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SaaS & ASP 活用術

知っておきたいSaaS&ASPサービスの基本と特徴

02.SaaS/ASPサービスの実例
(1)-オフィス系(google、zoho)、グループウェア系(Cybozu)

分類 説明
オフィス系 おもに個人が生産性のために使うツール類 google apps、 zoho
グループウェア系 おもにチームの共同作業のためのツール類 cybozu、 zimbra、 zoho
業務系 既存の業務アプリケーションの一部の代替 SalesForce、 NetSuite、ネット de 会計、zoho
表2-1 SaaS/ASP分類

現時点ではあらゆる分野のシステムがSaaS/ASPで提供されているわけではありません。前述したように向き不向きもあります。ここからは現在提供されているSaaS/ASPを以下のように分類、解説するとともに、中小企業においてもっとも身近で関係の深い会計分野を特別に抜き出して解説します。今回は、オフィス系とグループウェア系について取り上げてみます。

2.1.Google Apps

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Googleドキュメント 図2-1 Googleドキュメント

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Gmail図2-2 Gmail

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Googleカレンダ 図2-3 Googleカレンダ

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Googleドキュメント(ワープロ) 図2-4 Googleドキュメント(ワープロ)

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Googleドキュメント(スプレッドシート) 図2-5 Googleドキュメント

オフィス系SaaS/ASPは、おもに今までのデスクトップ・アプリケーションの置き換えです。Step6の分類で言えばコンシューマ向けパッケージをネットワーク化したものと言えます。

このカテゴリの中でもっともよく知られている例として、グーグルが提供している「Google Apps」を挙げることができます。

これはグーグルのアカウントを持っていれば誰でも無償で利用することができるため、すでにグーグルが提供するワードプロセッサ、表計算、プレゼンテーション・ツールをWebブラウザから個人で使っている人も多いことでしょう。Google Appsはこれらグーグルが提供するサービスをまとめて、企業が使いやすい形にしたものです (もちろん個人や家族など企業以外のグループで使うこともできます)(図2-1〜2-5)

Google AppsにはStandard EditionとPremium Editionという二つのバージョンがあります。Standard EditionはGmailやGoogleドキュメント(ワードプロセッサ、表計算、プレゼンテーション・ツール)をグーグルの個人アカウントから使うのとほとんど同じ使い勝手で使用することができます。

使用料は無料ですが、ユーザ企業の持つ独自ドメイン (xxx.google.comではなく、xxx.co.jpのような) を使うことができるのが大きな違いです。用意されるディスク容量も個人アカウントから使うのと同じく、一人当たり6.28GB (2008/1/5現在) 、またGmail使用中にグーグルが提供する広告も表示されます(ユーザが指定して公開するような場合を除き、ユーザが書いた内容などをグーグルが第三者にそのまま開示したりすることはありません)。

Standard Editionでは以下のような機能が使えます。

Gmai メール
Googleトークチャット
Googleカレンダスケジュール管理(共有も可能)
Googleドキュメント オンライン版のワープロ、表計算シート、プレゼンテーション(共有も可能)
Page Create簡易Webサイト作成(メニューなどは英語表示だが、日本語で作成可能)
スタートページユーザごとのポータル(各サービスへの入り口)

<注>実際には個人向けサービスの画面キャプチャだが、 画面内容は企業向けとほぼ同様

確かにGoogleドキュメントの提供するワープロなどは、細かな部分ではデスクトップ・アプリケーションには適わない面もありますが、これらのツールは大変完成度も高く、またネットワーク上で共有したりするのにも向いています。またGmailはスパムに対して強固といわれ、高い信頼性を保持しています。

一方、Premium Editionは年間に一人当たり(正確には1アカウント当たり)50ドル(99アカウント以下の場合)あるいは6,000円(100アカウント以上の場合)の費用負担があります。

その分、Gmail使用中に広告を表示しないようにしたり、グーグルが提供するAPIを使って独自の機能を追加したり、電話サポートを受けたりすることができます。さらに一人当たり25GBもの大きなディスク容量を利用することができます。なおメールに関しては99.9%の稼働率(注釈↓)が保証されています。

さて、Google Appsがあればどれだけの価値を得ることができるでしょうか? まずメール・サーバの機能を社内で管理する必要がなくなります (ただし、これはすでにインターネット・サービス・プロバイダに結果的に委託している場合が多いかもしれません)。さらに、社内でファイル・サーバを立てずに済むかもしれません。またグループウェア的な機能も含まれていますから、 これもGoogle Appsだけで済むかもしれません。

ただし、Googleドキュメントの提供するワードプロセッサや表計算シートでは機能的に足りない場面に遭遇する場合もあるでしょう。また、第三者に機密が漏れる心配は社内管理に比べ確率は少なくなりますが、グーグル内部でどのように扱われるかについてはサービス選択を危惧する要素になる可能性もあります。

例えば従業員100人の会社で全員がGoogle AppsのPremium Serviceを使うと、1年間に60万円の経費がかかります。これは代表的なオフィス向けソフトウェア・スイートの十数本分の値段に相当します。それらを購入せずに済むのであれば(その後の定期的なアップデートやセキュリティ関連のツールの必要性も考慮すれば)、Google AppsのPremium Editionを採用するのに見合うだけの価値があるといえます。

Google Appsの特徴は何より、その手軽さとグーグルのサービスに慣れていることからくる安心感といっていいでしょう。

2.2.Zoho

Google Appsはメールとオフィス・スイートに焦点を絞ったものでしたが、Zohoはより多様な機能を提供しています(図2-6〜2-7)

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Zoho Writer 図2-6 Zoho Writer

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Zoho Show 図2-7 Zoho Show
Zoho Writer ワードプロセッサ
Zoho Sheet 表計算シート
Zoho Show プレゼンテーション・ツール
Zoho Meeting オンライン会議
Zoho Notebook メモ帳
Zoho DB & Reports データベース
Zoho Planner スケジュール管理
Zoho Projects プロジェクト管理
Zoho CRM 顧客管理
Zoho Create データベース・アプリケーション作成
Zoho Wiki Wiki(知識共有)サイト
Zoho Chat チャット
Zoho Mail メール(2008/1/5現在新規サービス受付停止中)
Zoho Business ポータル(ユーザごとのサービス入り口)
Zoho Polls 投票
Zoho Viewer ドキュメント共有

これらのなかで現時点で有料なのもは以下のものだけです。

Zoho CRM 3ユーザまで無料、4ユーザ目からひとり1ヶ月1,800円
Zoho Projects 1プロジェクトは無料、3プロジェクトは1ヶ月800円、10プロジェクトは1ヶ月1,800円など
Zoho Mail ひとり1ヶ月500円

これらのなかにはディスク容量などでオプションが設定されるものがあります。また現在無料で利用できるほかの機能でも、一定程度以上の機能/容量については将来、課金が始まる可能性もあります。

Google Appsに較べると、プロジェクト管理的な機能、CRMなど業務系の機能が揃えられているのが特徴です。ただしプロジェクト管理や顧客管理は(Zohoに限ったことではありませんが)、提供されるサービスのやり方にしたがった使い方をせざるを得ません。それが自分たちにとって使いやすく、効果的かどうかを十分評価した上で、使い始める必要があります。

2.3.その他のサービス

サイボウズOffice7は、非常に広く使われているグループウェアです。Office7を利用するためには、社内に一台のLinuxかWindowsパソコンを用意する必要があります。

製品は、同社Webサイトからダウンロードし、ワンクリックでインストールするだけで使い始めることができます。導入後60日間はそのまま無料で試用でき、本格的に使いたい場合にはサイボウズのWebサイトから直接ライセンスを購入することができます。

従来のパッケージ製品としては、手軽に使いやすい製品のひとつと言えますが、いちど上に挙げたようなGoogle AppsやZohoを知ってしまうと、社内でサーバを維持管理するのは実は大変だということに気が付きます。

グループウェアは止まってしまったり、データを壊してしまうと仕事は停滞してしまいます。そのようなことが起こらないように社内でハードウェアの面倒を見続けるのは実際にそれなりのコストがかかり、何よりも本業と関係のない業務に人を割り当てなければならないことが負担になります。

サイボウズの場合には、サイボウズを開発しパッケージ製品として販売しているサイボウズ社自身ではなく、複数のパートナ企業がサイボウズのグループウェア製品をSaaS/ASPのサービスとして提供する形を取っています。ユーザ企業にとっては、これによって社内でサーバを維持管理する手間をアウトソーシングできることになります。

Zimbraというメイル・ベースのグループウェアも同じように、製品を提供するベンダと、それをサービスとして提供するベンダが別になっています。日本ではfeedpath Zebraとして、初期費用52,500円、一人当たり月額1,575円(10〜101人の場合)で提供されています。

Zimbraの場合、さらに興味深いのは、製品としてのZimbraの基本部分はオープン・ソースとして公開されているので、社内でサーバを立ち上げ、導入や保守を自分たちで行えば、無料で自分たちが好きなようなシステムにすることさえ可能だということです。つまり、コストとリスクを誰が負担するかによって、さまざまな選択肢があるということです。

知っておきたいSaaS&ASPサービスの基本と特徴目次

  1. 01.さまざまなシステム導入方法 - SaaS/ASP (1)[2008年2月22日]
  2. 02.SaaS/ASPサービスの実例 (1)-オフィス系(google、zoho)、グループウェア系(Cybozu)[2008年5月27日]
  3. 03.SaaS/ASPサービスの実例(2)-業務系(SalesForce)[2008年5月27日]
  4. 04.SaaS/ASPサービスの実例(3)-会計/財務系[2008年7月4日]
  5. 05.オープン・ソース・ソフトウェアとユーザ指向 〜SaaS/ASPの先へ[2008年8月12日]
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