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SaaS & ASP 活用術

SaaS&ASPサービス導入マニュアル

Step6.さまざまなシステム導入方法 ― カスタム開発、パッケージ

6.2.内製によるカスタム開発

「カスタム開発は必要だが、外部に委託するのはコストなどの問題で難しい」という場合には、内製によるカスタム開発が有力な候補になります。

最近は社会全体にITが普及してきたせいで、外部の専門家による大規模開発でなくても、それなりに開発が可能なプラットホーム(開発環境)も増えてきました。ちょっとした開発経験を持つ半専門家が社内にいる場合もあるでしょう。また、その期間だけソフトウェア開発の専門家を雇用することもあり得ます。

アイデアの検証のための開発や、短期間の利用にはこのような内製によるカスタム開発でも十分な場合があります。アイデアが検証できたり、利用規模が拡大してきた時点で外注するのもよい考えです。

「何をしたいか」という要求は動くシステムという形で明確になっているし、その効果もある程度確かめられているので、外注によるカスタム開発のリスクを減らすこともできます。

6.3.パッケージ購入 + カスタマイズ

すでにIT化したいような業務に対応するパッケージ・ソフトウェアが市販されていれば、それを導入することもできます。特にどのような会社でも必要となる定型業務や、多くの業界の主要業務には何らかのパッケージが用意されていると思っていいでしょう。

パッケージ購入はたいてい、外注によるカスタム開発よりは(少なくとも初期)コストを低く抑えることができます。その代わりに、自社のコア・コンピタンスになるような部分や、自社特有の部分、他社が手を付けていない部分をパッケージで賄おうとすると、かえって多くのコストが必要になったり、うまく動かせなかったり、場合によっては自社の独自ノウハウが何らかの形で流出することになりがちです。

またパッケージを導入する場合、多かれ少なかれカスタマイズという作業が発生します。つまり、パッケージの機能を自社業務に合わせて変更したり、機能を追加したり、既存の自社システムと連携させたりする必要があります。そしてこのカスタマイズという作業には、前述した外注によるカスタム開発とまさに同じことが当てはまってしまうのです。

つまり要求を明確にし、カスタマイズ工程をチェックし、保守運用を行わなければなりません。パッケージという形でシステム調達を行う場合、得てして初期コストの低さに目を奪われて、この点を忘れがちです。これが後々に大きな問題を生む場合もあります。

6.4.コンシューマ向けパッケージ購入

コンシューマ向けパッケージとは、例えば量販店の店頭に並んでいるようなソフトウェアを指しています(COTS = Component Off The Shelf、棚からレジに持っていって買えるソフトウェアと呼ぶこともあります)。

完全にコンシューマ向けでないとしても、カスタマイズ不要(多くの場合はそもそも大きなカスタマイズは不可能)なソフトウェアは多くあります。最近はIT技術が社会的に広く普及してきたために、ある部分はこのようなソフトウェアで十分まかなえるようになってきました。例えばワード・プロセッサや表計算プログラム、簡易データベースなどのような生産性ソフトウェアはその代表格です。

ただし、この場合でもITシステムは購入してからが勝負です。多くのソフトウェアは定期的にアップグレードを要求されます。また個々の従業員のPCにインストールされたアプリケーションやそのデータの管理は不可能になりがちです。

とは言っても、それらを情報システム担当者が強力に管理しようとすると、せっかくのソフトウェアの生産性が落ちたり、情報システム担当者の業務が激増したりして、せっかくのコスト低下が相殺されてしまうこともあります。

6.5.まとめ

ここまでは外注によるカスタム開発、内製によるカスタム開発、カスタマイズを伴うパッケージ購入、コンシューマ向けパッケージ購入という調達方法を見てきました。どの方法が適しているかは、この連載のStep1で述べたように「業」「務」「情」「報」のマンダラの中で、やりたいことがどこに位置しているのかに依ります。

特に日本では「せっかくなら自分の思い通りのものを作りたい」という心情からカスタム開発が好まれてきました。しかしそれがコスト/リスクの面から必ずしも最適な選択ではない場面も多いのです。そして、どの調達方法をとったとしても重要なのは次の3点です。

システム調達に重要な3要素 図6-4 システム調達に重要な3要素

コンシューマ向けパッケージの場合は、上記の3点のうちポイント1、2は問題にならないわけですが、ポイント3の重要性は変わりません。

さて、パッケージの形態をもっと推し進め、その欠点を解消する調達方法がSaaS/ASPといったWebサービスです。次回以降は、新しいステップ「SaaS&ASPサービスの特徴」と題して、今後もっと重要性が高まってくると考えられるこのSaaS/ASPとしてのITシステム調達について詳しくみていきます。

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SaaS&ASPサービス導入マニュアル目次

  1. Step1.経営にとっての情報化 何のためのIT化なのかを考える[2007年12月26日]
  2. Step2.ビジョンとミッションを明確にする[2007年12月26日]
  3. Step3.業務を可視化する[2007年12月26日]
  4. Step4.ビジネスからシステムへ エンタプライズ・アーキテクチャ[2007年12月26日]
  5. Step5.IT化を推進する道筋 ― システムのライフサイクル[2008年01月18日]
  6. Step6.さまざまなシステム導入方法 ― カスタム開発、パッケージ[2008年02月22日]
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