HOME > 経営をよくする > SaaS & ASP 活用術

SaaS & ASP 活用術

SaaS&ASPサービス導入マニュアル

Step3.業務を可視化する

3.3.ビジネス・モデリングの複数の視点

ビジネス・モデリング 図3-1 ビジネス・モデリング

私たちがあなたの会社の業務をモデリングするときには、さまざまな側面から皆さんの業務を眺めます。

ひとつは「もの」「情報」の視点です。その業務ではどういう「もの」「情報」が扱われているか。商品は「もの」の代表です。商品などと交換に受け渡される書類や商談で交わされるデータなどは「情報」の代表です。

多くの場合、実際の書類(伝票類、日報の類など)や電話でのやりとり、会議録はものに関する情報の宝庫です。まれにIT化によってそのような重要な情報が失われてしまうことがあります(紙から決まりきったオンライン・フォームになることによって)。それを防ぐためにも、今実際の現場で現実に流れている「情報」をちゃんと明確化しておくことは重要です。

商品や書類は形がありますが、形がない「もの」や「情報」もあります。言葉や概念、お金、人間関係などです。特にその会社や業界だけで通用している隠語がキーになる場合はよくあります。また表立って定義されている組織と、実際に業務上で構成されている組織が違うこともあります。

第2の視点は「流れ」の視点です。「もの」だけがあってもそれが動かなければ仕事にはなりません。「もの」「情報」が誰の手によって、どういうタイミングで、どうやって流れるのかは業務の核心です。私たちはこれを「ビジネス・プロセス」「ワークフロー」などと呼ぶこともあります。

また「流れ」の末端にはお客様や他の業者も関係してきます。この外部との接点を慎重に扱わないと、「仏作って魂入れず」のITシステムになりがちです。

「ワークフロー」を定義しましょう、というと「いやいやうちではそんなのは無理です」とおっしゃる場合がよくあります。確かに実際の業務の流れは混沌としていて、明確にできそうもない場合もあります。しかし実はそのような業務こそ、少し手を入れたり、ITを組み込んだりすることによって劇的に改善するものなのです。

また場合によっては、業務を明確にすることによって今までやってきた仕事を失ってしまう従業員が出ることもあります。そのような場合には、ビジネス・モデリングは人員削減のためにものではないのだということをマネジメント層が明確にすることが必要です。

第3の視点は「ルール」の視点です。流れには必ず何らかの条件、規則、制約があります。これを明確にするのは「流れ」を明確にするよりももっと難しいのが普通です。しかし、「流れ」について述べたのと同じように、明確化するのが難しいところほど、よりよくすることが可能なところなのです。

また最近は内部統制や法令遵守などが声高に叫ばれるようになってきました。これらを表面的に受け流したり、逆に標準的なマニュアル通りに対処しようとする会社も多いのですが、実はここにもその会社の本来の資質が表れてきます。

もともと自分たちのやるべきことがルールとして明示され、それをチェックする仕組みが作られていれば、内部統制や法令遵守は「余計なコスト」にはならないはずです。「〜しなければならないからしかたなく、〜する」というのはモチベーションとしても、費用の使い方としてもあまり得策ではありません。

むしろ「自分たちは最初から透明で、明確な業務の仕組み (ルール) を持っている。だから、〜するのは当たり前なんだ」という流れを作りたいのです。

「もの」「情報」「流れ」「ルール」というビジネス・モデリングの主要な視点を簡単に見てきました(図3-1)。この背後にはさらに「資源」「イベント」「ひと/組織」などという視点もあります。ビジネス・モデリングの詳細について述べるには場所も時間も足りません。また別の機会を待ちたいと思います。

3.4. why・what から howへ

さて、今回の話は前回の三角形の図2-1でいうとwhatの部分に当たります(図3-2)。ビジネス・モデリングによって「何」が対象なのかを、内にも外にも明確化することができます。ここには改善のキー・ポイント、自社のコア・コンピタンス (独自の競争力の源泉) が実は隠されているはずなのです。

また、ITの側から見ると、このモデルをITシステムの中にうまく作り込むことが、重要なポイントになります。モデリングがいい加減であったために、最後まで成功に至らなかったIT化プロジェクトは枚挙に暇がないほどです。

「what」の明確化 図3-2 「what」の明確化

ここまでの段階では「何を目指しているのか」「業務は実際にどうなっているのか」を明らかにしてきました。この二つはIT導入における重要な大前提ですが、まだITそのものは姿を現していません。次回からはこの業務の「何」をITの「どう」やるにつなげるかというところをお話ししたいと思います。

1|2
Copyright(c)Metabolics,ltd. このコンテンツの著作権は、(有)メタボリックスに帰属します。著作権者の承諾なしに無断で転用することはできません。