本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > ニュースを見る > 経営!一歩前へ!

経営!一歩前へ!


最も普遍的な人心掌握法

愛が原点になった大庄の独立制度

居酒屋「庄や」などを展開する大庄の独立制度は、外食業界では広く知られている。その原点は、板前がなかなか定着せずに苦労を重ねたことだった。創業者の平辰社長は宗教哲学書を読みあさって、ある普遍の原理に行き着いた――。

従業員が会社に尽くすという心境

つい見返りを求めてしまうのが愛だが、本来、愛をそそぐことは無償の行為である。と書くと、思わず照れ笑いしたくなってしまうが、人は皆それぞれの立場で何かしら愛を実践している。愛を実感できればコミュニケーションの方法が不器用でも、大方、良好な人間関係を築ける。

あるエンジニアリング会社のオーナーは断言する。「経営者と従業員が親分・子分の関係になったら、その会社は強いですよ。業績が悪化して少々給料を下げたって、経営者との絆から彼らは辞めませんから」。また経営者の愛を感じれば、従業員には会社に尽くすという心境が芽生えるものだ。

愛をそそぐという普遍的な行為の前で、これにまさる人心掌握法はないだろう。「庄や」「日本海庄や」「やるき茶屋」などをチェーン展開する東証一部上場の大庄も、愛が創業の原点だった。創業社長の平辰氏が焼き鳥店「朱鷺」(とき)を東京都大田区にオープンしたのは28歳のとき。1968年のことだ。その3年後、「庄や」の前身となる居酒屋「太平山酒蔵」をオープン。店は繁盛したが、しかし――。

混雑時に調理を急ぐように指示すると「手は2本しかないんだから」。さらに催促すると「帰らせてもらいます」。調理師会から派遣されていた板前たちの心は店よりも調理師会に向いていて、なかなか定着しなかった。困惑した平氏はひとりひとりと面談し、将来どうしたいのかを聞き出した。

宗派に関係ない普遍の原理

回答は皆同じだった。独立して店をもちたいという。だが、それなら経営を覚えなければと諭しても、皆聞く耳をもたなかった。悩みに悩んだ平氏は宗教哲学書を次々に読みあさった結果、宗派に関係なく共通した不変の行為に行き着いたのだった。それは、愛である。それも見返りを求めない無償の愛。板前に対する愛とは何か。

平氏は『庄や』4号店がオープンしたとき、4人の店長を呼んで、独立の支援を宣言した。独立したいのなら独立させてあげよう。独立の支援が板前への愛と気づいた平氏は、保証人となって借り入れを支え、4人目が独立したときには、独立の気運が盛り上がったという。愛が実ったのだった。

しかし独立する社員が続くとなると、保証人になってあげるには限界がある。そこで独立した元社員たちが20万円ずつ出資して協同組合を設立、商工中金から融資を受けられるように計らった。これが、いまに続く大庄の「独立制度」の原点である。

現在この制度の適用対象は、勤続5年以上で店長か料理長を3年以上経験して、開店費用の10%を自己負担できること。この条件を満たせば、上限5000万円を無担保で融資するという内容だ。すでに130名以上が活用して独立を果たしている。

創業期には賃金も職場環境も満足した水準にはなりえない。経営者は、しかし、リーダーシップを発揮して創業メンバーたちを率いていかなければ軌道に乗れない。ことのほか人心掌握が問われてくる。この時期、何よりもモノをいうのはメンバーたちへの愛であろう。もちろん事業規模が拡大しても、この原理は変わらない。計略に走らず、純粋に想われれば想い返すのが、人間の情なのである。


掲載日:2008年10月 6日

前の記事次の記事


Copyright (c) Venture Link Co., All Right Reserved.

このページの先頭へ