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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

カルナバイオサイエンス株式会社

キナーゼにターゲットを絞り、創薬基盤技術を強化、医薬品の創製を目指す

事業内容:創薬支援事業(キナーゼタンパク質、アッセイ開発、スクリーニング・プロファイリングサービス)、創薬事業(キナーゼ阻害薬)
本社所在地:神戸市中央区港島南町5丁目5番2号KIBCビル511
URL:http://www.carnabio.com/japanese/ 設立年:2003年
株式公開年:2008年 市場名:ジャスダックNEO
資本金(設立年):269百万円 資本金(2007年):1,521百万円
売上高(設立年):5百万円 売上高(2007年):513百万円
従業員数(設立年):15人 従業員数(2007年):39人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):シーエスケイブイシー三号投資事業有限責任組合(CSKベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

キナーゼのリーディングカンパニー

当社は、鐘紡から新薬事業の営業譲渡を受けた、オランダの創薬企業Organon N.V.の日本法人 日本オルガノン(株)内に開設された医薬研究所が、2003年4月にスピンオフして誕生した。

当社は、日本オルガノン医薬研究所時代から特化して研究してきたキナーゼ(タンパク質の一種で、他のタンパク質にリン酸基を付加する酵素であり、これが働きすぎることでガン、リウマチ等の病気が引き起こされる)に的を絞り、創薬支援事業及び創薬事業を展開している。

当社は、キナーゼに関連する創薬支援事業や創薬事業を通して、人々の命を守り、健康に貢献することを基本理念としている。

高品質のキナーゼ製造販売等の創薬支援事業を通じた、新薬開発への貢献

当社は、製薬企業に対してキナーゼ阻害薬の研究開発プロセスにおいて必須となる化合物プロファイリング技術やキナーゼ基質探索技術等の創薬基盤技術を提供し、創薬企業の創薬事業を支援している。

新薬開発のプロセスには、前臨床試験に入る前に行う、(1)創薬ターゲットの同定、(2)リード化合物の創出、(3)リード化合物の最適化という創薬研究段階があり、当社はこの創薬研究段階に焦点を絞り、同段階で必要になる(1)キナーゼタンパク質の製造販売、(2)アッセイキット開発・販売、(3)プロファイリング・スクリーニングサービスの受託事業等を展開している。

2008年9月末現在、キナーゼタンパク質304種類を揃えている。また、アッセイキット、スクリーニング・プロファイリングサービスは276種類のキナーゼに対応している。当社以外には、米国2社が200種類以上のキナーゼを販売しているが、当社は品質の高さと品揃えの豊富さで競争優位性を確保している。

国内外企業等との共同研究等を通じた創薬事業の展開

当社は創薬事業として、(1)社内で見出された新薬候補化合物を適切な時期に製薬企業にライセンスアウトする自社型、(2)研究初期より製薬企業とのスポンサー契約締結をし、研究開発を進めていく受託型、(3)当社と技術的な補完関係にある会社等との共同研究型の3つの方式を組み合わせてパイプラインを充実させてゆく予定である。

なお、当社の創薬事業は、膨大なコストと開発中止のリスクが高い第3相臨床試験(PIII)以降の段階は手がけず、それ以前のいずれかの段階で大手製薬企業に化合物を導出し、ライセンス契約による一時金やマイルストーン収入、ロイヤリティー収入を受け取る収益モデルを想定している。

現時点でライセンスアウトに至ったケースはないが、良く効き副作用の少ないキナーゼ阻害医薬品を作り、年間売上1,000億円以上のブロックバスターを創製することを目標にしている。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業メンバーを中心とした出資

当社は、スピンオフで誕生した企業でもあり、創業当初から19名の陣容で業務を開始したことから、人件費等の経費だけでも相当の運転資金が必要であった。

そこで、役員・部長クラスをはじめ、その他従業員や親密関係者から出資を仰ぎ、2003年4月の登記時の資本金は1,000万円であったが、操業開始時の同年8月には同5,420万円まで増資することができた。

創業時からVCとコンタクト

上記のような経緯もあり、創業時から役員や従業員等だけでなく、外部からの資金調達の必要性も高かった。しかし、創業間もない企業が銀行からの融資を受けることは不可能であるため、どういう方法があるのかを模索していた。

そのような折、当社の顧問である愛媛大学の東山繁樹教授から、バイオベンチャー「アンジェスMG(株)」やバイオに特化したVC「バイオサイトキャピタル(株)」に携わっている大阪大学の森下竜一教授を紹介され、ビジネスモデルの構築や資金調達の指南をいただいた。

また、当社の取締役が友人の経営コンサルタントにアドバイスを仰いだところ、同コンサルタントがCSKベンチャーキャピタル(株)でITとバイオ分野の投資を担当している人物と知り合いで、同VCとコンタクトをとることができた。

こうした人的ネットワークを通じて、バイオサイトキャピタル(株)と、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営するCSKベンチャーキャピタル(株)から事業を開始してまもない創業年の9月に出資を受けることができ、他の出資者も合わせて1億円程度を調達することができた。

さらなるVC投資の実現

CSKベンチャーキャピタル(株)とバイオサイトキャピタル(株)以外の他のVCについても、出資を受けられるよう社長自らが積極的にコンタクトを続けていたこともあり、創業年の12月に追加出資を受け、創業年だけでもVCだけで全4社からの投資を受け、総資金調達額は2億5,000万円を超えた。

その後も、2005年11〜12月と2007年1月及び3月に増資を行い、IPOまでの間に投資を受けたVCは20社程度に上る。

なお、あとから投資を受けたVCのうち1社がVC側からのコンタクトである以外は、CSKベンチャーキャピタル(株)を中心としたVCから紹介を受けて投資が実現したものである。

VC等を活用した事業の拡大と成長

設立登記から支援を受ける

創業メンバーは資金調達だけでなく、会社の設立登記に必要な手続きや書類などにも全く知識がなかった。しかし、CSKベンチャーキャピタル(株)の担当者は、登記などの各種手続きから支援をしてくれたおかげで、順調に手続きを進めることができた。

VCの紹介による資金調達支援

前述のように、あとから投資を受けたVCのうち1社以外は、CSKベンチャーキャピタル(株)を中心としたVCから紹介していただき、投資が実現した。

紹介に際しては、事前に担当者に話をつけていただいていたため、当社から出資のお願いをした際にも話しがスムーズに進み、紹介いただいたほとんどのVCから投資を受けることができた。この点からも、CSKベンチャーキャピタル(株)から投資を受けたことにより、大きな投資の呼び水効果があった。

取締役の派遣や人材紹介

CSKベンチャーキャピタル(株)からは、投資直後から取締役を派遣いただき、経営面の各種支援を受けている。

それだけでなく、当社のネットワークでは人材を揃えられなかったが、経理などを担当できる優秀なスタッフ2名(うち1名は公認会計士)を紹介いただいた。

上場準備支援

CSKベンチャーキャピタル(株)には、上場準備を支援する専門の部隊がある。専門部隊の担当者は、国内の大手証券会社出身者が多く、上場の準備にあたって必要なことを非常にわかりやすく指導いただいた。

IPOによる経営効果と今後の展望

早期IPOにはVC投資が貢献

当社が創業から5年という短い期間でIPOを果たせたのは、VCから多くの出資をいただけたことが非常に大きく、創業当時に計画したビジネスプラン通り創業から5年でのIPOが実現できた。

また、当社の場合、スピンオフした際に必要なインフラが整っていたことから、調達した資金を優秀な人材の獲得や研究費にすべて振り向けられたことが、短期間での成長につながったといえる。

IPOによる社会的信用力の向上により、欧米製薬企業との年間契約締結へ

当社は、2008年3月25日、ジャスダックNEOに上場した。

当社は顧客の約9割が海外の製薬企業であり、特に米国企業が40%を占める。当社にとって、欧米、特に米国の製薬企業のオフィシャル・プロバイダーになることが、営業上非常に重要なことである。しかし、オフィシャル・プロバイダーになるには厳しい審査があり、会社の信用力を問われる。

したがって、当社にとってIPOをすることで会社の信用力を向上させることが第一目的であったが、上場後、信用力が向上した結果、現在、ある大手製薬企業とのオフィシャル・プロバイダー契約締結に向けた話し合いが進んでいるところであり、上場による目的はほぼ達成されつつあるといえる。

さらに、人材の採用に関しても、レベルの高い人が応募してくれるようになるという効果が現れてきている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 吉野 公一郎
代表取締役社長
吉野 公一郎

1974年4月、鐘紡(株)入社。98年4月、同社 創薬研究所資源探索研究部長就任。99年4月、日本オルガノン(株)入社、医薬研究所長に就任。2003年4月、カルナバイオサイエンス(株)を設立し、代表取締役社長に就任。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

米国の状況を見れば明らかであるが、昨年、FDA(米国食品医薬品局)から認可された医薬品の50%以上はバイオベンチャーが開発した薬であり、薬を作れる企業になることが成功の秘訣であり、当社も創薬ベンチャーになることを目指している。

当社としては、創薬支援事業を通じてベースとなる収益を確保しながら、多額の費用や期間がかかる前臨床試験終了段階までの創薬開発を手がけ、ライセンスアウトしていくというビジネスモデルを構築していき、いずれは年間売上1,000億円を超える「ブロックバスター」となれるような医薬品を開発したい。

これから企業を立ち上げようとする方々は、是非米国のバイオベンチャーのビジネスモデルを研究するとよいだろう。医薬品は成功すると収益が非常に大きく、バイオベンチャーで成功しているところは創薬研究をしているところばかりである。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

主力事業のキナーゼプロファイリングについて、欧米製薬企業がアウトソーシングの流れから、自社構築より外部に任せるトレンドだったこと、また顧問としてHB-EGF(膜結合型増殖因子)を1991年に発見した東山繁樹愛媛大学教授、森下竜一大阪大学教授(アンジェスMG取締役)等の優れた方の存在があったことが、投資に至ったポイントである。

VCの視点からみた同社の成功要因

事業機会を逃さずに、キナーゼプロファイリング事業を成長させたこと、特にCSKVCの投資先(クリスタルゲノミックス社、SBIバイオテック社等)とのアライアンスを投資家主導で実現したことにより、事業の幅が広がったことが、同社の成功につながったといえる。また、CSKVCコンサルティングチームの調整で円滑な株式公開準備が出来たことも同社の成功に貢献した。

(CSKベンチャーキャピタル(株) 取締役 飯野智)

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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