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経営!一歩前へ!


日本はルール作りに取りかかったばかり

2010年は電子書籍元年なのか?!

iPadが発売されたことがきっかけとなり、にわかに電子書籍に注目が集まっている。しかし、騒いでいる割には右を見ても、左を見ても電子書籍は見あたらない。iPadが売れたといってもたかだか数十万台。出版社もほとんどのところが手探りの状態。ごく近い将来、電子書籍が普及することは間違いないであろうという予感だけはあるのだが、今後どうなるのか見えてこない。

じつは日本はすでに電子書籍大国

カラパゴスケータイ(ガラケー)ともいわれる日本の高機能な携帯電話をプラットホームする電子書籍なら、7年ほど前に登場している。爆発的に市場を拡大し、昨年の市場規模は500億円強。かなりの規模ではあるが、2兆円ほどといわれている一般書籍の市場規模に比較すれば、まだまだ小さい。

しかし、iPadの発売は、この一般書籍と電子書籍の市場の逆転......そんな大事件がここ数年内に迫っているのではないかと思わせるのに十分なインパクトがあった。

昨年2009年のクリスマスの頃、米Amazonでは、電子書籍の売り上げが一般書籍の売り上げを上回ったというニュースが駆けめぐって、iPadの発売がそのわずか5カ月後であったことも、出版関係の人々を少なからず慌てさせた理由になっているだろう。iPodの登場でCDの売り上げが激減したように、書店が次々つぶれていくのではないかと。

では、アメリカと同じことが、ここ1年、2年の間に日本でも起きる可能性があるかどうかだが、もう少し時間がかかるのではないかと思う。その根拠のひとつは日本語への対応が遅れていることだ。

日本語と独自の組版ルールの壁

電子書籍を制作する場合、その書籍が、小説、ノンフィクションなどの文字を主体とするものなのか、雑誌、新聞などのレイアウトをより重視するものかにより、扱いが異なる。

すでにいくつかの雑誌が実験的に電子書籍化されているが、それらはゲームなどと同じで、iPad、iPhone対応のアプリケーションとして制作されている。

小説、ノンフィクションなどについては、Amazon・Kindleでは、AZWという独自のフォーマットが使用されている。しかし、今後業界標準になると目されているのは、EPUBというオープンなフォーマットだ。iPad、iPhoneはすでに対応しており、Kindleも対応を表明している。

そのEPUBデータの中を覗いてみると、データ形式は、ほぼWebサイトと同じである。つまり、現在のEPUBによる電子書籍は、縦書き表示ができないなどのWebサイトと同様の制約を受けている。

また英語の場合、アルファベットといくつかの記号を表示できさえすれば、書籍としての体裁を整えることはできる。ところが、日本語では、数千以上の漢字、ひらがな、カタカナ、そしてアルファベットを自由に表示できなければならない。さらに、ふりがな(ルビ)、行頭・行末に来ることが許されない禁則文字、縦中横といわれる数字の処理等々の日本語独自の組版ルールがあり、これらを縦書き、横書きの両方でコントロールできなければならない。

2010年4月、電子書籍の日本語対応を目指して、日本電子出版協会は日本語要求仕様を、EPUBの標準化団体IDPFに提出した。つまり電子書籍のルール作りに取りかかったばかり、というのが日本の現状なのである。
日本電子出版協会:
http://www.jepa.or.jp/press_release/epub_jp_pressrelease.html
日本語組版処理の要件:
http://www.w3.org/TR/2008/WD-jlreq-20080411/ja/

現在、日本語の電子書籍として存在するのは、従来からあるPDF形式のデータとケータイ対応の電子書籍に、iPad、iPhone対応のアプリケーションがわずかに加わったところなのである。これで2010年は電子書籍元年と言うのはいかがなものだろうか。

ちなみに、著作権の切れた作品を公開している「青空文庫」では、独自の方法で日本語組版ルールに準拠した縦書き表示を実現している。ここの動向も今後の電子書籍を考える上で見逃せない。
青空文庫:http://www.aozora.gr.jp/


掲載日:2010年12月 6日

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