ファンドとはどういうもの?中小機構のファンド出資事業の仕組みは?
ファンドとはさまざまな投資家の出資により構成されている『資金の集まり』=『基金』で、その資金を活用し、投資会社が企業等へ投資を行っています。中小企業基盤整備機構(中小機構)は出資者の一人として、ベンチャー企業・中小企業への資金提供や支援を目的とするファンドに資金を提供することにより、創業間もないベンチャー企業等の資金調達の機会を増やしています。
なお、本事業では、中小機構が直接ベンチャー企業・中小企業への投資を行うのではなく、ファンドを運営するベンチャーキャピタル(VC)等が、個別企業の審査及び投資を行っています。(図1)

図1 ファンド出資事業のスキーム図
中小機構が出資するファンド出資事業には、ファンドが出資・支援対象とする企業のステージや特徴に応じ、以下の3つの種類があります。
中小機構のファンド出資事業
- 起業支援ファンド
- 創業又は、成長初期の段階にあるベンチャー・中小企業を支援
- 中小企業成長支援ファンド
- 新事業展開、転業、事業の再編、承継等により新たな成長・発展を目指す中小企業を支援
- 再生ファンド
- 過剰債務等により経営状況が悪化しているものの、本業には相応の収益力があり、財務リストラや事業再構築により、再生が可能な中小企業を支援
ファンドからの資金提供の特徴、融資や補助金との違いは?
ファンドから提供される資金にはどのような特徴があるのでしょうか。企業が調達する資金を大まかに分類すると、補助金や助成金、融資、出資(株式出資)の3種類にわけられます。(表1)。ファンドからの資金調達は、このうちの出資にあたります。
補助金・助成金 | 融資 | 出資 | |
---|---|---|---|
資金提供者 | 国・自治体 独立行政法人等 |
銀行等 | ファンド ベンチャーキャピタル等 |
調達の条件 | 政策目的との一致 | 事業の採算性、担保、 保証人等 |
事業・企業の成長等 |
調達資金の位置付け/ 返済義務 |
一時収入/返済義務なし | 負債/元本返済及び 利息支払の義務あり |
資本/返済義務なし |
資金調達者の経営への関与 | なし | 業績、資金繰りのチェック等 (受動的) |
事業計画策定への参画、 取締役派遣等(能動的) |
表1 資金調達方法の違い
それでは出資(株式出資)を受ける場合について、金融機関から融資を受ける場合と比較して説明します。
融資を受ける場合には、一定の期日内に元本の返済と利息の支払い義務が発生します。融資を受ける際には、一般的には事業実績をもとにした返済可能性の審査とともに、担保、保証人などが求められます。
ファンドやVCから株式出資を受ける場合には、ファンドやVCは取得した株式を将来的に売却することにより資金を回収します。そのため、融資のように元本や利息の返済義務、担保などは求められませんが、事業の成長性に加え企業自身の成長性が重視され、株主であるファンドやVCは出資額に応じた利益分配を得る権利や意思決定の議決権を持つことになります。

ファンド事業部担当者
ファンドやVCといった外部の投資家が株主になることにより、その企業は自らの将来性や成長性を約束しなければならないという点においては、資金を得るためのハードルは高いといえますが、補助金・助成金のように使途が限定されておらず、また融資のように担保や事業実績を要求するものではないので、特にベンチャー企業のように業歴が浅く担保もないような企業には重要な資金調達手段の1つとなります。
一方出資側から見れば、将来性と成長性という未知なるものに投資をするため、相応のリスクがある資金供給ということになり、民間の出資者が少ないのが現状です。中小機構では、創業間もないアーリーステージ企業への投資及び支援を行う等、政策意義の高いファンドに出資をすることにより、ファンドの組成を促進し、ベンチャー企業や中小企業の方々の資金調達等を支援しています。