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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社アドバンスト・メディア

音声認識技術 AmiVoiceをベースに、人間主体の機械とのコミュニケーションを実現

事業内容:AmiVoiceを組み込んだ音声認識ソリューションの企画・設計・開発、アプリケーション商品を提供するライセンス事業、企業内のユーザや一般消費者へのサービス向けサービス事業
本社所在地:東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ文化会館6階
URL:http://www.advanced-media.co.jp/ 設立年:1997年
株式公開年:2005年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):100百万円 資本金(2008年):4,199百万円
売上高(設立年):2,700百万円 売上高(2008年):1,277百万円
従業員数(設立年):10人 従業員数 従業員数(2008年):79人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):シーエスケイブイシー三号投資事業有限責任組合(CSKベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

音声認識ベンチャーとして創業

当社を設立した鈴木清幸代表取締役会長は、1986年8月より約12年間、人工知能の草分け的企業である(株)インテリジェントテクノロジーにおいて、実質的なCTO(最高技術責任者)として人工知能の研究や事業化に携わっていた。

(株)インテリジェントテクノロジーは、米国カーネギーメロン大学の音声認識研究チームとの関係が深く、鈴木会長も接点を有していた。そして、鈴木会長の音声認識技術に対する考え方と同研究チームのそれが非常に近いということもあり、同研究チームが96、97年の2年連続で米国国防総省の音声認識コンペにおいて優勝したことを契機に、音声認識ビジネスを共同で立ち上げた。つまり、機械中心ではなく人を中心としたソフトコミュニケーションができる仕組みをつくろうと声をかけ、97年11月には同研究チームが米国にInteractive Systems, Inc.(ISI)を設立、97年12月に鈴木会長が当社を設立し、98年1月より2社共同で日本語音声認識システムAmiVoiceの開発に着手し、両社の連携構造をつくりあげた。99年3月には、AmiVoiceの評価・改良のために「音声認識ソフトウエアの研究コンソシアム」を結成し、開発支援ツールキットAmiVoice SDK(バージョン1.0)をリリースしたのをはじめに、段階的にAmiVoice音声認識エンジンを改良し、様々な商品を開発していった。

なお、2001年11月には、当社の持分法適用会社となっているMultimodal Technologies, Inc. (MTI)が設立され、MBOでISIを吸収している。

技術開発にとどまらず、商品開発まで踏み込む

当社は、音声認識システムの開発にとどまらず、ユーザにそのまま利用してもらえる最終商品にまで作り込んでいる点が同業他社と異なる点である。医療分野向けサービス、議事録作成システム、エンターテイメント・教育向け、コールセンタ向け等のBtoBのソリューションのみならず、2007年11月以降、携帯電話向けの音声認識サービスの提供を開始し、一般消費者向けのサービスも展開している。

世界で唯一の技術を保有

市販されている代表的な音声認識エンジンは、高い認識率を求めるために、エンロールメント(事前の声の登録)が必要であるのに対し、AmiVoice音声認識エンジンは、発話者の声を事前に登録する必要が一切ない。このほか、スピードの変化やイントネーション、アクセント等の変化への対応が実用のレベルにまで踏み込めた世界で唯一といえる音声認識エンジンである。したがって、市場化の初期段階では通常競合他社はおらず市場創造を自ら行う立場にあった。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業直後より事業会社から資金調達

当社は、創業時から事業計画が明確でかつ事業を行うための技術力も有し、さらには損益やキャッシュフローの目処が明確であったことから、事業開始直後で実績のなかった1期目から事業会社からの出資を得ることができた。

当社が創業した97年頃は、バブル経済が崩壊していたこともあり、銀行等を活用した間接金融での資金調達はほとんど望めない時代であったため、事業計画への賛同を得て、出資を仰ぐほか資金調達の手段はなかった。

創業2年目からVC投資受け入れ

創業翌年の98年に、VC1社から投資を受けることができたのが初めてのVC投資受け入れであった。景気も悪くVCも投資を絞っているこの時期に、1社のVCから株式と転換社債それぞれ1.5億円ずつ、合計3億円の投資を受けたのは、それだけ当社の事業を評価していただいた結果だと捉えている。この時の株価のバリュエーションは1株25万円であった。

継続的なVC投資の受け入れ

98年のVC投資受け入れをはじめに、その後も毎年増資を行い、株価のバリュエーションも徐々に高くしていただきながら、事業会社なども含めて非常に多くの会社から出資をしていただいた。

結果として、当社は上場までの間に40億円弱の資金調達に成功した。また、投資を受け入れたVCは、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運用するCSKベンチャーキャピタル(株)を含め全部で10社程度にのぼった。

その意味ではVC投資を受けることができなければ、事業の存続はもちろんこと会社の設立もできていたかは不明であり、VC投資により当社は成長していくことができたといえる。

VC等を活用した事業の拡大と成長

創業者自らがビジネスを開拓

当社は、多くのVCや事業会社などからの出資や融資を仰いだが、特定のVCに資本政策の立案や事業計画の策定等を依頼することはなく、資金調達面以外のサポートをVCに期待することはなかった。

もともと市場が存在しないビジネスを、市場を開拓するところから始めなければならないため、VCなどの第三者に頼ることなく、創業者自らが会社を引っ張っていくことが非常に重要であった。

事業戦略上のパートナーとして認識

CSKベンチャーキャピタル(株)をはじめ投資を受けた一部のVCについては、当該VCの親会社や関係会社と顧客あるいは協業パートナーとしての関係を結んだ結果として投資をしていただいたところがある。

IPOによる経営効果と今後の展望

ビジネスサイクルのなかの1つとしてのIPO

当社は、まずビジネスプランを実行するための資金が必要であり、さらにビジネスを実現するための技術と人材が必要となる。また新たなビジネスを創造していくのに新たなビジネスパートナーがいて、新しいビジネスモデルができていくという循環でビジネスを拡大している。

このため、当社にとってのIPOは、ビジネスサイクルのなかの一つの段階にすぎないものと捉えている。

IPOによるメリットは、資金調達が容易になったことと、会社の知名度向上により、よりよい人材の確保や顧客の増加につながったことである。資金調達面に関して、当社はIPO後にも26億円ほどの資金を調達している。

IPOのマイナス面も実感

IPOにより資金調達や人材確保の面でメリットが得られる一方、四半期ペースで事業報告をしなければならず、長期的な視点だけではなく、短期的な利益も追求しなければならない点が、IPOしたことによるマイナス面として実感している。

事業の性格に左右される面が大きいが、利益につながるまでの期間が長いビジネスを行う当社の場合には、大きなチャレンジをしていくような事業計画を進めにくいという側面がある。

コアドメインの確立・拡大を目指す

当社は、現在展開している事業のなかでも、特に金融業界を中心としたコールセンタソリューションや医療機関向け電子カルテ入力システム、議会・企業向け議事録システムを中心にビジネス展開を図り、コアドメインとして確立していくことを目指している。

また、今後の事業成長が見込まれるモバイル分野や教育分野向けサービスを強化していく方針である。

ビジネスはonly oneの存在のうちは良いビジネスとはならずに、競合他社が参入し「No.1」の競争を展開するようになるとビジネスの体をなすのが常である。議事録やコールセンタ向けソリューション展開のビジネスはまさにそのプロセスを経て、ようやく市場の拡大とともに認知されるようになり、ビジネスとして軌道に乗り出してきた。このように、当社は、今後、様々の市場領域で事業拡大が図れると期待している。

新たな事業展開

当社は、2007年以降モバイル分野に参入し、2008年4月からは、NTTドコモの「らくらくホン プレミアム」向け「音声入力メール」サービスへ音声認識技術の提供を開始している。

この音声入力メール技術は、独立行政法人情報処理推進機構「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2008」を受賞し、非常に注目を集めている。今後、実用的なビジネスシーンや日々の生活に密着した多種多様なサービスへと拡大していくことが予想され、当社の成長の鍵となることが期待されている。

代表者プロフィール

代表取締役会長 鈴木 清幸
代表取締役会長
鈴木 清幸

1978年4月、東洋エンジニアリング(株)入社。86年8月、(株)インテリジェントテクノロジー入社。97年12月、当社を設立し、代表取締役社長に就任。2002年1月、米国Multimodal Technologies, Inc.取締役就任。2006年10月、世界の起業家の表彰制度EOY(Entrepreneur of The Year)2006 Japanに選出。2008年6月より、当社代表取締役会長に就任。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

創業から目指しているところであるが、機械ではなく、人間を主体的に捉えた機械とのコミュニケーションを図れるサービスを今後も展開していく。このビジネスの先駆者として、各サービスでの「No.1」を目指して今後も事業を展開していく。

これから起業を目指す方は、IPOによるメリットとデメリットを検討し、自分の目指すビジネス展開を考慮した上で、本当にIPOすることが必要であり、望ましい選択肢であるのかを今一度考えて戦略を描くのがよい。

2008年度取材事例
掲載日:2009年10月 6日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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