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書窓/住友大阪セメント社長・関根福一氏「ぶれない心に共感した『武士道』」

 若いころ手に入れて手放さず、読み続けている本が2冊ある。『日本の美を求めて』は妻が「暗記しようとしているの?」とあきれるほど繰り返し読んでいる。『武士道』は海外出張にも持ち歩き、精神のよりどころにしている。読書に対する趣味嗜好(しこう)が変わっても、この2冊は僕にとって特別な存在であり続けている。

 『日本の美を求めて』を何遍も読みたくなるのは、とにかく文章が美しいから。短編ながら物事の本質を捉えている。著者の東山魁夷さんの絵に描かれた場所にたまたま自分が勤務していたことも、好きな気持ちを増幅させたと思う。

 僕は入社5年目から山口県長門市で勤務していた。長門市には青海島という小さな島がある。「碧濤台」という展望台があり、断崖絶壁に日本海の荒波が押し寄せる光景が広がる。

 夕方、仕事帰りに青海島を訪れると太陽が水平線に沈む様子が見られた。太陽が横に揺れながら海面が真っ赤になり、すっと沈んでいく。詩的な光景だ。『日本の美を求めて』を購入したのがちょうどこのころ。東山さんもこの辺りをスケッチして歩き、絵の題材に生かしている。自然と対峙(たいじ)する、厳しいけれども優しい東山さんのものの見方に心を動かされた。

 新渡戸稲造さんの『武士道』は大学の空手部時代に入手した。必死で稽古していた空手道と相通ずるものがあった。物事に対してぶれない心に共感した。ぶれない心は仕事にも通じる。問題が発生しても組織の長は慌ててはいけない。内心「まいった」と思ってもぐっとのみ込み、どうしたら良いか考えなければならない。そうした時に『武士道』は心のよりどころになる。

 僕はリーダーとして大事なのは逃げないことだと思う。偉くなったら人に担がれて、物事がうまく行っていればそれでいい。その代わり"負け戦"の責任はとる。武士の潔さと通じる。意識すると力みが出るが、自然体で振る舞えるのは年の功だと思っている。

【余滴/伸びやかな人柄】

 「『武士道』の中でも惻隠(そくいん)の情について書かれた一節に人としての美学を感じる」と話す関根社長。セメント業界は環境変化の荒波にもまれてきた。社長自身も辛酸をなめた経験を持つはずだが、愛読書に心を支えられつつ経験を糧にしてきたところに素直で伸びやかな人柄が感じられた。(斎藤正人)

[2016年10月17日]

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