、急性の激しい喘息発作であり、気管支拡張薬及びコルチコステロイドによる初期の治療では直ぐに効果が出ない喘息急性発作の治療薬「MN-221」と、多発性硬化症治療薬「MN-166」の開発に重点的に取り組んでいる。

重点的な開発品目

重点的な開発品目

明確な事業戦略に基づく事業運営

製薬ベンチャーがグローバルな製薬企業を目指す上では、明確な事業戦略を持った事業運営が必要であり、当社は「臨床開発に経営資源を集中」、「ライセンス導出による提携」、「市場性の大きい欧米市場をターゲットに日本発の医薬品候補の臨床開発を展開」を重要な事業戦略として掲げている。

「臨床開発に経営資源を集中」については、創業以来、研究・創薬機能、製造機能、販売機能を社内に持たず、医薬品候補を外部からライセンス導入し、開発パイプラインを構築することに経営資源を集中させてきた。ただし、将来的には医薬品販売企業としての展開も念頭においており、いずれは、マーケティング・販売を手がけて行きたい。

「ライセンス導出による提携」については、適切なタイミングで、ライセンス導出による提携を行い、開発費用の削減、提携先の経営資源の活用、戦略的自由度の増加を図り、企業体としての継続性を担保する方針である。

「市場性の大きい欧米市場をターゲットに日本発の医薬品候補の臨床開発を展開」については、欧米をあわせた市場は世界市場の8割を占める。日本の医薬品を、欧米市場をターゲットに開発することで、投資効率を上げることを目指している。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業2年目の増資からVCからの資金調達

当社は、1,000万米ドルの資本金で創業したが、2年目にも同程度の資金調達により資本を増強する必要があった。そこで、岩城社長の人的ネットワークを主体として様々なVCや企業等に声をかけ、創業2年目の2001年に1,000万米ドル程度の資金の調達を実現した。

なお、当社のようなバイオベンチャーは、創業からしばらくは開発費用がかかる一方で、売上は立たないという業態であるため、銀行からの融資を受けることはできない。

日本の大手VCのほとんどから出資

2001年の増資を含め、IPOまでに3回の増資を実施し、日本の大手VCの大半から出資を受けることができた。中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営する(株)東京大学エッジキャピタルからは3回目の増資時に出資いただいた。

医薬品開発という、非常に膨大な資金を必要とする事業であること、また岩城社長の個人的な人脈をはじめとした出資要請を行っていたこともあり、資本系列や各VCの投資スタンスなどはそれほど重視せず、当社のビジネスを理解し、資金の出し手となってくれるというVCからはほぼ投資を受けた。

アメリカのVCからの投資は、現在の筆頭株主であり、サンフランシスコに拠点を置くバイオベンチャー投資を主体とするエセックス・ウッドランズ・ヘルス・ベンチャーズのほかは数社程度であり、主に日本のVCや企業からの投資を受けた。

創業2年目の増資からVCからの資金調達

当社は、1,000万米ドルの資本金で創業したが、2年目にも同程度の資金調達をして資本を増強する必要があった。そこで、社長の岩城氏の人的ネットワークを主体として様々なVC等に声をかけて、創業2年目の2001年に1,000万米ドル程度の資金の調達を実現した。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資金調達を主眼に置いたVCの活用

社長が、米国でも著名な臓器移植の専門医であり、バイオベンチャーの経営者でもあったことから、ビジネス展開上の問題解決は社内で体制を十分に取ることができていた。

むしろ、岩城社長は、創業以前から日本のVCに対して、アメリカのバイオベンチャー投資の助言をしていたほど、医薬品関連に関する知識は豊富であり、バイオベンチャーの事業運営にも携わっていたことから、経営に関する事項にも熟知していた。

そうした経緯もあり、VCからの取引先の紹介や業界情報の提供など、周辺的な支援を期待することは、創業当初からそれほど多くはなかった。

製薬企業の紹介

開発パートナーとして契約を結ぶには至らなかったが、投資を受けたVCからは、日本の製薬企業を紹介していただいたことがある。

IPOによる経営効果と今後の展望

製薬会社を目指す以上、IPOは必然

当社は、現状では、販売まで至っている医薬品はないが、創業時から製薬会社になることを目指してやってきている。したがって、市場に出て、IPOをすることは絶対条件であると考え、当初からIPOを念頭に置いていた。

資金調達が主たる目的

創薬企業は、製品開発に常に多額の費用を投じる必要があり、資本市場で資金調達ができることが絶対条件であり、当社がIPOをした主たる理由は、資金調達をすることであった。

当社は、2005年2月に大証ヘラクレス市場に上場し、約134億円の資金調達ができた。この資金調達額は、2005年の新規公開における資金調達で2位の金額であり、IPO時の資金調達としては成功したと考えている。

また、2006年12月には米国NASDAQ市場に株式公開を果たし、その後に小規模ではあるが12億円程度のファイナンスも実施できた。

現在は急速に経済が減速していることもあり、新規の資金調達は困難な状況ではあるが、それは時期的なものでもあり、上場の目的は概ね達成できたといえる。

今後は、製薬企業を目指す

創業からしばらくは、販売できる製品もなく、多額の費用を投じることも困難であるため、開発パイプラインの構築に注力してきた。

しかし、創業時から、将来的には医薬品販売企業としての展開を念頭においており、当社の経営体力が増した段階では、マーケティング・販売までを一手に手がけられるようになりたいと考えて、事業を運営している。

限られた経営資源での開発が求められるため、現在注力している2製品の開発案件のうち、多発性硬化症治療薬「MN-166」はライセンス導出により資金化を早める一方で、喘息急性発作の治療薬「MN-221」は上市までを自社で手がける予定で開発を進めている。

代表者プロフィール

代表取締役社長兼CEO 岩城 裕一
代表取締役社長兼CEO
岩城 裕一

2000年9月、当社を共同設立、設立当初より、2007年3月まで取締役会長。2005年7月、エグゼクティブ・チェアマン、2005年9月、チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)代行、2006年3月に社長兼CEOにそれぞれ就任。南カリフォルニア大学医学部泌尿器科学、外科学及び病理学の3分野の教授を務め、92年以来、同大学移植免疫及び免疫遺伝学研究室ディレクター。日本大学医学部及び九州大学客員教授。ピッツバーグ大学医学部教授(外科学及び病理学)。札幌医科大学においてM.D.及びPh.D.を取得。査読論文200本及び書籍40章超を執筆。過去20年に渡り、製薬会社及び投資戦略についての助言を行い、ナスダック上場のバイオテクノロジー企業であるアヴィジェン・インク等、バイオテクノロジー企業数社の取締役を歴任。日本政策投資銀行顧問。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

当社が創業から5年未満でIPOができたのは、バイオベンチャーブームというタイミングのよさもあったといえる。しかし、そのタイミングを逃さず、IPOにこぎ着けられるよう努力したという点は重要である。IPOだけでなく、何事も「必要になったら」ではなく「できるときに」というスタンスで物事を考え、状況が悪いなかでもこつこつと準備を進め、状況が好転したらすぐ動けるように準備をしておくなど、常に先回りして考え、準備を進めていくことが事業成功の秘訣である。また大学発ベンチャーの場合には、専門知識を有する大学教授だけでなく、経営ができる人材との両輪で事業運営をしていくことが重要であろう。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

同社は、日本で既に上市されていて安全性が確認されているものの、米国では開発販売されていない有望な医薬品を、新たな付加価値を付けて米国で開発していく日米の橋渡し役を果たし、「スペシャリティーファーマ(専門分野に特化した創薬企業)」という日本では新しい事業分野を開拓したパイオニア企業である。また、医師でベンチャー経営の経験もある経営者に率いられ、医薬品開発経験者を揃えたベンチャーで医療現場のニーズを熟知していること、目利きとしての能力、米国での開発経験と知識、国内外での製薬業界・医師の人的ネットワーク、米国のベンチャー経営の経験を持つ経営者など、主に人材と保有パイプラインを評価し、投資に至った。

VCの視点からみた同社の成功要因

ユニークで優秀な人材と、製薬企業のニーズ、医療ニーズの双方がマッチングした新しいグローバルな事業モデルを開拓したことで、有望な製薬シーズを集め、VCからの資金調達にも成功したことが大証ヘラクレス市場への早期IPOへ繋がった。

その結果、株式市場でも医薬品開発に必要な資金調達が集まり、NASDAQにも株式公開を果たすなど、バイオベンチャーバブル崩壊後も、開発医薬品を絞り込んで着実に医薬品候補の開発を進めている。今後は自社開発医薬品の導出や上市などを実現することで、真のスペシャルティーファーマとして評価されるものと期待している。

((株)東京大学エッジキャピタル パートナー 長妻祐美子)

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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