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経営!一歩前へ!


日本で自殺者が多い理由

表の道徳、裏の道徳

イラク戦争で亡くなった米兵はおよそ3500人(2003年3月~2007年5月)。日本の年間の自殺者数は、戦時下のイラクを大きく上回ります。この現象には何か日本人特有の精神的な背景があるのでしょうか?

自殺大国、日本

日本で12年連続自殺者数が3万人を超え、2007年から3年連続で過去最高を更新しています。人口10万人当たりの自殺者で表される「自殺率」は25.5と、アメリカの2倍超となり、先進諸国の中でトップに位置しています。

日本より上位にいるのは、ベラルーシ、リトアニア、ロシア、カザフスタン、ハンガリーと、政情不安の続く東欧、旧ソ連諸国が並びます。

日本の数字は、「24時間以内に発見」「遺書がある」の2つを満たさなければ自殺と認定されないため、実数はもっと高いと見られています。

一方、お隣中国はというと、自殺率13.9(2009年)と日本の約半分。貧富の差、社会不安等を考えると、中国の方が高いと考えたほうが自然ですが、実際はその逆となっています。この数字に衝撃を受け、知人の中国人に、「なぜ中国は自殺者が日本よりも少ないのか」と直球をぶつけてみました。

日本で自殺者が多い理由はさまざまですが、どの中国人の答えにも共通していたのは、「日本には儒教しかない」というものでした。参考までに、私が話を聞いた中国人は、大学の中国文学科で知り合った人々であることを付け加えておきます。

さて、日本には儒教しかないことが自殺者が多い理由との指摘ですが、これには異論があるかも知れません。というのも、日本からはこの儒教的な良さが失われているとも言われているからです。この「儒教的なもの」が本家・中国よりも色濃く残っている韓国はどうでしょうか。

韓国の自殺率は21.1と、WTOの基準で非常に高いとされる20.0を越えています。こうしてみると、我が知人たちの指摘もあながち的外れではないような感じを受けます。

日本人と儒教

日本では、江戸時代に武士道と結びついて倫理規範として広く普及しました。特に朱子学は、自分の所属する共同体への義務を負うと唱えたため、幕藩体制の維持に都合が好く、幕府の後押しもあって更なる広がりを見せていったという歴史があります。

現代では、武士道の「主君に忠義を尽くす」ことが、「上司に忠義を尽くす」と変わっていき、良くも悪くも企業の終身雇用制度を支える基礎となったと考えます。

儒教は、政治や経済の成長期、安定期には重宝されますが、動乱期ともなると役に立たないとまでは言いませんが、その果たす役割は大きく低下します。今までの価値観が崩壊し、新たな価値観が必要とされるようになる時に、過去を肯定し、過去の慣習に従うやり方が通用しなくなるのは、ある意味必然ではないでしょうか。

高度成長期には上司、先輩の教えや指示を忠実に守ることで出世し、所得もアップしていきました。しかし、動乱期とも言える昨今はそれだけでは成り立ちません。幕末の黒船来航と同様、アメリカ的な成果主義が到来し、日本企業は何が正解なのかを見つけるためにもがいています。まさに、尊皇なのか佐幕なのか、攘夷なのか開国なのかで揺れた幕末が、藩を企業に変えて再び訪れたようなものです。

統計では現われませんが、幕末も多くの自殺者がいたのではないかと予想されます。最も、幕末はまだ武士道が人々の心に色濃く残り、精神を支えていたのに対し、現代は人々を支える思想そのものが希薄化している分、人々の精神的ストレスは大きいのではないかと思います。

混迷の時代をいかに生きるか

人生における答えが見つからない時、日本人は古来から外国に答えを求めてきました。儒教的な価値観が通用しない時、「日本には儒教しかないから」自殺者が多いと答えた中国人たちはどうしているのでしょうか。

その答えが、道教にあります。道教は、一部では宗教的なものとして見られてもいますが、その根源は民間信仰にあります。儒教が表の道徳とすれば、道教は裏の道徳として、紀元前の昔から、両者は表裏一体の関係にありました。

公では儒教的な、皇帝への忠義、私では老荘の世界に心を遊ばせることで、中国の人々は心の安定を図ってきたのです。また、儒教のモラルに疲れた時にも、ある種の精神安定剤として、老荘の教え、即ち道教を思い出したのです。

日本で自殺者が多い原因は、激変する環境と将来への不安などの困難な問題に直面し、心の健康を損なって心の病、特にうつ病になって自殺へと繋がっていったと分析されています。

うつ病になると、気分の落ち込みと共に、人生を楽しめなくなり、自分が価値のない存在で、周りの人に迷惑をかけているといった考えで頭がいっぱいとなり、自殺することが苦しみから逃れる唯一の解決策であると考えるようになってしまいます。

ちょうど、漢方医学が体質を改善し、西洋医学で治りにくい慢性病に効くように、道教、即ち老荘の教えも、疲れた心を癒してくれるに違いありません。

ただし、一つだけご注意を。我々日本人は、最大と最小の目盛だけの定規であると例えられるように、兎角極端に走りがちです。老荘思想は、行き過ぎると嫌世思想に繋がる危険性をはらんでいます。何事もバランスが肝心と心得て、老荘の世界に遊んでみてください。


掲載日:2011年5月 2日

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