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SaaS & ASP 活用術

実践事例!中小企業のIT調達はコレだ―「サービスソーシング」

活用事例06.サービスソーシングした業務系システムをカスタマイズする(1) −SaaSの技術的優位性

SaaSが、今までのパッケージ・ソフトウェアや、ASPによって提供されるアプリケーションと大きく異なる点のひとつは「カスタマイズの容易性」にあります。もちろん従来のパッケージ・ソフトウェアやアプリケーションも、カスタマイズすることは可能ですし、導入した企業ごとにカスタマイズすることを前提に作られている場合もよくあります。

しかし、カスタマイズには少なくない費用が掛かります。多くの場合、一定以上のカスタマイズにかかる費用は、そのカスタマイズに掛かる労力(いわゆる人月=エンジニア数と期間の積算)によって決まります。しかもパッケージ・ソフトウェアやアプリケーションの中身は非公開の場合がほとんどですから、要求の確認から設計、カスタマイズ方法までほとんどの工程をパッケージ・ベンダやASPに任せるしかありません。

そういう意味ではゼロからのカスタム開発とほぼ同じです。実際、パッケージ・ソフトウェアの導入に当たっては、パッケージ・ソフトウェア自体の価格よりもカスタマイズの費用の方が高くなってしまうことも珍しくありません。

狭い意味でのSaaSの場合(注)には、ある範囲のカスタマイズは非常に容易であるのが普通です。それは SaaSが「マルチ・テナント方式」「メタデータ駆動」という技術的な特徴を持っているからです。

注: 今まで挙げた中では SalesForce が狭い意味での SaaSの典型例です。逆にGoogle Appsは、「クラウドを利用したインターネット・アプリケーション」とでも言うべきで、カスタマイズ性はほとんどありません。もっともカスタマイズがほとんど必要のない分野で、カスタマイズしなくても十分使えるように作られているからですが・・・。

つまり一台のコンピュータにまったく同じアプリケーションを顧客ごとに複数搭載する(マルチ・テナント)ことによってコストを大幅に下げると同時に、アプリケーションの動き方をアプリケーションの外部に記憶した情報(メタデータ)で決めることによって、まるで異なるアプリケーションが顧客ごとに動いているように見せることができます。そして、この顧客ごとに外部に記憶した設定情報(メタデータ)がユーザーに公開されているわけです。

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図6-1 従来型アプリケーションとSaaS型アプリケーション図6-1 従来型アプリケーションとSaaS型アプリケーション

その場合、外部のデベロッパに高い費用を支払って作業依頼しなくても、自分たちでアプリケーションと同様に、Web 画面からカスタマイズすることができます。もっともある程度の勉強と、自分たちが何をしたいのかという目的意識と、そのために何をすればいいのかという調査は必要になりますが、いわゆるITエンジニアとしての専門知識は必要ありません。

カスタマイズにもさまざまなレベルがあります。

  • 企業ごとの会計年度、使用通貨、組織構成、個人情報などの基本設定
  • アクセス権限やワークフローなどの業務上の設定
  • 項目の表示/非表示、色や項目名などの見た目の設定
  • まったく新しいデータ項目の追加や項目間の関連付けなどの拡張設定

また、それ以上のカスタマイズを望む場合には、専門家の力を借りてまったく新しい機能拡張やシステムを構築することができる場合もあります。ここではSalesForceを例に、簡単なカスタマイズの例を紹介します(以下では、SalesForce Deleoper Editionを用いて説明します。Editionによっていくつかの機能の多少や容量の制限が異なっています)。

レベル 中級〜上級
対象 サービスソーシングした業務系システムをカスタマイズしたい組織
目的 サービスソーシングの低コストと、カスタム・アプリケーションの組織や業務への高適合性を両立させる

6.1. SalesForce の構成

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図6-2 デフォルト・アプリケーション図6-2 デフォルト・アプリケーション

SalesForceの内容は大まかに、「アプリケーション」、「オブジェクト」、「項目」という階層になっています。アプリケーションは、右上のプルダウン・リストに表示され、業務分野を表しています。オブジェクトは各アプリケーションのタブに表示され、操作対象を表しています。各アプリケーションはオブジェクトを組み合わせて作られています。さらにオブジェクトを表示したときの各グループが項目で、オブジェクトの内容を表しています。

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図6-3 セールス・アプリケーションのオブジェクト図6-3 セールス・アプリケーションのオブジェクト
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図6-4 項目の例図6-4 項目の例

上に挙げたのは、SalesForceに最初から組み込まれているものですが、ユーザーでもこれらを簡単に追加/変更できるようになっています。ここでは潜在的な顧客に配布する「販促品」管理アプリケーション(の一部)を作ってみることにします。


6.2. アプリケーションの追加

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図6-5 設定画面図6-5 設定画面

まず、「販促品」アプリケーションを追加します。一番上の「設定」リンクをクリックすると、設定画面に切り替わります。


図6-6 アプリケーションのカスタマイズ・メニュー
図6-6 アプリケーションのカスタマイズ・メニュー

(1)すべてのカスタマイズはこの画面から行います。左のメニューの「アプリケーションの設定」にある「カスタマイズ」をクリックすると、最初から組み込まれているオブジェクトの項目や見栄えを変えることができます。


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図6-7 アプリケーション作成画面図6-7 アプリケーション作成画面

(2)同じく「作成」をクリックすると、新しいアプリケーションを作成することができます。「作成」をクリックし、さらに「アプリケーション」をクリックするとアプリケーション作成画面が表示されます。


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図6-8 アプリケーション作成図6-8 アプリケーション作成

(3)中ほどにある「新規」ボタンをクリックし、ステップにしたがって入力することによって新しいアプリケーションを作ることができます。


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図6-9 アプリケーション作成2図6-9 アプリケーション作成2
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図6-10 アプリケーション作成3図6-10 アプリケーション作成3
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図6-11 アプリケーション作成4図6-11 アプリケーション作成4
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図6-12 販促品アプリケーション・メニュー図6-12 販促品アプリケーション・メニュー

(4)これで「保存」すれば、アプリケーションに「販促品」が追加されているのが分かります。

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