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経営!一歩前へ!


何のために働いているのか

犬と私の10の約束

会社における経営者と社員、もしくは社員同士の結びつきは、会社の業績向上のためだけにあるのではない。社員それぞれにつながる家族の幸せのためにも存在する。飼い犬と家族の心の交流がそれを教えてくれる。

心打つ「10の約束」

みなさんは、ご家庭でペットを飼われていますか? 最近、書店へ行くと愛らしい犬や猫との生活を綴ったエッセイや小説の本をよく見かけます。そのなかでは、ペットとともに生活することで得られる癒しや心の潤いがこもごもに語られているようです。

こうした「ペット本」の中で私の目が引かれたものに、川口晴さんが書かれた『犬と私の10の約束』(文藝春秋社刊)があります。たいそう人気があるようで、映画化されてもいます。

小樽で暮らす大学病院勤務の医師である父と元看護師の母をもつ少女が、片足の先が靴下をはいたように白いゴールデンレトリバーの子犬「ソックス」と出会い、犬とともに生活しながら母との死別、ギタリストをめざす少年との恋、「仕事人間」である父との確執を通じて成長していくというストーリーです。この中で物語をまとめるキーワードとしての「10の約束」がなんとも味わい深いものです。

これは、子犬を飼いたいと述べた娘に病床の母が語ったもので、つぎのとおりです。

(1)私と気長につきあってください。
  (2)私を信じてください。それだけで私は幸せです。
  (3)私にも心があることを忘れないでください。
  (4)言うことをきかないときは理由があります。
  (5)私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
  (6)私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。
  (7)私が年を取っても仲良くしてください。
  (8) 私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
  (9)あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
  (10)私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

本当の家族とは?

物語のなかで、「人は出会いを選べるけれども、犬は人との出会いを選べない。それは運命だ」との意味のことが何度か語られます。成長の過程で時に母から語られた「約束」を忘れながらも、折々、いろんな事件が起きるたびに少女はここに立ち返り、思いをあらたにしていきます。

転機は母の癌死です。そこから、「仕事人間」の父との確執が始まりますが、ソックスは少女や時には後にパートナーとなる青年の挫折からの立ち直りを助け、癒しながら真の家族といえるまでの存在になっていきます。

最終的には、仕事と家族の存在との矛盾を来すまでになった自らの道を見直した父が開業医に転職し、少女も青年も新たな道を見つけ歩んでいきます。そのなかで迎えるソックスの死。

「犬は人との出会いを選べない」という言葉は、そのまま「家族同士は出会いを選べない」と置き換えられると思うのです。ソックスは、少女の成長の節目に関わるなかで、本当の家族になりました。

家族それぞれの生き方、仕事などをペットの存在と関わりのなかで見事に織りなして物語が構成されています。仕事や生き方は、それぞれの人の選択が可能でしょう。しかし、家族は選べない。そうしたことの意味を、ソックスという犬が介在することでより浮き彫りにされているように思います。

家族とは、その運命的な出会いを受け入れ、互いにいたわり思いやりをもちながら、幸せを作り上げていく共同体なのです。ソックスは、それを少女の家族との出会いからごく自然に営みのあり方として示しています。本当の家族のあり方に沿った生き方です。

仕事と家族―「みんなの幸せ」こそ、会社と仕事の目的

こうしたことを考えたとき、いま、この場に集っている私たちは何のために働いているのかということに思いが行かざるを得ません。少なくとも、究極的には「会社のため」に、滅私奉公するのが仕事の本質ではないと思うのです。

私たちが仕事を営んでいくために会社をつくり、そこに集って共に働くのは、狭くは社員みんなの幸せ、ひいては社員の家族全体の幸せを追求するためではないでしょうか。もちろん、企業は社会の経済的・生産的営みの一部を担うもので、運営と取引を通じて社会全体に貢献することが求められます。そこでは、最近、よくいわれる企業活動の原則である「Win-Win」(ウィン―ウィン)の関係、ともに利益を得るということが貫かれることが理想といわれます。

しかし、この「Win-Win」の関係は会社のなかの経営者と社員のみなさんの間、あるいは社員相互間にも貫かれなければならないと考えます。その基礎にあるのが、お互い同士の家族ぐるみの幸せです。社員のみなさんのご家族の幸せづくりに役立たない会社に、いかなる価値があるのか? 人の幸せを追求し、共に力を合わせていくのが、人間がつくる会社という場の役割でしょう。

『犬と私の10の約束』のなかで浮き彫りになった、家族の幸せの問題。会社が歩む道は、いつも平坦ではなく、社員のみなさんと経営陣が時には無理をしながら乗り越えなくてはならない問題もあると思いますが、いかなる時も私たちはお互いの家族の幸せを忘れてはなりません。家族こそ、働く私たちに癒しと温もりを与えてくれるのです。ペットと生活されている方は、ペットをも含めた家族ですね。

困難にぶつかった時にこそ、私たちは家族のことを思い起こし、語り合いたいものです。みなさんも、機会があったらこの心温まる物語をひもといてみてください。


掲載日:2010年5月24日

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