本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社リニカル

大手製薬会社と開発マインドを共有できる真のパートナーとして医薬品開発に貢献

事業内容:製薬会社の医薬品開発における治験の一部を受託するCRO事業を展開
本社所在地:大阪市淀川区宮原1丁目6番1号 新大阪ビル10階
URL:http://www.linical.co.jp/ 設立年:2005年
株式公開年:2008年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):85百万円 資本金(2008年):191百万円
売上高(設立年):118百万円 売上高(2008年3月末):1,273百万円(連結)
従業員数(設立年):9人 従業員数(2008年3月末):105人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):大阪投資育成第4号投資事業有限責任組合(大阪中小企業投資育成株式会社)

事業概要

難易度の高い治験業務に特化する一方で疾患領域は限定せず

当社は、製薬会社の医薬品開発における治験の一部を受託するCRO事業(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)を展開している。近年、製薬会社は、厳しい国際環境のなかで経営統合・合併等の再編や医薬品開発力の強化を目的としたバイオベンチャー等の買収により、医薬品の研究開発に経営資源を重点的に投入する傾向が一層顕著になっている。特に、新薬の特許期間が切れると、同じ成分で安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)が製品化され、売り上げが落ち込むことが想定される。そこで、製薬会社は研究開発のスピードアップ(開発期間の短縮)と低コストの実現(固定費削減)のために、治験業務を行うCROにアウトソーシングを行っており、そのニーズはさらに高まっていくものと当社は考えている。ただし当社は、多くのCROが手がけている治験業務全般を受託する多角的なビジネスモデルは選択していない。当社の強みである経営資源(医薬品開発に関する高度な知識、技術、経験、社外協力者といった人脈等)を生かし、製薬会社の医薬品開発のパートナーとして、付加価値の高いサービスを提供する観点に立った上で、治験プロセス及び顧客に特化する事業戦略を選択するに至った。一方、扱う疾患領域は限定しないことで、より多くの患者に新薬開発により享受できる恩恵を提供する社会的使命を果たし、単なるビジネスとしての成功のみに終始することなく、国内外の医薬品開発に貢献することを目指している。

具体的には、医薬品開発の治験過程の中でも難易度・重要度の高い第II相、第III相におけるモニタリング業務及び品質管理業務、さらに当社の標榜する医薬品開発の真のパートナーとしての顧客(製薬会社)へのコンサルティング業務に特化している。開発業務を特化させることで、当社の持つ医薬品開発の知識・技術・経験等の経営資源を分散させることなく、製薬会社のニーズに十分に対応できる仕組みを構築している。

加えて、顧客に関しては、国内大手製薬会社に特化して取引を行っている。大手製薬会社は、常に医薬品の開発・承認申請業務に着手しており、最新の医薬品開発情報を豊富に有している。当社は、これらの情報をタイムリーに入手、キャッチアップすることが出来、製薬会社の開発チームと伍して、医薬品開発をサポートすることを目指しており同業他社との差別化を図っている。

創業からVCに出会うまでの経緯

大手製薬会社の研究開発担当メンバーによるスピンアウト

当社は旧藤沢薬品(現:アステラス製薬(株))において新薬開発に携わっていたメンバーを含む9人が、旧山之内製薬との合併をきっかけとしてスピンアウトした会社である。秦野和浩代表取締役社長は、皮膚科向け医薬品大手のマルホ(株)に入社後、メディテックインターナショナル(株)を経て、旧藤沢薬品工業(株)開発本部に在籍し、世界的ヒット商品であるFK506(免疫抑制剤「タクロリムス」)の開発に携わった。その開発の第一線で活躍していたプロフェッショナルがスピンアウトしたことで、大手製薬会社の開発担当と同等の能力を有した人材が集まる結果となり、それが当社の強みの1つとなっている。そして、旧藤沢薬品時代に培った「医薬品開発はダイレクトに人の命に携わる仕事である」という使命感を常に持ちながら、100名余りの部下を持つ部長とさえも忌憚なくディスカッションが出来る環境を尊ぶ「藤沢のDNA」が、合併を機に失われるかもしれないという危機感がスピンアウトへと心を動かした。これからの医薬品開発を担う一員として、こうした想いを引き継ぎ、製薬会社の形態を採らなくとも、医薬品開発のコンサルティング機関として新しい立場で社会に貢献することの可能性にかけた創業であったと言える。

当時の競争環境については、すでに新薬開発のアウトソーシング市場は存在し、当社は後発組であったが、難易度の高い第II相、第III相を扱う特化型CROとしてのビジネスモデルは十分に通用すると確信していた。

発起人会に参画していた証券会社がVCとの接点に

リードVCであるエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ〔現:大和SMBCキャピタル(株)〕と初めて接触したのは、そのグループ証券会社経由であった。同証券会社の営業担当が、会社の発起人会に出席していたことによる。さらに、そのリードVCからの紹介を受けて、投資を受けたファンド(大阪投資育成第4号投資事業有限責任組合)の運営者である大阪中小企業投資育成(株)との付き合いが始まった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

時機を得たVCからの資金調達

投資は、リードVCであった大和SMBCキャピタル(株)が投資ラウンドを取りまとめて、2005年10月に大阪中小企業投資育成(株)を含めVC5社から協調投資として計1億円を実現してくれた。そのうち、大阪投資育成第4号投資事業有限責任組合は40株(計20百万円)を引き受けてくれた。

当社は、「投資とは、受けるだけでなく成功しなければならない」と強く認識している。そして、ベンチャー企業の経営とは、他に影響されるような流動的なものではなく、まさに自らの手に委ねられるものであると強く意識している。したがって、投資以外のVCからの経営支援に過度な期待をすることはなかった。事業計画はもとより、資本政策に関しても経営者自ら考え抜き、こうした取り組み姿勢も評価され、時機を得た資金調達が可能となった。大阪中小企業投資育成(株)は、当社の確固たる経営理念と事業戦略に深い理解と評価を示してくれた。また、出資受け入れの際の心構えやコーディネートに関して有益な助言やサポートを得た。

その後、当社は2005年10月に投資を受け入れ、経営初年度から黒字決算を果たしており、創業わずか3年目にして上場を果たした。急成長を遂げた要因の1つとして社長が営業活動からすべてにおいて状況を把握しており、機動的な経営が出来たことが挙げられる。また、社長も含め旧藤沢時代に培ったネットワークが、社員研修への協力などで活用されており、当社の成長を後押ししてくれた。

IPOによる経営効果と今後の展望

顧客からの信用力向上

2008年10月に東京証券取引所マザーズに上場した。拠点は大阪であったが、東証への上場の布石を打つべく、大証ヘラクレスではなく東証マザーズを選んだ。上場の条件を満たすため、報告義務に想定以上のコストを要したが、IPOは従業員のモチベーションの向上や人材のリクルーティングに大きく寄与した。中途採用で有能な薬剤師を確保するとともに、新卒の採用も行い始めている。

また、何より上場することによって、顧客である大手製薬会社からの信頼を得ることが出来た。市場の評価を得たことで、それまで顧客に強いてきた与信に関するコスト負担が軽減され、当社の取引の幅が広がった。

開発マインドを共有できる真のパートナーへ

当社は、IPO(株式公開)は1つの成長のプロセスに過ぎないと考えている。当社の目指すべき方向性は、すでに創業時からしっかりと描かれている。治験の受託機関で終わることなく、製薬会社の真の開発パートナーとしての存在を確立していくことである。そのためには、クライアントである製薬会社の開発マインドを共有し、一緒になってその薬を待っている患者の気持ちを考える姿勢が必要である。

開発マインドとは、当社の携わる薬がどんなコンセプトで開発され、どんな患者のために役立っていくのかを常に意識することである。

そこで当社は、Development(開発)を中心としたCDO(Contract development Organization 真の医薬品開発業務受託機関)を目指していくことを標榜している。

今後の事業展望としては、国内のみならず米国や欧州の臨床試験に対応していき、国際共同治験も見据えたトレンドを先掴みしていく所存である。

代表者プロフィール

代表取締役社長 秦野 和浩
代表取締役社長
秦野 和浩
1965年 3月17日生(京都府)
1990年 マルホ株式会社 入社
1998年 メディテックインターナショナル株式会社 入社
1999年 藤沢薬品工業株式会社(現:アステラス製薬株式会社)入社
2005年 株式会社リニカル 代表取締役社長 就任(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

将来の夢:リニカルを日本発のグローバルCDOにすること
起業家を志す方へ:「誠実であれ」
起業を応援してくれる人、取引先の方々、社員、株主の方々の期待を裏切ることの無いよう、最大限の努力をすることが大切と考えます。

ベンチャーキャピタルの声

大阪中小企業投資育成(株)ベンチャー投資第2グループ課長 関 兵馬
大阪中小企業投資育成(株)
ベンチャー投資第2グループ
課長

関 兵馬
同社に投資をするに至った判断のポイント

会社設立から間もない時分の投資検討でしたので、創業メンバーの力量や事業計画の妥当性を中心に判断しました。独立前から創業メンバーを知る方々にヒアリングをしたのですが、その評価が高かったことに、好印象を持ちました。また事業計画の妥当性は勿論のこと、足許の状況についてもオープンに開示されたため、投資後も信頼関係を保てる会社だと考え、投資に至りました。

VCの視点からみた同社の成功要因

一つの要因は、本物・実力志向の価値観だと思います。例えば同社から、業績の背景にある仕事の質や教育訓練を重視した説明を受けました。この価値観があればこそ、社外ネットワークも上手く活用出来たと考えます。

もう一つは、組織や規則への高い意識だと思います。未だ同社が小さかった頃、ある職員が「会社を代表して社外と接する」と仰ったことは、印象深いエピソードです。これが上場準備と事業拡大を両立させたと考えています。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

前の記事次の記事



このページの先頭へ