本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > ニュースを見る > 経営!一歩前へ!

経営!一歩前へ!


文豪ユゴーの教え

陰の人に光を当てよ――そこから人が勝つための組織が生まれる

かつて安倍晋三内閣が初めて発足したときの人事は、総裁選時の論功行賞とマスコミから揶揄された。19世紀を代表するフランスの文豪・ヴィクトル・ユゴーの名作『九十三年』に賞罰、すなわち論功行賞を明らかにした有名なシーンがでてくる。

叙勲と銃殺をあわせて行なう「九十三年」

ここでいう93年とは、フランス革命真っ只中の1793年当時をさす。世でいう「恐怖政治」の幕開けの年であり、ルイ16世が処刑され、ロベスピエールらによる権力闘争の過熱する時代だ。「九十三年」は、フランス西部のヴァンデ地方で起きた王党派による反革命の火の手に対し、討伐のために派遣された共和国軍(=革命軍)との戦いを中心に描いたユゴー晩年の代表作だ。

その事故は王党派に属する戦艦、クレイモア号の船上で起きた。砲手のミスでつなぎとめていたロープがほどけ、重く巨大な大砲が船上を暴走しはじめたのである。波に翻弄され揺れ動くクレイモア号につられ、大砲は右に左に動き、止めようとする人間をも蹂躙する。逃げ切れずに重傷を負った者がそこかしこに倒れ、まさに大惨事となった。

つなぎとめたロープから放たれた大砲は船上を暴走しはじめる(写真と本文は関係ありません)

そこへひとりの水兵が棒を片手に大砲の前に立ちはだかる。水兵はわが身をかえりみず凶暴な牙をむく大砲の車輪に棒を差し込み、その動きを止めた。その水兵とは自らのミスにより、大砲の暴走を許した砲手であった。

船上にいた司令官・ライトナック公爵は、その水兵の勇気を称え、艦長の胸にあったサン・ルイ十字勲章を取りはずし、それを砲手の水兵服につけてやった。誰もが勇気を賞賛していたときに、公爵は砲手を指さして、こう言い放つ。「さあ、この男を銃殺しろ」歓呼の声はぴたりと止み、驚いた人々は静まりかえってしまう。

結局砲手は銃殺をされてしまうのだが、論功行賞を考えるうえで興味深いシーンだ。暴走する大砲を身を挺して防いだ功は彰しながらも、何人もの重傷者を出す暴走を許したミスは免れない。名誉の叙勲と処罰の銃殺があわせて行なわれたのだ。その峻厳さには襟を正さずにはいられない。

どんなに陰にいようとも現実に仕事を進めた人に光を当て、心から讃える。逆に、一瞬の気のゆるみであろうと周囲に迷惑を働く人間は、峻厳に正していく。この毅然たる姿勢を貫いてこそ、人を守り、人が勝つための組織となっていくのである。

三者三様の生き方と未来

あわせてユゴーの言葉を紹介しておきたい。ユゴーは時の権力者ナポレオン3世の政治に反対し、19年間も国外亡命を余儀なくされる。彼はいう。
 「人生には、さまざまな苦難がある。どんな人も、何らかの苦難がある。その苦難に対して、あきらめるか、傍観するか、飛び込んでいくか。このことによって未来は大きく変わる」

何かあると、すぐに、“できない”“私には力がない”とあきらめる人。その人にとって、未来は「不可能」でしかない。何ひとつ素晴らしいものを生めず、幸福もない。次に手をこまねいて何もせず、“私は知らない”“私には関係ない”と傍観する人。その人にとって未来は、いつまでもわからないままである。

最後に、絶対に負けないと苦難に飛び込む人がいる。ユゴーは、その人こそ「哲人」であり「勇者」であるといい、その人の未来は、「理想」として現われると論じている。この三者三様の生き方、そして三者三様の未来。自らの心ひとつで、行動いかんで、未来は変わっていく。文豪ユゴーは、後生の私たちにそう教えてくれる。


掲載日:2009年9月14日

前の記事次の記事


Copyright (c) Venture Link Co., All Right Reserved.

このページの先頭へ