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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

インスペック株式会社

角館から世界へ、外観検査の分野で世界最高のメーカーとして未来への扉を開いて行く

事業内容:「TABテープ検査装置」、「フラットパネルディスプレイガラス基板検査装置」等の光学式外観検査装置の開発、製造、販売及び保守サービス
本社所在地:秋田県仙北市角館町雲然荒屋敷79-1
URL:http://www.inspec21.com/ 設立年:1988年
株式公開年:2006年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):5百万円 資本金(2008年):1,274百万円
売上高(設立年):112百万円 売上高(2008年):2,059百万円(2008年4月期)
従業員数(設立年):71人 従業員数(2008年):社員71名、常勤役員4名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):シーエスケイブイシー三号投資事業有限責任組合(シーエスケイベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

光学式外観検査装置のトップメーカー

当社は半導体及びIT関連デバイスの光学式外観検査装置メーカーであり、主要事業としては高性能画像処理技術、メカトロニクス技術、光学センシング技術を統合し、ハイエンドな検査ニーズに応える「TABテープ検査装置」や、「フラットパネルディスプレイガラス基板検査装置」等の開発、製造、販売及び保守サービスを行っている。半導体分野の研究開発型メーカーとして、事業領域を特化しつつ、外観検査分野での最もハイエンドな技術領域に挑戦し続けており、市場ニーズを先取りした検査装置の開発に注力している。

画像処理技術、メカトロニクス技術、光学センシング技術という外観検査の三大要素技術すべてを社内に保有していることが最大の強みで、独自開発の画像処理エンジン(「inspec I、II、III」)を有し、半導体パッケージの外観検査装置の分野ではオンリーワンの技術力を有した専門メーカーとして、確固たる地位を築くまでに至っている。

創業からVCに出会うまでの経緯

「科学少年」時代の想いに立ち返り、角館での創業を志す

当社の前身である太洋製作所は1984年にエレクトロニクス分野における電子部品組立を事業目的として設立された。

設立当初は、秋田県中小企業振興公社(現:財団法人あきた企業活性化センター)の紹介で、県内に誘致された大手企業(カセットテープレコーダーの磁気ヘッドメーカー)からの発注を請けて、磁気ヘッド等の組み立て業務を中心に事業を展開していた。

創業者である代表取締役社長の菅原は角館出身であるが、社会人としてのスタートは東京の食品メーカーであった。もともと子どもの頃から機械が好きな「科学少年」であり、エレクトロニクスメーカー等で機械に関わる仕事に就きたいと考えていたが、当時、地元にはそのような企業がなかったために、キャリアのスタートは東京となったが、3年勤務した後、所期の想いに立ち返り、角館での創業を決意した。

当社の創業当時は日本ソフトバンク社(現:ソフトバンク社)やマイクロソフト社が話題になり始めた頃であったが、インターネット等が全く存在していない時代であり、現在ほど地方と首都圏のビジネス上の距離感が近しくなっていない環境でもあったため、地方で企業が成長するためには、やはり「ものづくり(製造業)」が最適であろうと考えた。

そうした環境や年内の産業集積等を勘案し、創業初期の段階では、大手企業からの発注を請ける事業形態をコアに据えることにしたが、いずれは自ら仕事を決め、自分で責任を取れるような自主独立のメーカーとなりたいと常々考えていた。下請的な仕事が多くなってはいたが、高い技術力や地元での信用力の向上によって、発注元を取引条件の良い企業に3回変更するなど、自主裁量の余地を徐々に高めていくための経営努力を惜しまなかった。

外部環境の変化が原点に立ち返るきっかけとなり、メーカーへの転身を決意

そうした中で、1995年に転機が訪れた。当時の発注元企業が急に自社工場で内製化する方針を採ることになり、半年の猶予期間を置いて仕事が全てなくなるという岐路に立たされることになった。大きな外部環境の変化に突然見舞われることとなったわけであるが、技術力の向上等の経営努力を惜しまずに事業を切り拓いてきた自信が支えとなり、また、「いつかはメーカーとなる」という創業時の想い、原点に立ち返るきっかけを得たことで、半導体分野における研究開発型メーカーとして事業転換することを決意するに至った。

それは、「これからは何を作るかは自分たちで決め、自分たちの将来は自分たちで決める」という新しいスタートの決意であり、自分たちの意志と力で未来に挑むチャレンジスピリットの発露であったように思われる。

創造法認定がVCとの出会いの契機

メーカーとしての事業内容については、これまでに培った技術から何が生み出せるのかを検討したが、その際に運よく印刷会社における精密なリードフレーム検査の自動化、という案件に巡り合った。大手印刷会社との話し合いの中で明確な製品イメージを掴み、1995年末にリードフレームの検査装置の作成を決意した。

また、当該装置の開発資金の調達方法を検討する過程で「中小企業創造活動促進法」を知り、同法に基づく研究開発支援事業の認定を1996年2月に受けることができた。装置開発は認定後の1996年3月頃よりスタートしたが、新聞の掲載記事を見たJAFCO社が当社にアプローチしてきたことがベンチャーキャピタル(以下、VC)との初の接触であった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

先行投資型の事業形態に合わせた資金調達で成長スピードを維持

VCから最初に投資を受け入れたのは、リードフレーム検査装置の開発に邁進している1996年8月であった。検査装置は1997年6月頃に第1号機を出荷するに至り、顧客から性能を高く評価され、2億以上の売上を達成した。

そうした中で、成長スピードを緩めることなく、新たな技術課題をクリアしつつ事業拡大すべく、1997年10月、11月に増資及び転換社債にて資金調達を行った。これらの資金調達が当社独自の画像エンジン「inspec I、II、III」の開発の道を拓くものとなった。

当社は研究開発型企業であるため、先行投資型の事業形態とならざるを得ないため、開発資金等の調達には非常に苦労したこともあってVC等からの投資受け入れに対する抵抗感は低かったと思われる。

60%を超えるVC持株比率

2001年に「inspec II」が完成し、これを搭載したリードフレーム検査装置を出荷した。また、同年にテープ検査装置の第1号機を出荷したが、その頃から自社開発システムが徐々に売れ出し、数字に見える形で業況が変化してきた。2002、2003年も売り上げが伸びたが、これまでの研究開発費が大きく、財務的には債務超過状態であった。その後事業の見通しが立つようになり、VC(JAFCO社、MVC社、CSKベンチャーキャピタル社等)に接触して2003年11月、2004年2月の2回(合計9社、うち8社はVC、1社はメーカー)にわたり、総額約10億円を調達した。我が国のIPO事例としては珍しいケースであろうが、当該時点で、当社株式のVC持株比率は60%を超えていた。自己資本比率に拘泥せず、財務内容の改善のため資金調達を優先させたからである。

実際の細かい上場準備は2004年2月の増資後から開始したが、2000年より会計処理は上場審査に対応するよう変更しておいた。会計処理の変更については当初は非常に手間取ったが、当時から徐々に組織変更や会計処理の対応を行ってきたことが結果としては円滑な上場準備につながったと認識している。

2003、2004年の増資前後には売り上げも明らかに増加し収益率も改善したが、何よりも取引先の信頼が増した。当社の将来性について取引先が(当社抜きで)VCと話し合うこともあったようだが、ステークホルダーといい関係を作ってくれたように思う。

業務報告会での質問が気付きの機会に

2003年の大規模増資の後、引き受け先の各VCに対して毎月1回の業務報告会を行った。取締役会のような雰囲気で、参加VC各社より様々な視点から厳しい質問を受けたが、予実管理等の面で参考になることが多く、2006年6月のマザーズ上場後の決算説明やIR活動等の際にも当時の経験が役立っている。毎月の業務報告会を行ったことが経営陣の意識改革につながる等、非常に良い経験となった。

CSKベンチャーキャピタル社については、業務報告会に毎回出席し、必ず何らかの有用な質問等を頂いたという印象がある。また、CSK関連企業の紹介を頂いたこともあった。

IPOによる経営効果と今後の展望

大手取引先企業に対する信用力が向上

念願だったIPOを経験して、取引先企業(多くが大企業)に対する信用力が大きく向上したことを実感している。実際、製造ラインにおいて検査装置は重要な役割を果たすこともあり、企業の信用度が低ければ様々な取引条件を課せられることがあるが、IPO後にはそのようなこともなくなった。また、金融機関の対応もIPOの前後では目に見えて好転した(尤も、IPOだけではなく、財務健全化の影響も大きい)。

外観検査で世界最高を目指す

半導体関連分野の市場は今後も確実に成長を続けていくことが予測されるが、数年先の市場の変化に伴う技術ニーズに対応するため、開発サイクルの波が途切れないような製品戦略を推進し、技術の高度化と製品ラインナップの拡大を図っていく予定である。

「外観検査という分野で世界最高のメーカーになる」という当社の目標を達成するため、技術的にも、経営的にもより高く、より強いところを目指し、強い意志と勇気を持って、チャレンジを続けて行きたい。世界市場でオンリーワンのソリューションと、ナンバーワンのCS(顧客満足度)を目指し、角館から世界への扉を開いて行く。

代表者プロフィール

代表取締役社長 菅原 雅史
代表取締役社長
菅原 雅史
1954年 3月3日生
1974年 森永乳業株式会社 入社
1984年 太洋製作所(個人企業) 創業
1988年 有限会社太洋製作所を設立 代表取締役社長に就任
1991年 株式会社太洋製作所に組織変更
1997年 株式会社大洋製作所に商号変更
2001年 インスペック株式会社に商号変更 代表取締役社長(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

将来の夢
 希望に満ち、誇りを持てる、より強い会社になること。
起業家を志す方へのアドバイス
 目標は大きく持つこと。具体的に、期日を決めて。
 それをブレークダウンし、一歩一歩確実に実行すること。
 何があっても決してあきらめないこと。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

主力製品のBGA、リードフレーム等の外観検査装置のマーケットについて、大きな規模が期待できること。大手ユーザーからの引合いや、代理店等のヒアリングからも性能の高さが伺えたこと、特に「位置決めの正確性」「画像処理ソフトの処理性能」では競争力が高かった。これら主力製品の粗利率が高い点も評価できた。当時の足元の業績も一定の受注見込みが期待でき、次世代の画像処理ソフトの開発は順調に推移していた。

VCの視点からみた同社の成功要因

外観検査装置の技術的な優位性(位置決めの正確さと検査のスループットの速さなど)と投資家(当社の株主)でもあった事業会社からのバックアップがあったこと。大手企業に採用が決まったこと。資金調達によって財務体質が強化されたことなど。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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