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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

クラスターテクノロジー株式会社

人の力でテクノロジーを融合させ、知的資産を育み、新産業創生の未来を拓いていく

事業内容:複合材料の開発・製造、金型製作などの微細加工、精密成形品の開発・製造、ナノテク関連製品の開発・製造、品質検査等の解析・計測
本社所在地:大阪府東大阪市渋川町4丁目5番28号
URL:http://www.cluster-tech.co.jp/ 設立年:1996年
株式公開年:2006年 市場名:大証ヘラクレス
資本金(設立年):50百万円 資本金(2008年):1,240百万円
売上高(設立年):874百万円 売上高(2008年):920百万円
従業員数(設立年):49人 従業員数(2008年):74人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ジャイク・バイオ壱号投資事業有限責任組合(日本アジア投資株式会社)、など

事業概要

ナノに至る領域でテクノロジー(基幹技術)を融合させる高い技術力

当社の事業は「マクロ・テクノロジー事業」、「ナノ/マイクロ・テクノロジー事業」に大別されるが、マクロからマイクロ、ナノに至る領域の製品を手がける高度な技術力を有する。

複合材料開発製造から精密成形加工、超微細加工、解析・計測技術まで一貫した技術を有していることに加え、それらの基幹技術を融合させ、新たな装置を開発する技術を有していることが当社の強みとなっている。

融合技術の代表例として挙げられる樹脂製『パルスインジェクター(R)』は、当社が有するポリマーの複合技術と金型技術、成形技術を融合させることで実現した技術であり、エレクトロニクス、バイオ、環境・エネルギーなど様々な産業に大きな影響を与える可能性を秘めたものである。

「人の力」でテクノロジーを融合させ、独自の「知的資産」を育むのが当社の成長モデルであり、複数の技術を同時並行で開発し、1つの事業や技術に大きく依存することなく、ナノテクノロジーをベースとした融合化技術を追求・発展させて日本の産業を付加価値のあるものへと変えて行きたいと考えている。

創業からVCに出会うまでの経緯

母体企業の一部門からスタートし、子会社化を経て分離・独立へ

当社は安達新産業株式会社(当時の商号:株式会社安達新商店)の東大阪工場に礎を置く。安達新産業社は1969年に複合成形材料の製造事業をスタートさせたが、当社の前身である東大阪工場がこれを担い、3年後の1972年には熱硬化性エポキシ複合材料『エポハード(R)』を開発し、マクロ・テクロジー事業の生産を開始するに至った。また、1977年には日本国内初の熱硬化性エポキシ射出成形用複合材料の開発に成功している。

その後、大阪大学との共同研究による無機層状化合物と有機物の複合材料(『エポクラスター(R)』)の特許取得(1982年)、精密アッセンブリー事業の開始(1987年)等を経て、1991年に安達新産業社の子会社(製造部門)として、資本金5,000万円で当社は創業された。

安達新産業社から完全に分離独立したのは1996年で、同年に東大阪工場の全事業を移管し、翌1997年には本社・大阪工場(大阪府東大阪市)を新設し、複合材料から精密機器デバイス製造の一貫メーカーとして体制を確立し、新たな企業としてクラスターテクノロジー社が設立された。

ナノテクノロジーのトップダウン・ボトムアップの両技術で切り拓く

1969年から開発販売している『エポハード(R)』を原料にした成形碍子や、また、精密成形用複合材料『エポクラスター(R)』を原料にしたDVC用シリンダーベース成形品では国内シェアトップとなっており、分離・独立前からの積み重ねと蓄積された知的資産が当社の安定的な収益源となっている。

一方で、当社が有する技術を融合させて開発した樹脂製『パルスインジェクター(R)』は、今後、ナノテクとしての用途が大きく広がる可能性がある。これを活用すれば、生体微粒子であるDNA、タンパク質、細胞や菌、バクテリアから金属、セラミックス、有機高分子にいたる物質を様々な基板に自由にコントロールしながら配置することが可能となるからである。

ナノテクノロジーはトップダウンとボトムアップという2つの技術に区分できるが、当社はこのトップダウンとボトムアップの両面から機能性を持たせるためのデバイス製造・加工技術を活かすことで日本の産業を変えていきたいと考えている。

複合材料技術、精密成形加工技術、微細加工技術、解析・計測技術、融合技術を保持する当社は、自社開発技術としてナノテクノロジーのトップダウン・ボトムアップの両技術を備えており、市場での大きな差別化要因となっている。5つの技術を全て備えている企業は、大手企業は別として中堅・中小・ベンチャー企業ではほとんど見当たらない。

実際、大手パネルメーカーから当社が保有する技術の譲渡・買収を打診されたこともあったが、クラスターテクノロジーという商号に象徴されるような、「産業の基礎となり、あらゆる産業に貢献する」という創業時の想いや当社の経営理念に照らし合わせて、そうした申し出を断ってきた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

ナノテクノロジー事業に関する研究開発スタートのタイミングでVCから調達

当社は前述したような技術的アドバンテージをうまく活かすよう、1つの事業に大きく依存しない企業体質の構築を図るなど、中長期の事業戦略を常に考えて企業経営に注力してきた。そうした経営努力が当社をナノテクノロジー領域での上場第1号企業にまで発展させることとなったが、現在のポジションを確立するまでには、金融機関から融資を引き出せない等、資金調達面での困難も少なくなかった。融資の担保として創業者個人の自宅不動産を拠出するよう銀行から要請されたが、断ったこともある。

このような経緯の中で、創業から4年後の2000年6月に大阪中小企業投資育成株式会社から投資を受け入れることとなった。直前の同年4月にナノテクノロジー事業に関する研究開発をスタートさせたタイミングであった。

執念でインクジェットシステムの開発を実現:開発続行の道をVCが開く

大阪中小企業投資育成社も含め、ベンチャーキャピタル(以下、VC)との接触はいずれもVC側からのアプローチによるものであったが、大阪中小企業投資育成社からの投資受け入れ後、VCからのアプローチが増えた。同社の投資先として同社機関誌に当社が掲載されたことが他VCからのアプローチ増につながったと思われるが、翌年の2001年には日本アジア投資株式会社(以下、JAIC)に対して第三者割当を実行し、更に2002年にも増資し、資本金を24,500万円とした。

JAICからの調達資金は主にインクジェットシステム(『パルスインジェクター(R)』)の開発・完成に充当した。インクジェット開発期間中は赤字が続き、開発の継続には社内で異論もあったが、事業の見通しが立ちつつあったため、執念とも言える気概で開発を続行した。現在、大学や研究機関向けの研究・実験用機器から企業の開発機器として用いられるまでに至っており、今後は試験・分析機器としてバイオテクノロジー分野での販売も進めていく計画である。このような技術は現在のところ他社では実現できておらず、当時、資金調達によって開発続行の道を開いてくれたVCの存在は大きかった。

但し、一般的に資金繰りが厳しい企業が運転資金用途で調達する場合、「(例え少額であっても)借りられるだけ借りたい」という思いが勝りがちであるが、当社の資金調達は綿密な事業計画に基づくものであり、当時の赤字の状況にあっても、その姿勢は揺ぎ無いものであった。

また、リードVCであるJAICは、初回の大阪中小企業投資育成社以降の投資ラウンドにおいて他のVCとの協調投資を組成してくれ、時機を得た円滑な資金調達が実現している。

IPOによる経営効果と今後の展望

財務の安定化と工場増設が実現

当社は2006年4月に大阪証券取引所「ヘラクレス」への株式上場を果たした。

IPOを達成したことによって、商材等の取引条件が良くなったり、商品開発等の仕事の依頼が増えたりといった好影響が見られた。知名度の向上や上場企業としての信用力といった面でも当社ではIPOの効果を実感している。

また、公開市場における増資によって高い自己資本比率(94%超)を実現した結果、財務状況の改善と安定化がもたらされ、調達資金は関東工場増設等の設備投資を実現するものともなった。

なお、IPO直後の2006年5月に、当社は経済産業省中小企業庁により「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」に選定されている。

知的クラスターの創生に寄与したい

当社の2008年3月期決算説明会資料には、表紙に「夢と技術が房(クラスター)となり、大きな明日を作る」という当社のビジョンが明記されている。「人と技術の知的資産で未来を拓いていくことが当社の社会的役割である」との自己認識が、こうした表明につながっている。

当社の技術は「ものづくり」の基礎・基盤となるものであり、産業や経済、延いては国全体に好影響を与えるものに成長すると自負しており、そのような視点を常に併せ持ち利益主義に陥ることなく、「何のための技術か?」ということを日々問いかけながら企業経営に注力して行く所存である。当社では、そうした役割認識を持ち、創造的な姿勢で仕事に取り組む人々の集まりこそが「知的資産」であり、そこからまた、テクノロジーとしての「知的資産」が生まれると考えている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 安達 稔
代表取締役社長
安達 稔
1944年 9月10日生
1967年 中央産業貿易株式会社 入社
1969年 株式会社 安達新商店(現:安達新産業株式会社)入社
1974年 安達新産業株式会社 取締役 就任
1991年 クラスターテクノロジー株式会社創業 代表取締役専務 就任
1996年 クラスターテクノロジー株式会社設立 社代表取締役社長 就任(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

ベンチャー企業であれば、どのような事業であっても目指す方向を定め、地盤作りを行うことが重要です。また、単一技術だけで事業を安定化させることは困難であり、自社だけではなく産業クラスターとして連携する等、視野を広げることも重要だと思います。

1つのテクノロジーがどのように応用されるかを想像することは決して容易ではなく、さらに現在は商品サイクルが徐々に短くなってきている状況にあるため、ベンチャー企業でも事業に広がりを持たせることが必要で、収益化はそのような広がりを確立してから先のこととして捉えるべきでしょう。

また、企業の責任は人を創るということであると私は考えています。収益化やIPOを目的とするのではなく、人を育てることが重要な経営課題です。現在、社会問題となっている様々な事象の根底には、企業側が若年者に対して夢を提示できないという問題もあると考えます。経営は業績・利益のみを追求するのではなく、「企業が人を、そして社会を創るものである」ということを経営者は念頭に置いて日々の経営に尽力すべきだと考えています。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

同社の持つ技術は優れている上、応用範囲が広く、今後の普及が見込まれたこと、大手企業と提携及び協力関係にあったこと、数値管理がしっかりしていたこと、経営者が技術に精通しているだけではなく、中長期的な企業戦略を常に考えていることを評価し、投資を実行した。

VCの視点からみた同社の成功要因

同社は長年、樹脂射出成形の事業を営んでおり、そこから派生した微細加工技術が、当時世間の注目を集めていたナノテクの一つとして産学両方面から評価されるようになった。先行する研究開発費をVCからの資金調達でうまくカバーしながら、優秀な人材の獲得を進め、プレスリリースを効果的に活用するなどした、社長のバランス感覚がIPOまで辿り着けたポイントであったと思われる。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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