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小売・サービス業のための売上アップ研究所


売れない時代に売れる理由

ネット時代に合わせメディアミックスを進化【ジャパネットたかた】

「♪ジャパネット、ジャパネット、夢のジャパネットたかたー」。あの高田明社長の軽快な語り口で急成長してきた企業、ジャパネットたかた。テレビ、紙のカタログやチラシ、インターネット、そしてラジオなどと複数のメディアで視認率を高め販売の相乗効果を高めるメディアミックス通信販売が、新しいビジネスモデルとして脚光を浴びてきた。しかし、ネット隆盛時代に入っても、「メディアミックス戦略は変わらない」と高田明社長は言い切る。例え、ラジオからの売上高比率が1%になってもラジオは止めないという。「それは我々にとって(売上高比率が)1%でもラジオを聞いている人にはラジオ(から聞こえてくる内容)が100%だから」。多くの人に通販という販売形態を通じて生活の“潤い”を売るため、ネット時代に合わせたメディアミックスを進化させていく考えだ。
 ジャパネットのこれまでの成長過程をみると、メディアをうまく使いこなしてきたことが原動力となっている。

ラジオで鍛えられる

実は、高田社長はかつて長崎県佐世保市で小さなカメラ店を経営していた。高田社長は「カメラが月に4、5台も売れればという店舗だった」と当時を振り返るが、そのカメラ店から現在のテレビ、ネットとメディアを駆使した売り方に飛躍させるキッカケになったのが、ラジオ放送によるコマーシャルだった。

ラジオでは「♪たったかた、たったかた、カメラのたかた」の現在のテレビのオープニングソングに通じるテーマソングを流し、ラジオを通じて商品を売る戦略だったようだが、ラジオは同社を成長軌道に押し上げたテレビ通販と違って商品が見えないメディア。どう売ろうとしたのか。
 「ラジオからは商品は見えませんが、それだけに話しているとおもしろい。どうにでも商品を表現できるから」。今に通じる軽快な語り口、商品を分かりやすく、説得力ある話し方は、このラジオ通販で培われたのかもしれない。
 ラジオは九州の地方局から全国に拡大、メディアを活用した売り方で勢いに乗った高田社長が次に目指したのが、テレビだった。

“テレビでチラシをみてください”

今ではテレビ通販で確固たる基盤を作った同社も、当初は「なかなか枠がとれない。始めの頃は枠を買っているところから、枠を買ったこともあった」という。高田社長は自らで「深夜の30分枠がとれた時、東京でもできるとワクワクした」という。ちなみに当時、テレビやラジオで全国をネットすることを意識していたから「ジャパネット」という社名にしたそうだ。現在のテレビ通販の横綱にもそんな時代があったようだが、次第にテレビでの放映が増え、制作から放送までのスピードを求めた結果、独自にスタジオを持つに至った。現在は佐世保で地上波、東京でCS、専門チャンネルと使い分けている。

独自スタジオでの撮影風景

独自スタジオでの撮影風景

現在のメディアミックス戦略の明確な骨格ができたのは、テレビでの“視認率”が上がった時だ。テレビ放映を増やしても、テレビでは買わない人がいるという現実に直面した。そこで次にオールドメディアである紙の可能性にかけた。テレビを見落としている人や、テレビを見られない人にも情報を伝えるために、全国一斉のチラシ投入を始めたのだ。しかし、3、4年はチラシからの数字が動かなかった。ここで逆転の発想をした。テレビの中で「チラシを見てください」と訴えたのだ。そうしたら「視認率が3倍くらいに上がった」という。明確なメディアミックスの路線が敷かれた瞬間である。

ラジオからテレビ、紙媒体、さらに折り込みチラシ、ネットと主力が変遷してきた同社も、突入したネット時代、早くもその変化のスピードを目の当たりにしている。というのも売上高のメディア別比率で2009年に、ネットがテレビの売上高を上回ったのだ。
 2011年12月期では紙がまだ43.8%ある。しかしテレビの21.7%に対しネットが30.7%となった。さらにラジオは3.8%に低下した。高田社長は話す。「ネットの比率はもっともっと上がります。現在(パソコンを駆使している)40代以下の層が、60代、70代になった時を考えるとネットの比率は上がらざるを得ません」。

おなじみのテレビショッピング

おなじみのテレビショッピング

扱い商品も多様化

メディアミックス戦略は変わらないが、売上高の比率はどんどん変わってくるとみる。そのため、ネットでは同社流の独自のサイト作りも着手、テレビ放映用に収録した番組をネットでも見られるようにしているのである。見逃したテレビの番組をネットでみる。これもまさに同社流の多くの人に情報を伝えるメディアミックス戦略なのだ。

そして肝心の商品。同社も、エコポイントと地上波デジタル放送への移行で、薄型テレビをたくさん売った。しかし、薄型テレビの価格が下がり、家電が相次いでコモディティ化するなかで、現在のテレビの売上高は、まったく様変わりしている。
 多くの家電量販店が家電依存型で、ポスト薄型テレビの商材をなかなかみつけられず苦戦している。家電という枠組みから脱しきれないからだが、そうした中で同社も家電を中心とした商品政策からカジを切ろうとしている。ただ、同社は実店舗を持つ家電量販店のように、家電というジャンルに縛られない。いわばジャパネットというブランドを活用すれば、売る商品のカテゴリーは問わない。いかに良い商品を選び、いかに商品の良さを伝えるか。そこが、今後の同社の真価が問われるところなのである。

高田社長は家電についていえば「デジもの(デジタル家電など)は収益がなかなか厳しい状況が続くと思います。このため白物、美容、健康家電など、これまで扱っていなかったり、扱いが少なかったりしていた商品を2、3倍に引き上げていきたい」と語る。
 また、アパレルや宝飾品、化粧品などの扱いを積極化し、少なかった女性客を増やす。こうした商品を売上高全体の2割程度に引き上げる意向だ。食品もしかり。コメやミソ、醤油、梅干しといった、日本古来の食品の良さを伝えられる商品を扱う。つまり、商品の良さをしっかりとメディアミックスで伝えられる商品であり、何でも良いという訳ではない。

東京で時間を買う

高田明社長

高田明社長

家電を中心とした商品政策から、アパレルや宝飾品、食品などの比率を高めるためのシフトは「そんなに容易いことではないです」と高田社長はみる。プロ意識を持ったバイヤー、もちろん、番組の制作力もつけないといけない。東京にも拠点を設けたのは、番組を制作するということだけではなく、商品の発掘のためもあるという。

「東京はスピードが違います。ファッションの展示会などが毎日のように開かれており、これからは時間を買わないといけない」という決断からだ。そのためバイヤーは現在、9割が東京にいる。「今後、通販は物流が一番の課題。大手各社は翌日は当たり前、即日も多くなっている。我々も課題としてはある」。ラジオから紙、テレビと商品販売力でメディアの特性を知り尽くしてきた同社が、ネットをどう生かすか。その視線の先から目が離せない。

企業データ
企業名 株式会社ジャパネットたかた
代表者 高田明社長
所在地 長崎県佐世保市日宇町2781
電話 0956-26-1300
業種 通販事業(商品仕入れ、媒体制作、商品発送など)
URL http://www.japanet.co.jp/

掲載日:2013年2月21日


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