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小売・サービス業のための売上アップ研究所


売上UP 取組み事例集

文:若林敏郎(中小企業診断士)

第7回:中小・零細店舗の「差別化」 大型店出店対策プロジェクト 既存顧客数をアップする

1.生鮮3品の鮮度アップ

 「鮮度」とは、新鮮さの「度合い」で、特に青果や鮮魚は、とれたてや活きの良さがおいしさをほぼ決定づけます。そのため、鮮度が高い商品は大きな商品価値となります。 当店の顧客はほとんどがリピーターで、鮮度の高さは食べていただければすぐわかると確信し、大きな決断となりましたが、実行に移すことにしました。

 鮮度の高い商品を販売することは、食料品を扱う店舗ではどこでも目標にしますが、見切り損や廃棄ロスが増え、利益率の低下を招く恐れがあるためなかなか決断できないのです。
 しかし、中小・零細店舗にとって、商品の品揃え幅や価格競争は大手スーパーに勝てませんが、"鮮度競争"は規模の大小に関係なく競争できる取組みです。

(1)鮮度感のアップ
 鮮度には実際の鮮度と"鮮度感"があります。
 鮮度感とは見るからに鮮度が良く見えることを意味します。

 新鮮なとれたてトマトでも棚に一籠しか陳列されていなかったら、新鮮に見えるでしょうか? 何か残り物のように見えるはずです。
 旬の野菜、果物、鮮魚はそれだけでも新鮮には違いありませんが、陳列量を多くすることで一層鮮度感を高めることができます。

 そこで特に安く仕入ができた旬の食材は、陳列量を通常の2倍ほどにしました。値引きロスは覚悟しましたが思いのほか少なく、売り上げを伸ばすことにつながりました。

(2)管理基準のアップ
 特に生鮮3品(青果・精肉・鮮魚)は、値引き競争の激しい一般食品ほど売上の減少が多くありませんでした。お客さまの信頼を得ている証拠と考え、当店の「強み」とすべく、より一層高い鮮度基準を設けました。

 具体的には、「売り切る時間」を従来の倍の速さにすることです。例えば刺身であれば昼食用に店出しした商品は、昼を過ぎた1時には見切り売りします。夕方も同様で、生で食べる刺身類、当日加工の商品は、当日売り切りとしました。

 日によっては閉店時刻の1時間前には完売し、お客さまにご迷惑を掛けることもありましたが、徐々にお客さまも早めに購入していただけるようになりました。値引きにより利益率は低下しましたが、値引き商品を購入する新たな顧客が増えた結果、利益額は増加しました。

 またこの刺身には加工時刻を記入し、「鮮度の見える化」も図りました。加工した刺身はさくの状態より劣化が速くなるからです。

 販売数量の増加により、刺身の店だしが増え、商品の豊富感により"鮮度感"も向上しました。 その他の青果や精肉についても同様に売り切る時間を速めました。 ほとんどの顧客がリピーターであるため、「お宅で買ったお野菜はモチが違う」「特に野菜の葉ものは鮮度が高いのでおいしい」などお褒めをいただき、この鮮度基準アップ作戦は大好評で、「口コミ」もあり顧客数のアップにつながりました。

 日配商品も、お客さまが賞味期限を気にします。一日でも賞味期限の多い商品を探し購入します。賞味期限の日数は商品価値ですので、期限が少ない商品は、商品により10円から20円の幅で値引きすることにしました。
 この結果賞味期限切れの商品点数は大幅に削減することができ、商品廃棄ロスが減少し利益率も向上しました。


2.品揃えの集中化

 売り場面積が50坪であるため商品種類は多くは望めません。生鮮3品を充実させると、日配や一般食品の在庫は絞り込まなければなりません。

 POS情報や売り場での買われ方から豆腐、卵、納豆、生めんなどの日配品の充実を図ることにしました。その理由として、日配品は従来から当店での主力商品であり、ほぼ毎日購入するもので、顧客が来店する理由となる商品だからです。

 フェイシングは商品により従来の1.5倍~2倍としました。 一方で商品品揃えから取り除く商品選定は慎重に行いました。「容量」や「使用方法」など特徴を列記し、重なる商品を選定しました。

 特に食用油、砂糖、醤油などのグロッサリー商品類の品揃えは必要最低限としフェイシングも思い切って削減することにしました。 日配品の充実により目的来店性が強くなり客数は徐々に増えていきました。


3.集客商品の強化

 当商店街には二つの食品スーパーがあり、毎週折り込みチラシが入ります。これに対応するため「集客商品」を強化する対策を立てました。
 「集客商品」はグロッサリーを中心に、価格を安くすると購入量が著しく増加する商品をPOSデータから50アイテム選定し、その中から季節の料理をイメージし「今週の特売商品」を決定しました。

 「集客商品」はあくまでも顧客の来店を促す商材であることを社員に徹底し「安易な安売り意識」を排除しました。当店はかねてから、新聞折り込みチラシはほとんど活用せず、年数回程度です。また駐車場などの管理コストはほとんど掛からないので経費分で価格を安く販売することが出来ました。

 さて、顧客の種類は以下のように分けることが出来ます。
 ・見込み客(商圏内の顧客全て)
 ・フリー客(一度でも当店で購入したことがある顧客
 ・常連顧客(当店で購入する機会が頻繁な顧客)
 ・信者客 (当店でしか購入しない顧客)

 まだ、当店だけでしか商品を購入しない信者客はほとんどいません。
 「お刺身だけは」、「野菜だけでも」、「牛肉のステーキは他店では買えない」という顧客を一人でも多く増やしていくことがこれからの課題と考えています。

掲載日:2012年3月22日


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