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小売・サービス業のための売上アップ研究所


売上UPの教科書

売上UPの「ついで買い」攻略術

2011年10月18日掲載

文:田中聡子(中小企業診断士)

第7回
小売
キャラ立ちで
信頼感とリピーターを獲得しよう
ポイント 看板商品を通じたお客様とのコミュニケーションから、
信頼感を作り上げよう

 「何かいいものが欲しいな」とお客さまが思った時、できれば一番に思い出してもらえるお店になりたいですよね。思い出してもらえるということは、リピート来店数が増えるということ。そしてこのリピート来店数が多いお店では、ついで買いも起きやすくなります。
 なぜなら、お客さまもお店の特徴をよく知っているし、店員さんもお客さまの嗜好をよく知っているから。つまり、お客さまのとの間に信頼関係が作られていれば、初めてのものを買ってもハズレはない―そんな安心感から、購買意欲も高まります。

 では、そんな「思い出し」と「信頼感」は、どのようにしたら生まれるのでしょうか。ここで重要なのはお店の「キャラクター」が確立していること。キャラクターを確立させる要素にはさまざまありますが、まずは成功している具体例を見てみましょう。

 とある住宅地、商店街から少し外れたエリアで営業している酒屋さん(S酒店)。ワインや日本酒の品揃えはそれなりに充実し、商品へのこだわりもあるのですが、なかなかお客さまが定着しません。そこで店主が考えたのが「キャラ立ち」。お客さまの頭の中で、「○○と言えばS酒店」と最初に思い出してもらえるお店になろうと考えたのです。
 店主がしたことは、次の3つ。

(1)看板商品をつくる(商品選定)
(2)好きになってもらえる体験を組み合わせる(体験)
(3)使うシーンが想像できたり、新しい発見が生まれたりするような会話・プロモーションを行う(接客・POP)

みりんのお店

 店主が選んだ商品は「みりん」でした。もち米、米麹、焼酎で丁寧に作ったみりんは、料理の味も引き立てるし、飲んでもとても美味しい。でもみりん風調味料が出回ったために、本来のみりんの美味しさを知らないお客さまも増えている。

 本物のみりんの美味しさを味わってほしい、そして美味しいと思ってくれたお客さまにこそ買ってもらいたい、そう思って店頭にはこんなPOPを出しました。
 「飲めるみりん、美味しいみりん、置いてます」
 次に、店頭の一番目立つ所に、みりんを陳列しました。そしてその横には試飲コーナーも設けました。

 POPの効果からか、「みりんって飲めるんですか」、「飲めるみりんはどれですか」というお客さまが増え、お客さまとの会話の機会が増えました。また、陳列を見て、実際に試飲していただくことで、確実にみりんの売上が伸びていきました。
 お店としては「飲めるみりん」で宣伝したのですが、「こだわりの調味料」と捉えるお客さまが多く、これが来店客数の増加につながりました。「飲める」と言う表現がおいしさと安心感を訴求したのです。

 お客さまとの会話から、新しいキャッチフレーズも生まれました。はじめは、みりんを紹介するのに「飲める」ことを中心に説明していましたが、会話のなかから、お客さまのニーズがやはり調味料としての利用方法にあることに気がつき、紹介の方法も調理法を中心としたものに変更していきました。
 そのなかで、お客さまの言った「お砂糖を控えても美味しくできるなんて体に良さそう」との言葉から「砂糖控えめでも料理が美味しい」のキャッチフレーズが生まれ、飲めるみりんのさらなる価値が訴求できるようになりました。

 また、新しい展開も生まれました。みりんを他の人にもお渡ししたいとお客さまに言われたときに、「ワインじゃその日飲んで終わりですけど、みりんなら毎日使って毎日喜んでもらえますよね」と話したのがきっかけで、みりんが「プレゼント」としても売れるようになりました。そして次第に、店内にあるその他の日本酒やワインについても質問や相談を受けるようになったのです。

 このように、はじめは「美味しいみりんと言えばS店」というキャラ立ちを目指してスタートした取り組みは、次第に「お酒の相談ならあのみりんのお店」というキャラクターへと変遷していったのです。

 この取り組みのポイントは、キャラ立ちを目指して取り組んだ、お客さまとのコミュニケーションにあります。

(1)仕掛ける⇒商品の隠れた価値がお客さまに伝わるよう、体験を取り入れ、陳列やPOP・会話を工夫
(2)教わる⇒お客様の声から、自分も知らなかった商品の価値を再発見
(3)お返しする⇒お客さま目線で発見した新たな価値を、他のお客さまにも広める

 こうしたお店の看板商品を通じたコミュニケーションを繰り返すなかで、そのコミュニケーションのありよう(体験・接客)が、商品と結びついてお客さまの記憶のなかに定着し、信頼感として形成されていきます。
 「いいもの」がお店に置いてあっても、なかなか手がのびない。でも、そこに「あのお店だったら「いいもの」があるかも」、「あのお店に置いてあるものだったら間違いない」という信頼感があれば、リピート来店や来店時のついで買いは、もっと増えるはず。

 是非、看板商品というきっかけから、お客さまとのコミュニケーションを活性化させ、「リピーター」と「ついで買い」につながる、そのお店「らしさ」=キャラクターを作り上げていってください。

 第8回 五感を重ねて、五感に訴えよう へつづく

掲載日:2011年10月18日


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