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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)

誰も挑戦したことがない再生医療の産業化に取り組み、21世紀の医療を変えてゆく

事業内容:再生医療製品事業、研究開発支援事業
本社所在地:愛知県蒲郡市三谷北通6丁目209番地の1
URL:http://www.jpte.co.jp/ 設立年:1999年
株式公開年:2007年 市場名:ジャスダック証券取引所NEO
資本金(設立年):100百万円 資本金(2008年9月末):5,543百万円
売上高(設立年):0百万円 売上高(2009年3月末):273百万円(予想)
従業員数(設立年):9人 従業員数(2008年9月末):93人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):日興地域密着型産学官連携投資事業有限責任組合(日興アントファクトリー株式会社)

事業概要

日本の再生医療の発展を担うトップランナー

当社はヒト細胞・組織の培養または加工による自家培養表皮等の再生医療製品事業、および研究開発支援事業を主要な事業としている。再生医療の第1号承認(2007年10月に厚生労働省より製造承認)を得た自家培養表皮「ジェイス」(承認番号:21900BZZ00039000)をはじめ、当社の再生医療製品は圧倒的な競争優位性を保っている。また、当社は日本で唯一、細胞利用製品の製造に適したGMP(Good Manufacturing Practice)設備を保有する企業でもある。

バイオベンチャー並びにバイオビジネスにおいて特異ともいえる存在感を示すに至っているのは、日本初の再生医療製品メーカーとして最先端医療に携わっているだけではなく、当社が我が国には存在しない再生医療という産業を創出しているからである。当社は、「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる」ことを企業理念とし、法規制・倫理面での課題に直面しながらも、今まで誰も挑戦したことのない再生医療の産業化に取り組み、その実現に一歩ずつ着実に近づいている。

ティッシュ・エンジニアリング

キャリアで懸架した培養表皮シート

再生医療とは失われた組織や臓器をもとの状態に戻す(=「再生する」)ことによって根本治療を目指すものであり、21世紀の医療を劇的に変える無限の可能性を秘めている。この再生医療のキー・テクノロジーとなっているのは「ティッシュ・エンジニアリング(組織工学)」と呼ばれる研究分野である。生きた細胞を使い本来の機能を可能な限り保持した組織・臓器を人工的に作り出す技術で、「細胞」、「材料」、「生理活性物質」の3要素を適切に組み合わせることで、生体機能を持つ組織・臓器を創出するのである。


創業からVCに出会うまでの経緯

ニデック社の25周年記念プロジェクトから派生して設立

当社はもともと株式会社ニデック(眼科医療機器メーカー)の子会社として設立された。ニデック社による当社設立の経緯としては、ニデック社が創業25周年を迎えるにあたり、将来のための事業拡大・新規事業参入を企図して1994年に社内にプロジェクトチームを設置したことから始まる。

プロジェクトは当初3年を予定しており(後に1年延長)、経営側からの要請は「市場規模:1,000億円、ニデック社の売り上げ:100億円、同利益:10億円」を望める事業機会を探索することであった。

数百に上る候補から環境、エネルギー、IT、アンチエイジング、食品、医療等の分野に絞って行き、最終的にはティッシュ・エンジニアリングを技術ベースにした再生医療を新規事業化の対象領域として選定した。当時、当該事業は米国では徐々に立ち上がりつつある状況にあったが、日本ではまだティッシュ・エンジニアリングという言葉すら一般化しておらず、誰も取り組んでいない未知の領域であった。環境、IT等の他の候補はニデック社がやらなくとも他の企業が手がけるであろうことが予想され、ニデック社としては他企業がやらないことに取り組みたい、という強い想いからこの事業を選定するに至った。

事業領域の選定まではニデック社内部のプロジェクトとして推進してきたが、実際の事業化にあたっては社内のリソースのみでは困難と判断されたため、富山化学工業株式会社、株式会社イナックス(現:株式会社INAX)に資本・経営参画を、株式会社セントラル・キャピタル(現:三菱UFJキャピタル株式会社)には資本参画を依頼することとなり、当社は1999年2月に設立されている。

国内外の大学からの技術移転

当社が日本最初のヒト細胞を用いた再生医療製品として開発した自家培養表皮は、Green型培養表皮と呼ばれるもので、米国ハーバード大学医学部のHoward Green教授が1970年代に開発した、マウスの線維芽細胞と共に培養して培養表皮シートを作製する手法を用いたものである。また、当社では培養方法に関して名古屋大学の上田実教授から技術移転を受け、開発者であるHoward Green教授と世界的な臨床的権威であるイタリアのMichele De Luca博士の指導の下、ノウハウを蓄積しており、世界最高水準のGreen型培養表皮を作製する技術を有するに至っている。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資本政策の転換とIPOの決意

当社は設立後から2004年まではニデック社、富山化学工業社、イナックス社をはじめとする創業株主や役員、エンジェルから総額約20億円の出資を受けていたが、2004年時点で出資受入れしているVCはセントラル・キャピタル社とグローバル・ベンチャー・キャピタル社の2社のみであった。

ニデック社をはじめとする創業株主達は当初、当社を上場させる計画をもたなかったが、薬事法変更の影響等で当社が事業計画の変更と遅れを余儀なくされる状況に直面した際に、追加的な出資が困難であることを理由に、当社が独力で資金調達するよう、創業株主達から要請があった。

また、当社設立後の研究開発に注力したステージでは20億円程度の資金で5年半にわたる企業経営が手当てできたが、薬事承認申請後には年間で約10億円の運転資金が必要となる事態に直面していたこともあり、資本政策を抜本的に練り直す中で第三者割当増資を経て株式上場を目指すことを決意した。

40億円の第三者割当増資の実施

2004年8月に約25億円、次いで2007年3月に約15億円の第三者割当増資を実現し、2回のラウンドで計40億円の資金調達を実行している。

日興アントファクトリー株式会社からは2007年3月に出資を受けたが、当社のビジネスモデルに対して深い理解と興味を示してくれたという好印象に加え、資本政策上IPOに向けて不可欠であった第三者割当増資による資金調達を理想的なタイミングで成しえたこと、他社からの追加投資の呼び水となったことなどの具体的なメリットがあった。

IPOによる経営効果と今後の展望

"薬事承認取得後のIPO"第1号

2007年12月にジャスダック証券取引所NEOへの上場を果たしたが、薬事承認取得後のIPOに拘った当社は、バイオベンチャーの中で「薬事承認取得後にIPO実現」の第1号となった(NEOのバイオ銘柄第1号並びに愛知県蒲郡市に本社を置く企業の上場第1号でもある)。

モチベーション向上と基礎の確立

IPOによる経営効果としては、(1)人材、(2)資金調達、(3)企業存続の永続性に関する事項が挙げられる。

人材については、従業員のモチベーションや気概の向上があり、また知名度の向上によって新卒・中途採用において優秀な人材の獲得が容易となった。「再生医療という革新的なビジネスをしっかりとやっている信用力のある企業」というイメージの形成が「志」のある人材を惹き付けることにつながっており、現在では県外出身者が6割を占める人員構成にもIPOの効果が現れている。

資金調達については、調達時の選択肢が増加したことや銀行からの融資が受けやすくなったことに加え、当社株式が個人株主を中心に支えられていることもあり(2008年9月30日現在の発行済み株式のうち「個人・その他」が53.1%を占める)、高い流動性を確保するに至っている。

また、IPOを契機として、コーポレート・ガバナンスやディスクローズ(PR&IR)体制の強化、社会的な信用力向上等が実現し、企業が永続するための基礎が確立されることとなった。

ただし、IPOは一つの通過点で本業があってこそのものであり、その経営効果を十分に享受するためにも、IPO後において、いかに継続的且つ誠実に企業価値の向上に取り組むかということが永続的な企業存続には欠かせない経営命題であると認識している。現行の再生医療製品の強化に引き続き注力するとともに、製品ラインナップの拡充と海外展開も見据えながら、再生医療の発展に尽くして行きたい。

代表者プロフィール

代表取締役社長 小澤 洋介
代表取締役社長
小澤 洋介
1964年 2月18日生(愛知県出身)
1988年 SRIインターナショナル 入社
1996年 株式会社ニデック 入社
2004年 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 代表取締役社長 就任(現任)
将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

ベンチャー企業を取り巻く状況は厳しいと思いますが、ベンチャービジネスというリスクの高いビジネスにおいても結果が全てであり、ベンチャーだから失敗しても仕方ない、と容認されるものではありません。結果を導き出すことの大切さに常に立ち返りながら刻々と変化する日々の経営に尽力することが重要です。経営に近道などなく、リスクという経営責任を負う姿勢の先に企業存続が実現するのだという認識を持って下さい。

また、企業経営の根幹は「人」であり、「人」を動かす「志」や「気概」がなければ「人」は集まりません。「志」と「気概」の先に道は開かれるもので、戦略的に気概をもって努力する起業家こそが運を呼び込み、成功を手にすることができるのです。

医療というビジネスフィールドでは残念ながら海外流出が相次ぎ、延いては我が国の医療費高騰という将来の問題を引き起こしかねない状況です。それゆえ、再チャレンジを可能とする仕組み作りを行うとともに、インターナショナルな感覚をもった「志」ある起業家が日本で勝負する風土を皆で醸成し、バイオベンチャーの輩出を通じてイノベーションを促進することで、日本の医療を変革していくことが求められているのです。日本の将来を担おうとする高い「志」をもつ起業家の登場に期待を寄せています。

ベンチャーキャピタルの声

日興アントファクトリー(株)ベンチャーキャピタル投資グループプリンシパル 角田 健治
日興アントファクトリー(株)
ベンチャーキャピタル
投資グループ
プリンシパル

角田 健治
同社に投資をするに至った判断のポイント

当社の中核事業である培養表皮は、2004年10月に製造販売承認を申請したものの、2年以上にわたって承認されていないという状態が続いていました。独自の調査により、これが数ヶ月中に高い確率で承認されると判断し、2007年3月に投資しました。

VCの視点からみた同社の成功要因

経営陣が、適切なアクション・プランを、強い信念を持って、諦めずに遂行したことだと思います。ロビィ活動のような間接的なアプローチも含め、ありとあらゆる手を尽くし、粘り強く対応したからこそ、他社に先駆けて実現できたのだろうと考えています。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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