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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社免疫生物研究所

「抗体」作製のノウハウを基に、難病に対する治療薬や診断薬を開発

事業内容:医薬品並びに医薬部外品の免疫学的研究・開発・製造及び販売、受託研究及び受託生産、実験動物の開発
本社所在地:群馬県高崎市あら町5-1
URL:http://www.ibl-japan.co.jp/ 設立年:1982年
株式公開年:2007年 市場名:大証ヘラクレス
資本金(設立年):5百万円 資本金(2008年):1,572百万円
売上高(設立年):20百万円 売上高(2008年):1289百万円
従業員数(設立年):3人 従業員数(2008年):67人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):日興地域密着型産学官連携投資事業有限責任組合(日興アントファクトリー株式会社)

事業概要

「抗体」研究を中心とした研究開発型ベンチャー

当社は、医薬品および医薬部外品の免疫学的研究、開発、製造および販売を目的として、1982年に設立された。

設立当初から、「抗体」を中心とした研究を行い、その成果を事業化することを通じて、世界で難病に苦しむ人々が、病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるように貢献することを企業理念としている。

現在は、研究用試薬関連事業、実験動物関連事業、医薬関連事業の3事業を主とした事業展開を図っている。

主軸となる研究用試薬関連事業

研究用試薬関連事業では、公的研究機関、大学、製薬企業等を対象に、主に抗体を基盤とした研究用試薬の販売および試薬関連受託サービスを実施している。

2007年3月31日現在、1,220品目の抗体関連試薬を、また抗体関連試薬以外の試薬683品目を取り扱っている。また、これらの商品のほか、顧客から入手困難な抗体などの作製依頼に応じて、依頼品を作製し提供している。

抗体の作製は、生き物を相手にしたデリケートな作業の連続であるため、作製技術者の技量によって品質が大きく変わってくるものである。当社が抗体の作製を始めた当時は、他社の類似商品があったが、非常にばらつきの多い商品が多かったのに対し、当社は質の高い製品を作ることができた。現在でも、当社の抗体作成技術は、長期間にわたる研究開発を通じて蓄積したノウハウにより、競合他社との競争優位性を確保している。

実験動物関連事業の展開

主として、米国Taconic Farms, Inc.の日本における販売代理店として、公的研究機関、大学、製薬企業に対して、疾患モデル動物を供給している。さらに、2005年3月に開設した三笠研究所では、公的研究機関や大学から疾患モデル動物の開発および販売権を取得し、自社製品としての供給に向けた開発を進めている。

医薬関連事業への進出

当社は、医薬関連事業にも積極的に取り組んでいる。現在は、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡または権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領する、医薬シーズライセンス事業を中心に行っている。また、対外診断用医薬品の輸入販売も行っている。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業から数年は資金調達に苦労

事業の性格上、設備投資などに多額の費用がかかるため、創業時から資金調達に苦労していた。

そうしたなか、創業翌年の83年12月に財団法人 研究開発型企業育成センターからCEA(Carcino-embryonic Antigen; 癌胎児性抗原)の生産、精製および抗体作製の開発によって債務保証を受けることができ、それによって培養設備、その他の研究用機材の充実を図り、研究・開発の基盤を築くことができたのは、非常に大きな支えとなった。

しかし、それだけでは、設備投資を行うには十分とはいえず、また、事業も軌道に乗る段階ではなかったため、取引先メーカーや商社などから適宜出資や借入を行っていた。

VCからのコンタクトで投資受け入れ

VCからの投資を初めて受け入れたのは、86年のことであった。この時に投資をしてくれたのが、日興キャピタル(株)(現日興アントファクトリー(株))と東京ベンチャーキャピタル(株)(現みずほキャピタル(株))であった。

VCからの投資を受けられたのは、財団法人研究開発型企業育成センターからの債務保証を受けたことで、当社のことが新聞記事等で掲載され、これがVCの目にとまり、声をかけてもらえたためである。財団法人研究開発型企業育成センターの債務保証を受けられたことやこの出資を受けたことで、同年に藤岡研究所を新設することができた。

その後も、95年9月、2001年3月、2004年1〜8月にかけてVCからの投資を受けた。複数回にわたるVC投資受け入れの結果、最終的に10社を超えるVCから投資をしていただいたが、日興アントファクトリー(株)と東京ベンチャーキャピタル(株)以外のVCは、上記2社からの紹介で投資を受けられたものがほとんどであった。

なお、投資を受けた10社を超えるVCのなかでも、中小企業基盤整備機構が出資しているファンドを運営する日興アントファクトリー(株)からは、日興キャピタル(株)時代も含め複数回にわたって投資していただき、上場直前には同社の出資比率は9%を超えていた。

当社は、これら一連のVC投資、及び、その他の借入・出資等を通じて、2001年4月の藤岡研究所内の新研究棟の増設や北海道三笠研究所の新設など段階的な設備投資を行い、事業を拡大していった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資本政策や社内体制の整備は独力で

当社は、多くのVCや取引先メーカー、商社などからの出資や融資を仰いだが、特定のVCに資本政策の立案等を依頼することはせず、基本的には社内で対応した。また、社内の規定整備などIPOに向けた様々な準備も社内の人材で対処してきた。

主に販路開拓で支援を受けた

当社のような業務内容の会社は、狭い世界で事業を行うことが多く、視野が狭くなりやすい傾向がある。

取引先も限定的になりがちであるが、VCから取引先を紹介してもらうことで、新たな取引先を増やすことができ、販路開拓を効果的に進めることができたのは、事業拡大に非常に有益であった。

また、取引先の紹介だけでなく、VCは様々な業界の情報を有しているため、社会の動向をつかむのに役に立った。

公的機関からの支援を受けた研究開発等の実施

研究を進めるにあたり、公的機関が実施している補助金制度や共同研究の制度は積極的に活用した。

たとえば、2002年度には、独立行政法人 科学技術振興機構の「独創的研究成果共同育成事業」に採択され、三重大学と共同でヒト体液中テネイシンC測定臨床診断薬の開発を行ったことが挙げられる。

このほか、2007年からは、新エネルギー・産業技術総合研究開発機構(NEDO)の「アルツハイマー病総合診断体系実用化プロジェクト」に当社も共同参画し、研究に携わっている。

IPOによる経営効果と今後の展望

IPOによるメリットは資金調達と知名度の向上

当社は、2007年3月に大証ヘラクレスに上場した。時期的に相場環境がよい時ではなかったものの、一定の資金を調達することができた。

また、IPOしたことにより会社の知名度が格段に向上し、特に人材募集時に応募者が増え、人材の確保が容易になった。

抗体作製の新手法の開発に取り組む

今後も、当社は抗体に関連する研究開発、作製等に注力していく方針である。

現在、蚕を用いた新しい手法により、抗体の作製を行えるよう研究を進めており、近いうちに新手法が確立できる見込みである。これから新手法を用いて、新たな商品開発を積極的に進めていきたい。

医薬関連事業への投資も積極化

当社の事業の中心である抗体には、(1)多種類かつ一商品あたりの売り上げが限定的な「研究用試薬」、(2)多種類であり、かつ市場規模が研究用試薬よりは大きい「診断用医薬品」、(3)種類は少ないが、市場規模は大きい「治療用医薬品」という3つの市場があり、それぞれの特徴がある。現在は研究用試薬が主たる事業となっているが、今後は診断用医薬品や治療用医薬品といった、より規模の大きな市場の比率を高めていきたい。

そのためにも、研究用試薬関連事業や疾患モデル動物の販売等を行う実験動物関連事業から安定的なキャッシュフローを生み出し、より大きなリターンが期待できる医薬関連事業に投資していくというビジネスモデルが早く確立できるよう、今後さらに努力をしていきたい。

代表者プロフィール

代表取締役社長 清藤 勉
代表取締役社長
清藤 勉

1944年青森県生れ。64年3月、青森県立青森高校卒業。64年9月より国立がんセンター研究所病理学部技官。75年4月新潟大学医学部第1病理学教室技官、78年9月、(株)日本抗体研究所入社。その後、82年9月、当社を設立し、代表取締役に就任。2001年3月、(株)ジーンテクノサイエンス設立、代表取締役就任(現在は退任)。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

IPOを目指すかどうかということは、慎重に考えるべきである。IPOをすると、知名度の向上や資金調達、人材の採用など、様々な面でメリットを享受できる一方で、外部要因に左右され、経営の自由度が制限されるという側面もある。

これから起業する方は、IPOのメリット・デメリットの両面を勘案し、自分自身が最もやりがいを感じられる方法で、会社を経営していくのがよいと考える。

ベンチャーキャピタルの声

日興アントファクトリー(株)ベンチャーキャピタル投資グループマネージングパートナー 佐藤幹夫
日興アントファクトリー(株)
ベンチャーキャピタル
投資グループ
マネージングパートナー

佐藤 幹夫
同社に投資をするに至った判断のポイント

(1)バイオ企業としては抗体を主力として利益があった会社であり、資金の使途が生産工場への設備投資であった、(2)オステオポンチン抗体が大手製薬企業と共同研究開発段階にあった、(3)清藤社長がたたき上げの経営者であり事業戦略が明確だったこと、の3点が投資に至った ポイントである。

VCの視点からみた同社の成功要因

安定した抗体事業に加えて、オステオポンチン抗体事業で大手製薬企業との間でマイルストーン契約を締結できたことで、アップフロントの契約金が確定し、その後も開発ステージ(臨床試験)が進むことによって、一定の契約金が入金される契約を締結できたことが、企業の成長につながった。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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