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SaaS & ASP 活用術

SaaS&ASPサービス導入マニュアル

Step1.経営にとっての情報化 何のためのIT化なのかを考える

1.2.何のためのITか

あなたの会社では、なぜわざわざ高いお金と労力をかけてITを導入する必要があるのでしょうか? 業務 (ビジネス) と情報 (ITシステム) の関係をいまいちど考え直してみましょう。

IT化の本質(1) 図1-3 IT化の本質(1)

まず「業務」という言葉を「業」と「務」の二つの漢字に分けてみます。ここで「業」はビジョン、自分たちがこれを実現したい、こうなりたいという目標です。「務」はミッション、社会の中で自分たちが果たすべき責務、役割です(図1-3)

業務はビジョンとミッションがあって初めて動き始めます。ビジョンとミッションは組織の戦略を決めます。ビジョンとミッションを確認するための方法としては、例えばバランス・スコア・カードや戦略マップがあります。

一方で「こうしたい」「こうすべき」だけでは企業は動きません。実際にどう動くかという戦術が必要です。このレベルでは「業」は自分たちの本来の仕事、本業を表しています。「コア・コンピタンス」、核となる競争力の源泉です。

一方、「務」は本業をするのに必要不可欠ではあるけれど付随的な仕事です。このレベルの業務をうまく動かすための方法には例えばPDCA、見える化などがあります。

さて今度は「情報」です。これを業務のときと同じように「情」と「報」の二文字に分けてみます。もともと日本語の「情報」というのは「敵情報告」のような軍事用語に由来するそうですが、「情け」と「報い」とも読めますね。

今回はそちらには深入りせずに、ITの視点から「情」をモデル (企業モデル、模型)、「報」をそのモデルの実現と考えます。これがいわゆるITシステムの上部構造 (スーパーストラクチャ)、一つひとつのユーザ企業向けに構築され、コア・コンピタンスを実現するためのアプリケーションの集合に対応しています。

IT化の本質(2) 図1-4 IT化の本質(2)

しかしITシステムは、交通や通信など他のシステムと同様に、上部構造だけあってもそれだけで動かすことはできません。下部構造 (インフラストラクチャ) が必要なのです。

このレベルでは、「情」はインフラストラクチャのソフトウェア的側面、「報」は同じくハードウェア的側面 (報が情=ソフトウェアの実現という意味では上部構造と相似です) を表しています(図1-4)

「業」「務」のマンダラは大きい人 (我々人間ですね) が働く領域、「情」「報」のマンダラは (コンピュータの中にいる) 小さい人が働く領域です。「業」「務」「情」「報」をキーワードにして、業務 (ビジネス) と情報 (ITシステム) を表すマンダラが見えてきました。

この全部で8つの要素はどれも重要で、どれを欠いてもITシステムは成り立ちません。 業務を実現し、実行するためにITシステムを導入し、活用するのならば、この二つの「業」「務」マンダラと「情」「報」マンダラが満たされていなければなりません。

2つのマンダラを結ぶ価値と実行可能知識 図1-5
2つのマンダラを結ぶ価値と実行可能知識

実はそれだけではまだ十分ではありません。この二つのマンダラをうまくつなげて動かすことが必要です。業務がITシステムを必要とするのは、ひとつには省力化、コストダウンという面もありますが、より重要なのはあなたの会社が持つ/顧客に提供できる価値をより高めるためです。

そのためにはあなたの会社において、何が価値なのかを明確に認識できなければなりません。

逆にITシステムから業務を見ると、ITシステムとは組織が持つノウハウ、知識、智慧、競争力の源泉をソフトウェアという形式知にまとめ上げたものになっていなければなりません。これを実行可能知識と呼びます。業務と情報という二つのマンダラは、価値と実行可能知識という二つの線でつながれます(図1-5)

その仕事をするのが、私たちのようなユーザ企業と開発企業を結ぶコンサルタントであったり、後述するエンタプライズ・アーキテクチャのような道具立てなのです。

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SaaS&ASPサービス導入マニュアル目次

  1. Step1.経営にとっての情報化 何のためのIT化なのかを考える[2007年12月26日]
  2. Step2.ビジョンとミッションを明確にする[2007年12月26日]
  3. Step3.業務を可視化する[2007年12月26日]
  4. Step4.ビジネスからシステムへ エンタプライズ・アーキテクチャ[2007年12月26日]
  5. Step5.IT化を推進する道筋 ― システムのライフサイクル[2008年01月18日]
  6. Step6.さまざまなシステム導入方法 ― カスタム開発、パッケージ[2008年02月22日]
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