HOME > 経営をよくする > SaaS & ASP 活用術

SaaS & ASP 活用術

実践事例!中小企業のIT調達はコレだ―「サービスソーシング」

活用事例01.メール環境のサービスソーシング −電子メールシステムの構築

今や電子メールは業務の情報インフラとして欠くことのできないものになっています。かつての電話やFAXと同じです。電話番号を持たない企業があり得ないように、ちゃんとしたメール・アドレスを持たない企業はあり得ません。しかし、まだ

  • ISP業者が提供するメール・ボックスをそのまま使っている
  • 少数のメール・アドレスを複数のスタッフで使い回している
  • メール・アドレスを追加しようとするたびに業者に連絡を取らなければならない

などという状況の組織もあるかもしれません。ここでは、もっとも基本的なITシステムとして、メール環境をサービスソーシングすることを考えてみます。

レベル 初級
対象 メール環境が未整備な小規模企業の組織
目的 サービスソーシングによって、柔軟で、使い勝手のよい安価なメール環境を、ハードウェア資源を自社内に抱え込むことなく手に入れる。企業の社会的信頼性と地位の認知・価値の向上

1.1. Google Appsを活用したメールシステムの構築

検索サイトとして有名なグーグルは、検索だけではなく多くのサービスを提供しています。そのひとつにGoogle Appsと呼ばれるサービスがあります。Google Appsとは業務上必要なさまざまな機能をまとめたものですが、ここではその中でもメールシステムについてだけ説明し、その他のサービスについては別の導入事例として紹介することにします。

Google Appsを使ったメール環境のサービスソーシングとは、そのイメージは無料のホスティングサービス、つまりメールシステム用のハードウェアを自社で用意することなく、自社専用のメールシステムを構築するというものです。Google Appsでは、Standard Edition として無料で50アカウントまでのサービスを利用することができます。つまりスタッフ数が50人以下の会社や支店営業所などでは実質、無料で使えるわけです。

ちなみに50人以上の組織ではPremier Editionとして1アカウント当たり、1年間に約5,000円〜6,000円の費用を払えば利用することができます。スタッフ数が100 人の会社だと1年に60万円の投資ということになります。社内やデータセンターにメール・サーバーを設置して管理することを考えれば決して高額とはいえません。またGoogle Appsにはメール以外の多くのサービスがパッケージされ、それが利用できることを考えれば、かなり割安といえます。

Standard EditionとPremier Editionはアカウント数以外に、ディスク容量(アカウント当たりスタンダード2.7GB、プレミア25GB)、広告表示の有無、サポートの有無などが異なっています。最初は Standard Editionから始めて、必要になってからPremier Editionに移行することもできます。

どちらのエディションでも独自ドメイン名が使えるほか、アカウント追加、メーリング・リスト作成、別名アカウント作成などの管理はWebブラウザから簡単に行うことができます。またPOPやIMAPといったプロトコルも使えるので、通常のメール・クライアント(Thunderbird や Outlook Express)などを利用すれば広告を目にすることもありません。迷惑メールに対するフィルタ機能や過去メッセージの整理/保存機能などもあります。

拡大する
図1-1 開始画面

拡大する
図1-2 メール画面

拡大する
図1-3 全体管理画面

拡大する
図1-4 個人管理画面

1.2. どのように導入・活用するか

サイトから説明をよく読みながら、申し込みのページにたどり着くことができます。申し込み時に使用するドメイン名が必要ですが、まだ持っていない場合には .comなどの三文字トップ・ドメインをその場で取得することもできます(年間10ドル)。検索すれば、ドメイン名を取得するサービスは他にも数多く見つけることができます。

有料サービスの申し込みの場合にはクレジット・カードなどの用意も必要ですが、申し込みはほとんどその場ですぐに終わってしまいます。ただし運用開始までにはメールとインターネット・ドメインに関する最低限の知識は必要になります。またドメイン名が確認されるまで数時間から1日程度掛かる場合もあります。

サービスが始まったら、管理者はWebブラウザを使った管理画面からアカウントを作成します。後はアカウントを受け取ったユーザがWeb画面から、あるいは使い慣れたメール・クライアントを設定して、 そこからすぐにメールを使い始めることができます。

もし、すでにそのドメイン名で他のメール・サービスを使っているならば、移行作業が必要になりますが、DNS設定の変更とユーザのメール・ボックスの移動がおもな作業です。

1.3. リスクとデメリット

サービスソーシングを行う場合には、それに相応するリスクを考えることも必要になります。Googleのプライバシー・ポリシによれば、メール内容が(例えGoogle社員であれ)外部に漏れることはありません。またアクセスはすべて暗号化することができます。

プレミア版では99.9%のメール稼働率が保証され、それが守られなかった場合には利用料金の一部が返金されます。スタンダード版でも返金こそありませんが、ほぼ同様の稼働率とっていいでしょう。 実際、Googleのメール・サービスはたまに障害を起こすことがあります。しかしそれは他の事業者と大きく変わるわけではありませんし、利用者が多く、注目度が高い分だけ多くの監視の目に晒されていると考えることもできます。現状でも十分、コストに見合う品質ではないかと思われます。

1.4. その他の候補

同じようなサービスは、この他にも次のような事業者が提供しています。

● Zimbra
  http://www.zimbra.com/jp/solutions/
  オープンソース・ベースのマルチ・プラットフォーム商用製品

●Windows Online Services
  http://www.microsoft.com/online/ja-jp/default.mspx
  マイクロソフト製品と緊密な結合が可能。日本語版はβ段階、本格サービスは今後開始

実践事例!中小企業のIT調達はコレだ―「サービスソーシング」

  1. 中小企業が実践するSaaS―サービスソーシング(調達)[2009年4月3日]
  2. 活用事例01.メール環境のサービスソーシング −電子メールシステムの構築[2009年4月3日]
  3. 活用事例02.情報系システムのサービスソーシング −ドキュメント作成・管理システムの構築[2009年4月3日]
  4. 活用事例03.外部向け情報発信をサービスソーシングする −webサーバーの構築[2009年4月3日]
  5. 活用事例04.基幹系システムをサービスソーシングする −財務、在庫、購買、人事/給与管理システムの構築[2009年4月3日]
  6. 活用事例05.業務系システムをサービスソーシングする −営業支援系システムの構築[2009年4月3日]
  7. 活用事例06.サービスソーシングした業務系システムをカスタマイズする(1) −SaaSの技術的優位性[2009年4月3日]
  8. 活用事例07.サービスソーシングした業務系システムをカスタマイズする(2) −SalesForceを使ったアプリケーションの追加[2009年4月3日]
  9. 活用事例08. データをサービスソーシングする −データの安全とコスト低減の両立[2009年4月3日]
  10. 活用事例09.インフラをサービスソーシングする −既存のシステムや独自アプリまでソーシングできる環境の構築[2009年4月3日]
Copyright(c) Metabolics,ltd. このコンテンツの著作権は、(有)メタボリックスに帰属します。著作権者の承諾なしに無断で転用することはできません。