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競争力の要「人材」/IPA、育成事業に力

「人材」が競争力の要となる情報通信技術(ICT)業界。各企業が独自に人づくりを推進する中、IT産業の振興を目的とする情報処理推進機構(IPA)も、ソフトウエア関連分野でイノベーションを創出できる人材の発掘・育成事業に力を入れている。卵のうちから有望な技術者を育てて飛躍させる。そうした取り組みの広がりが、日本のIT全体を盛り上げることにつながる。(孝志勇輔)

昨秋、プログラミングの領域で一人の高校生が脚光を浴びた。林拓人さん。独学でプログラミング言語を学び、オープンソース(無償公開・利用改変自由)の「サイアン」「イエロー」という言語を独自に開発した“天才プログラマー”だ。国産の言語である「Ruby」の処理を高速化する取り組みでも実績を上げた。IPAはオープンソースソフト(OSS)の開発・普及に活躍したとして、林さんを「2009年度日本OSS奨励賞」に選定した。林さんは唯一、高校生での受賞となった。

IPAは独創性のあるアイデアや技術を持つ若手の開発者を対象に「未踏IT人材発掘・育成事業」を展開している。公募で採択された開発者が、大学教授や業界関係者のサポートを受けて、基本ソフト(OS)やブラウザーの開発に1年間取り組む。開発費などはIPAが負担する。同事業では25歳未満を対象にした“超若手”の枠も設けており「粗削りながら、潜在能力が高い人材を発掘して育成する」(IPA)ことを目指している。

未踏IT人材発掘・育成事業は00年に開始。採択者は1000人を超えた。グーグル(東京都渋谷区)に入社して新OS「クローム」に搭載予定の日本語入力システムの開発者や、ITベンチャー企業の起業家も輩出している。

高校生を含め、若手に広く門戸を開いて人材を育成する取り組みは、IT業界全体の技術力を底上げし、グローバル競争に勝てる力の源となりそうだ。

【日本OSS奨励賞受賞した高校生の林拓人さん】

日本OSS奨励賞を受賞した林拓人さんに、プログラミング言語開発の経緯などを聞いた。

―プログラミング言語に興味を持ったきっかけは。

「中学3年の時にプログラミング言語をつくるための本を読んで、コードの動作原理などを学び始めた。『習うより慣れよ』で本やインターネットを見ながら勉強した」

―開発した言語の一つ「サイアン」の特徴は。

「プログラミング言語の一つである『リスプ』のマクロ機能を持たせた。マクロ機能はコードの生成で重複する部分を抽象化するため、何回も同じコードを書く手間を省ける。高校1年で開発を始め、1年3カ月ぐらいかけて完成させた」

―プログラミング言語開発のおもしろさは。

「言語を設計することで、思考の制限の枠を取り払えると思う。開発した言語を用いてプログラミングできることは気持ちがいい。一方で、既存の言語との差別化の難しさを感じる」

―言語開発への展望、抱負を教えてください。

「『Java』と『Ruby』の“いいとこどり”の言語を開発したい。見た目の美しさも重視していく。いずれは仕事に結びつけたい」

[2010年02月08日]


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