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SaaS & ASP 活用術

実践事例!中小企業のIT調達はコレだ―「サービスソーシング」

08. データをサービスソーシングする −データの安全とコスト低減の両立

今まで紹介してきたのは、比較的イメージしやすいサービスだったと思います。つまり SaaSでなくても通常のソフトウェアやアプリケーションとして手に入るものが中心でした。しかし最近では、よりハードウェアに近いものまでがサービスとして提供されるようになってきています。

例えばハードディスクを挙げることができます。メンバーが利用するPCの中には通常、ハードディスクが入っています。もし100台のマシンがあれば、10テラバイト以上のデータが蓄積されている可能性もあります。「テラバイト」というのはおおざっぱに言って一兆文字程度の情報量で、ほんの一昔前ではとても考えられないほどの情報量です。もちろんその中には、ムダなデータもたくさんあるでしょうし、OSやアプリケーションなど、ほとんどのマシンが重複して持っているデータもあるでしょう。

しかしその中には、経営の基盤に関わるような重要な情報もあるはずですし、メンバーの間を渡り歩いているうちに微妙に変わってしまった情報もあるはずです。ちゃんと整理され、バックアップは取られているでしょうか? 多分、それらが混然となって誰にも理解できない状態になっているのではないでしょうか。

メンバー個人が持つPC以外にも重要なデータはサーバーに置かれているかも知れません。サーバーのデータのバックアップは取られているでしょうか? データの変更は追跡されているでしょうか? サーバー自体は故障なく動いているでしょうか? 業者に任せっきりになっていませんか?

実は今までに紹介してきたサービスでも、実際にはデータはサービス側に保管されることになりますから、データのサービスソーシングという側面もありました。しかし今回は、特に(アプリケーションなどの機能と関連しない)データのみを対象としたサービスを見ていきたいと思います。

レベル 初級〜中級
対象 社内の多数のハードウェアによって、データが混乱し、保守コストが掛かりすぎている組織
目的 ハードウェアを追放することによって、データの安全性とリスクの向上、コストの低減を達成する

8.1. ハードディスクの置き換え/拡張/共有

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X drive(ソフトバンク テレコム) 図8-1 X drive(ソフトバンク テレコム)

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ShareStage ASPサービス(NTTコミュニケーションズ) 図8-2 ShareStage ASPサービス(NTTコミュニケーションズ)

もっとも単純で分かりやすいサービスは、外部の記憶領域をそれぞれのPCのディスクの一部としてみせるようなサービスです。例えばWindowsを使っている場合、そのマシンが持っているローカルなハードディスクは、例えばC:ドライブとして見えますが、同じようにして例えばF:ドライブとして見えているハードディスクが実は、ネットワーク越しに提供されているものだったりするわけです。

この場合、情報の扱い方は基本的に今までと同じです。したがってこれを導入しただけで、情報が整理されるということはありません。ただし実体はサービスであるので、ハードディスクの故障などのリスクもありません(ハードウェアの故障は完全にサービス提供側が対応します)。

もちろん、Webブラウザなどからもアクセスできますし、共有やサービスによってはログ管理、削除データの復活などをサポートしている場合もあります。

一方で、データが安全に、機密性を持って保管されるのかというリスクが発生します。これはサービス提供者の信頼性に依存します。もちろん通常、データの通信は暗号化され、認証機能も提供され、どの程度の信頼性を保証するかというサービス・レベルに関する契約(SLA=Service Level Agreement) も結ばれます。


このようなサービスには、以下のようなものをはじめとする多数のサービスが提供されています。

Xdrive Files http://www.xdrive.jp/
・ ソフトバンク・テレコムが提供
・ 無料試用可能、オンラインで申し込み可能
・ 初期費用は \31,500〜、
・ 月額 \15,540(10ユーザー、容量10GB)〜
ShareStage ASPサービス http://www.ntt.com/ss/index.html
・ NTTコミュニケーションズが提供
・ 初期費用 \20,000、月額 \15,750(1000ID、容量1GB)〜
Dropbox http://www.getdropbox.com/(英語版)
・ 基本的にはコンシューマ向けだが、中小企業での利用も可能
・ 2GBまでは無料
・ 50GBまで月額 約\1,000(年間 \12,000)

8.2. 自動バックアップ

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「安心バックアップサービス」(日立電子サービス) 図8-3 「安心バックアップサービス」(日立電子サービス)

同じデータ・サービスでも、バックアップを主目的としたサービスもあります。例えば、日立電子サービスが提供を予定している「安心バックアップサービス」では、各メンバーが使用しているPCに専用アプリケーションをインストールすることにより、5世代、一ヶ月間分にわたってデータをバックアップします。

公式プレス・リリースでは料金は未定となっていますが、報道によっては5GBコースが一台当たり月額1,050円、10GBコースが一台当たり月額1,575円となっているようです。

また日本ではまだサービスは提供されていませんが、EMC社では「MozyEnterprise」という自動バックアップサービスを提供しています。

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