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SaaS & ASP 活用術

SaaS&ASPサービス導入マニュアル

Step3.業務を可視化する

3.1.誰もが当たり前に思っている業務

あなたの会社では、多分誰もが自分がやるべきことがそれぞれ分かっており、日々それに基づいてつつがなく業務が行われていることでしょう。それは今、会社の中で働いている人にとっては当たり前のことになっているはずで、多分誰もそれをいちいち気にしたりはしません。

ところが、いったん会社の外部からそのようすを眺めてみると、実はかなり不思議なことになっています。ある業務がどのように行われているのか、外からではよく分からないことがほとんどなのです。

業務の遂行のしかたがマニュアルとして事細かに書かれていることは (未経験のバイトさんを多く使う場合などを除いて) あまりありません。

例えマニュアルのようなものがあったとしても、その内容は現場で磨きをかけられているうちに、だいぶ進化したり、言葉にできないような慣習や効率化のための工夫が積み重なったり、何らかの制約によって一部分省略されたりしているものなのです。

業務で交わされる書類一枚のフォーマットを考えてみても、なぜそういうフォーマットになっているのか、実は今では誰にも分からなかったり、まったく関係ない名称の項目を誰もが当たり前のように違う目的に使っていたりします。

ユーザ企業と開発組織の間の橋渡し役として、私がいくつかの会社を訪問していつも(ほぼ間違いなく)目にするのは、上のような不思議な光景です。そして担当の方に「なぜなのでしょう?」と尋ねると、これもほぼ間違いなく、今度はこちらが驚かれます。

それが何が問題なのかって? 業務は日々円滑に進んでいるではないかって?
その通りです。それ自身は悪いことではありません、というよりもそこにこそ業務の進化の跡が残っており、それこそがその会社の競争力の源泉である場合すらあるのです。

しかし、残念なことにこのままではITを導入するのは大変困難であると言わざるを得ません。

ITとは(そしてIT側の外部の人間は)まさに「空気読めないやつ(KY)」なのです(場合によっては無理に空気を読まないことが重要なこともあります)。こういう現場にこの状態のまま、ITを導入するとどういうことになるでしょうか。

例えば、今までうまくいっていた業務のほとんどがうまく動かなくなります。従業員は、ITと必死に戦い、数ヶ月後、数年後には見事にITを何とかかわす (ないことにする) 技術を身につけ、今までと同じように業務を続けていくかもしれません。

あるいはITの導入によって業務が硬直化し、どうにもならなくなって、次のIT導入検討を始めるかもしれません。悪循環ですね。

もう一つの問題もあります。まず外部に対してより何より、自分たちが日々何を何のためにどのように行っているのかを明確にしなければ、今よりももっとよい業務を目指すのは難しいということです。これはITやITシステム導入とは直接関係ありません。

ITがあろうがなかろうが、前に進むためには一度、自分たちが無意識に行っていることを振り返る必要があるのです。もちろん無意識のうちにやっていることの中には悪いことばかりではなく、よいこともあるはずです。

それを明確にして、自社の核に据えることができれば、もしかしたら競合他社との大きな差別化につながるかもしれません。

3.2.ビジネス・モデリング

自分たちがやっていることを、さまざまな角度から分かりやすく明確に客観視すること。これはノウハウをマニュアル化して固定化することではありません。自分たち自身を見つめ直すことです。この作業は「振り返り」を通した「見える化」です。

ITの側からの言葉遣いでは「モデリング」ともいいます。もちろんあなたの会社で行われていること「すべて」をモデルとして表すことができると主張しているわけではありません。社員の皆さんが持っているモチベーション、会社の伝統に対する信頼感など、どんなに詳細にモデリングしてもその中に入りきらないことももちろんある、というのが前提です。

専門家でない皆さんが自分たちの業務をモデリングすることはたいていの場合、難しいと思います。自分のことは自分が一番よく分かっていない、ということもあります。

IT化導入を検討する場合には、私たちのような専門家がモデリングを行います。そのためには皆さんにさまざまなことをお聞きしたり、調べたり、場合によっては提案してみたりすることになるでしょう。

モデリング自体が難しいとしても、いったん作られたモデルを理解することはできます。ぜひ我々専門家の作ったモデルをじっくり吟味していただければと思います。

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