HOME > 経営をよくする > 事業継続マネジメント

事業継続マネジメント 地震や取引先の倒産など不測の事態を乗り切るため、事業の継続を図る経営(BCM)、その計画(BCP)、実際の事例を紹介します。

中小企業のための「リスクマネジメント入門」ーよくわかる、リスク管理とBCPへの対処法ー

Ⅲ BCPとはなにか

事業を継続するための計画を立てる

BCPとは、Business Continuity Planの頭文字をつないだ略称です。中小企業庁は「緊急時企業存続計画または事業継続計画」と訳しています。また、「中小企業BCP策定運用指針」の中でBCPを「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画」と定義しています。簡単にいうと、不測の事象が発生しても倒産を回避し、事業継続を可能とする計画のことです。

現在は分業が進んだ結果、ほとんどの企業がサプライチェーンでつながっています。そのため震災に被災した企業だけでなく、被災地以外のサプライチェーン関連企業でも、被災した中小企業が製造する部品や資材が供給停止されることによって、生産を中止せざるを得なくなる企業があります。 サプライチェーンに関連した企業は、日本だけでなく世界中に存在しますので、このサプライチェーンの分断による間接被害を防ぐためにも、事業継続を可能とするBCPの策定が求められています。

東日本大震災を機にBCPの策定が求められる

BCP策定の実態に関し(東日本大震災前の調査になりますが)、平成21年度に東京都産業労働局、(財)東京都中小企業振興公社、東京商工会議所が「災害・事故・感染症等対策(BCP)に関するアンケート調査(有効回答件数:2,025件)」を実施しています。

災害・事故・感染症等で『発生可能性』と『影響度』を勘案した場合、配慮すべきもの
(1) 「大規模震災」(74.7%)
(2) 「事務所・工場の火災」(45.7%)
(3) 「感染症の大流行」(42.7%)
(4) 「主要な取引先の倒産」(35.4%)
各種災害・リスクの想定への対策
(1) 「特に何も対策を講じていない」(45.0%)
(2) 「検討中」(33.7%)
(3) 「BCP として体系的に実行中」+「対策項目ごとに個別的に実行中」(19.3%)
BCP 策定要請の現状
(1) 「いずれからも要請はない」(78.4%)
(2) 「取引先 」(15.4%)
今後の利害関係者からのBCP 策定要請
(1) 「取引先 」(52.1%)

災害・事故・感染症等対策(BCP)に関するアンケート調査報告書(平成21年度)より作成

このアンケート調査の結果から、大規模震災に関するリスク対処の必要性を多くの企業が感じているものの、具体的な対策を講じている企業の割合は低いことがわかります。また、現在、取引先からBCP策定に関する要請がない企業でも、半数以上の企業が将来取引先からの要請があると考えています。

自然災害に関しては、日本では近年だけでも1995年の阪神淡路大震災、2007年の中越沖地震、2011年の東日本大震災を経験しています。その影響をみると、阪神淡路大震災時には、震災発生から約4カ月半で100 社超の会社が倒産しました。今回の東日本大震災による倒産企業も震災から約2カ月後で100社に迫っていると報道されています。

政府機関である地震調査研究本部の全国の地震動予測をみると、今後も大地震発生のリスクは非常に大きく、発生の予測される地域は広範囲に及びますので、倒産回避・被害最小化のためにも企業のBCP策定が望まれます。

自然災害のリスクは企業の努力によって発生を抑制することができませんので、リスク発生後の損害をいかに小さくして早期に事業の復旧を図るかが課題となります。

「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」

出所:地震調査研究推進本部「全国を概観した地震動予測地図」(2010)

上の地震予測地図には、今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率が非常に高いことが示されていますので、日本の企業にとって地震に関するBCPの策定は必須と言えます。また、サプライチェーンの分断を想定すると、発生確率の比較的低い地域の企業でもBCP策定が望まれます。

<石井 浩一 (有)マイティータンク 代表取締役 経営コンサルタント/中小企業診断士/国際公認投資アナリスト>

このページの先頭へ