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経営!一歩前へ!


閉塞感を打開せよ

ミシェル・フーコーの予言とトレンチシンドローム

商売を取り巻く状況は厳しい。アメリカ大統領選挙でも権力の新しい局面を象徴する人物が選ばれた。かたや日本は "トレンチシンドローム"(塹壕症:ざんごうしょう)に陥っているように見える。

この閉塞感、何とかならないか?

街にもビジネスにも漂うのは、重苦しい空気ばかり。閉塞感、停滞感、不安感......。外国の企業と交渉をしていても、たいていどの国の担当者の挨拶にも "最近景気が悪いから"というから、この空気は世界中の街に漂っているのかと思ってしまう。これはもう、制度という見えざる手によるある種の抑圧と言いたくなる。きっとバラク・オバマはこれと戦うために登場したのだろう。本当は自国の総理大臣がその先頭に立ってくれれば誇らしいが、それを期待することもできない我が国はますます暗鬱な気分になる。

フランスを代表する思想家であるミシェル・フーコーが1976年に書いた、『性の歴史I 知への意志』という書物に現代を生きる我々にとって示唆に富んだ記述が多々ある。本文はネット記事としては若干読み難いかもしれないので、訳者である渡辺守章氏のあとがきから以下、引用する。

・・・以下引用
「死による権力」つまり古き君主制の「生殺与奪の権」の延長のような権力の陰惨な顔立ちが見えていないわけではない。しかしフーコーはそれを百も承知の上で、実は近代以降の「権力」とは、「生に対する権力」として作動するもの、フランス語では<corps social>{社会体}と言う「社会構成員の総体」の「身体」(corps)を配慮と関心の対象とし、つまりそれを引き受け、それから最大限の効益を引き出そうとする、極めて高度な「経済観念に貫かれた」行政・管理機関としての権力であり、そのようにして「権力論」を立て直さない限りは、単なる「抑圧の解放」といった小児病的ユートピア思想の繰り返しに終わると考えたのである。
・・・以上引用

"極めて高度な「経済観念に貫かれた」行政・管理機関としての権力"とあることこそが、まさにいま求められていることではないだろうか。これを目指すことは本当の改革であり、かつての定額給付金などの「改革」は"単なる「抑圧の解放」といった小児病的ユートピア思想の繰り返し"ではなかろうか。

トレンチシンドローム

あまりに根深いこの暗鬱な雰囲気が続くと、さまざまな弊害が出てくるのではと思うのは、戦場によい教訓があるからだ。それは、"トレンチシンドローム"(塹壕症)と呼ばれる症状である。銃砲弾の飛び交う戦場において、銃砲撃下の兵士は遮蔽物に隠れ、地面に塹壕を掘って戦況打開のチャンスをうかがう。

しかし、いったん塹壕のなかに入ってしまうと、居心地がよくなってしまうという。敵弾に直撃されにくいその場が居心地よくなり、塹壕から出て周辺偵察をしなくなることがある。周囲の状況を確認しに塹壕から出なくては、戦況が悪化していることを推測はできてもきちんとした現実を直視しなくなる。

先行き不安や、もはや普通化してしまったリストラ、大型倒産など"見たくない""考えたくない"現実が続き、現実逃避が続くと、塹壕にこもって居心地がよくなるトレンチシンドローム症状になってしまうのではないだろうか。

まだまだ日本人は優秀であると自国に誇りを持つことはよいのだが、これが現実逃避ではまずい。トレンチシンドロームに陥った兵士は敵が迫っている可能性が高いという現実から逃避してしまい、自分が包囲されていても状況を把握できず、現実逃避のまま最悪の事態を迎えることになる。

「この不景気な時代には積極的に打って出るのは賢くない」と思っている人も少なくないのではないか。リスクを冒して起業して夢や野望を狙うよりも、まったりと現状維持の人生を選ぶ人が増えている。これは、最前線の兵士に当てはめれば戦意喪失した弱兵だ。ただ待っているだけで良くなるほど今の世界情勢は甘くない。世界同時不況なのだから援軍が来る見込みもない。

だが、この状態を打開する方法はないわけではない。単刀直入ではあるが、リスクを取って塹壕から飛び出していく勇敢な兵士と、飛び出した兵士に援護射撃や弾薬等の補給くらいはしてあげられる味方がいれば状況が変わる可能性はある。

戦意の高い企業が可能性のある事業に打って出た場合も同様。行動を起こして失敗した者を問題児扱いして潰している場合ではないのではないか? 飛び出した戦友が負傷したら救出したほうがいい。飛び出した者だけが得られた大事な情報や知恵やノウハウを持っているかもしれないからだ。

もちろん救出に行くにもリスクは伴う。企業には従業員がいるから経営者は大変な決断を強いられる。しかし、「自分だけは安全でいたい」と穴の中に閉じこもっていると、敵は我がほうの塹壕ごと爆破する爆薬を仕掛けているかもしれない。

世界同時不況のいま、民間の戦意のある企業力だけでは抗しきれない。ミシェル・フーコーが43年前に指摘した"極めて高度な「経済観念に貫かれた」行政・管理機関としての権力"が必要だ。アメリカ国民が権力者にそれを求めたゆえに、バラク・オバマは勝利したのではないだろうか?


掲載日:2010年10月25日

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