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SaaS & ASP 活用術

SaaS&ASPサービス導入マニュアル

Step5.IT化を推進する道筋 ― システムのライフサイクル

5.4.進化

多くの場合、ITシステムの寿命は数年から長いものでは20年以上に及ぶこともあります。 その間、納品されたままの状態で使い続けられることは滅多にありません。

ビジネスが進むにつれて、また法制度の改正などに伴って必ず機能追加、容量拡張、性能向上、改修などが必要とされます。そのたびにITシステムを作り替えるのは何より不経済ですし、システム更新につきもののデータ移行やシステムの安定性という面から多くのリスクが伴います。

「今は技術発展も著しいので短い期間で作り替えた方がいい」という開発組織もありますが、実はよく作られたシステムというものは、核になる部分はそのままで必要な技術発展に十分対応できるようになっています。

そのように考えると、重要なのは初期構築費用が高いか安いかではなく、ライフサイクル全体のコストがどうなのかに関わってくることが分かります。

いかに初期構築費用が安く上がったとしても、何かちょっとした変更を加えるたびに膨大な改修費用を請求される場合があります。開発組織の経営政策上そうなっている場合もありますし、システムが技術的にあまりうまく作られていないためにそうならざるを得ない場合もあります。ライフサイクル・コストを見極めるのは大変難しいことですが、重要なポイントでもあります。

また、前に述べたようにITシステムは必ず何らかのビジネス上のビジョン/ミッション(目標)に対応して作られているはずです。そして目標には必ず目標をどこまで達成できているかという基準値が付随しているはずです。だとしたら、実際にITシステムを導入して、

  • 初期構築費用以外にどれだけの運用/使用コストがかかっているか
  • それに対してITシステムは目標達成にどれだけ寄与しているか
  • ビジネスとITシステムの実際上の整合性はどうか

が分からなければなりません。

そのためには、ビジネスの側、ITシステムの側の両方からこれらを定期的にチェックする必要があります。それに付き合ってくれる開発組織であるかどうか、言われたものをそのとおりに作るだけでなく、作ったものをチェックして改善していく能力を持った開発組織であるかどうかも重要なポイントになります。

5.5.引継

どんなITシステムにも寿命はあります。状況の変化、業務の変化に対応しながらITシステムは進化を続けていくのですが、ある時点で「さすがにもうこれ以上変更を重ねるのはかわいそうだろう」「技術的にもそろそろ刷新するか」となります。

ところが、それが突然死では現場では大いに困るわけです。 ITシステムが抱えているデータがそもそも大切な資産ですし、長い進化を経てきたITシステム自体、企業のノウハウと智慧を体現しているからです。

これらをどのように次の世代に引き継いでいけるかについても、優れたITシステムや開発組織では、最初からある程度考慮しているはずです。これも非常に判断に難しい点で、いざ次世代システムへの移行というときになって、問題が発覚し、移行のためだけに古いシステムに大きなコストが必要になったりすることもあります。

5.6.監理という役割

建築の世界では、技術的に専門家ではないユーザ(施主)が、専門家をきちんとコントロールできるように「施工監理」という仕組みがあります。専門家(多くの場合、設計を担当した建築士など)が、施主の立場に立って、専門家の目から正しい建物が正しい工程に沿って作られているかをチェックし、必要な修正やアドバイスをするものです。

ITシステムの世界では、残念ながらこのような仕組みはまだ確立されていません。ITシステム全体の発注をまとめて引き受けるSIer (システム・インテグレータ) という役割はありますが、これはあくまでも開発側の立場です。

SIerとは別に、監理(スーパバイザ)を第三者的な専門家に頼むと、前述したさまざまな難しい問題を、例えば筆者たちもそのような業務を行っていますし( http://www.metabolics.co.jp/mmw/958b767a76e37406)、業務としてうたっていない場合でも引き受けてくれる業者もあると思います。

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SaaS&ASPサービス導入マニュアル目次

  1. Step1.経営にとっての情報化 何のためのIT化なのかを考える[2007年12月26日]
  2. Step2.ビジョンとミッションを明確にする[2007年12月26日]
  3. Step3.業務を可視化する[2007年12月26日]
  4. Step4.ビジネスからシステムへ エンタプライズ・アーキテクチャ[2007年12月26日]
  5. Step5.IT化を推進する道筋 ― システムのライフサイクル[2008年01月18日]
  6. Step6.さまざまなシステム導入方法 ― カスタム開発、パッケージ[2008年02月22日]
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