経営者が抱える様々な悩みを診断士・中小タスクがズバッと解決します。

第10回:海外での知財保護編 経営のお悩みスバッと解決 中小タスクが行く!

第10回

海外知的財産権を守りたい!
商品をパクられないために、やっておくべきことは?

経営者なら押さえておきたい「知的財産権制度」

“自社製品やサービスを開発して売っていきたい”

そう思ったときに必ず意識しておく必要があるのが、「知的財産権」というキーワードです。

「知的財産」とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などのうち、財産的価値を有するもののこと。そして、知的財産について法律で定めた権利、または知的財産から生み出される法律上保護される利益に係る権利が「知的財産権」です。

この知的財産権の中でも、

  • 「特許権」(発明を保護)
  • 「実用新案権」(物品の形状等の考案を保護)
  • 「意匠権」(物品のデザインを保護)
  • 「商標権」(商品・サービスに使用するマークを保護)

の4つは「産業財産権」と呼ばれ、いずれも特許庁が所管しています。

産業財産権の種類 】

例えば自分が最初に考えたと思っていた商品のネーミングでも、他人に先に商標登録されれば、使用できないこともあります。 同時に、自分が考案したネーミングやアイデアなどを他人に使われないようにするため、特許庁に対して権利取得(登録)の手続きを取ることができます。登録があれば、権利を脅かすような行為に対して、販売の差止めを求めたり、損害が発生していれば、賠償を求めたりすることができるのです。

知的財産権の種類 】

出典:特許庁「知的財産権について」より編集・加工

海外展開を望むなら、模倣品被害の現状を知ろう

近年は、グローバル展開を視野に入れている中小企業や小規模事業者も少なくないでしょう。もし御社が海外展開を考えているのであれば、この産業財産権の保護がとても重要です!特許庁が行った2018年度の「模倣被害実態調査」では、産業財産権を保有する企業のうち、2017年度に「模倣品被害があった」と答えた企業数は11,643社、全体の7.0%に上りました。また、「不明」と答えた企業が全体の28.8。これは「模倣品被害があるか分からない」「把握していない」企業なので、実際の模倣品被害はさらに多いと思われます。

【 模倣被害社数の割合 】

出典:特許庁「2018年度模倣被害実態調査」より編集・加工

さらに、同調査による模倣品の「製造国(地域)」、「経由国(地域)」「販売国(地域)」を見てみると、以下のグラフのようになります。

【 国・地域別の模倣被害状況 】

出典:特許庁「2018年度模倣被害実態調査報告書」より編集・加工

注1)「欧州その他」とは、トルコを除いた欧州諸国を示す。

もし仮に御社が苦労して作り上げた製品やサービスが海外で模倣されたら、対策としては、産業財産権に基づいて販売差止めを求めるなどの法的措置を取ることが考えられます。ただし、法的措置を取るためには、事前に海外で産業財産権を取得しておく必要があるのです。

産業財産権のうち「特許権」「実用新案権」を、海外の国々に一括出願できる条約が、このあとのマンガでご紹介するPCT(Patent Cooperation Treaty)「特許協力条約」です!

※海外の国々......この場合は、PCT加盟国を指す

PCT出願を行うなら、安全なのはどっち?

今回のマンガでは、産業財産権のうち「特許権」「実用新案権」を加盟国に一括出願できる特許国際協力条約(PCT)についてご説明しました。

ちなみに、PCTに基づいて海外へ一括出願をする場合、

  • ①日本国内で先に出願するパターン
  • ②日本国内と海外へ同時に出願するパターン

の2つに分けられます。

【 特許権・実用新案権を海外へ一括出願する2パターン 】

注意すべきは、PCT出願だけでは、特許権・実用新案権を取得することはできないということ。国際出願した発明や考案が、それぞれの国で特許として認められるかどうかは、最終的には各国特許庁の審査に委ねられます。そのため、PCT出願後、最終的には、取得を希望する条約加盟国の国内手続きへ移行して、その国の特許庁の審査を通過する必要があるのです。

このとき、②日本国内と海外へ同時に出願するパターンを選んだ場合は、実際に特許等を取得したい指定国への移行までに18ヶ月の猶予しかありません。

一方で、①日本国内で先に出願するパターンを選ぶと、指定国への移行までに30ヶ月あります。つまり、商品・サービスに対するニーズが見込まれ、特許を取得すべき国がどこなのか、見極めに使える期間が長くなるのです。移行する国が多いほど費用がかかるので、資金力が弱い中小企業・小規模事業者にとっては、「日本国内で先に出願するパターン」を選ぶことが安全策と言えるでしょう。

知的財産権保護のための支援策を活用しよう

とはいえ、産業財産権はそれぞれの国で取得する必要があるため、中小企業にとっては大きな負担となります。
以下のような行政の支援をうまく活用して、費用対効果の高い戦略的な出願を行いましょう!

(1)特許料の免税制度

中小企業等に対して、特許料(審査請求費用、特許料)の減額措置が講じられています。
特許料の減免制度<特許庁>のページへ
※内容は年度によって変更があるので、最新情報をご確認ください。

(2)国際出願手数料の減免制度

中小企業等に対して、国際出願に係る手数料の減免措置が講じられています。
国際出願に係る手数料の軽減措置の申請手続(2019年4月1日以降に国際出願をする場合)<特許庁>のページへ
※内容は年度によって変更があるので、最新情報をご確認ください。

(3)知財総合支援窓口

アイデア段階から事業展開までの、知財に関する相談をワンストップで受け付ける相談窓口。全国47都道府県に設置されています。相談窓口には知財支援担当者が常駐している他、弁理士や弁護士などの専門家にも相談できます(専門家はスケジュール確認必要)。相談は無料。
全国の知財総合支援窓口<INPIT知財総合支援窓口>のページへ

(4)よろず支援拠点

全国に設置している無料の経営相談所。知的財産権に関する相談も受け付けています。
全国のよろず支援拠点一覧<よろず支援拠点全国本部(中小機構)>のページへ

(5)戦略的知財活用海外展開補助金(令和元年度)

特許協力条約(PCT)に基づく国際出願を活用した海外での事業展開を計画している中小企業に対し、3年間にわたり、専門家がチームで伴走型のコンサルティング支援を行うとともに、外国特許出願や海外現地調査などに係る費用の一部を補助します。
特許を活用した海外展開支援<中小機構>のページへ