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大学編

NO.143
1.2 繊維製造 1.2.2 バイオファイバー
研究者名 山根 秀樹
所属 京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター 助教授
研究テーマ バイオマス由来高分子の繊維化・フィルム化

1. 微生物産生ポリエステルの繊維化

微生物産生ポリエステル(PHA)は、バイオマス由来の有機物をある種の微生物に与えることにより得られる脂肪族ポリエステルである。このPHAは、再生産可能資源由来で、微生物による省エネルギー的方法により合成されるだけでなく、酵素分解性、生体適合性を示す物質であるため、医療用材料、環境対応材料として実用化が期待されている。従来、堅くて脆く成形加工が非常に困難とされてきたが、本研究室ではモノ・マルチフィラメント化、フィルム化に成功している。



PHAの繊維化(文献1)

PHAの繊維化

PHAはガラス転移温度が室温以下にあり、また、結晶化速度が極めて低いため、溶融紡糸された直後は融体である。繊維は室温で徐々に粗大な球晶を形成し、もろくなるため延伸が困難であった。従来は、これを解決するため、核剤の添加、紡糸ラインの加熱により繊維化がなされてきた。

本研究室では、PHA溶融紡糸ラインをガラス転移温度以に急冷し、直ちにガラス転移温度直上で延伸することにより、配向した非晶繊維を得、さらに高温度で延伸することにより、優れた力学的性質を示すPHA繊維を得ている。繊維の結晶化度、力学的性質は第二段階の延伸温度と共に向上し、強度300MPa、弾性率2.75GPaを示した。本紡糸条件では、非晶状態での分子配向が達成された後に、高温での延伸でさらなる分子配向と結晶化がなされる。繊維の高次構造について検討した結果、一般的なPHAの結晶構造である2/1ヘリックスのα晶と高度な配向状態でのみ発現するプラナージグザグタイプのβ晶が混在しており、後者の分率の増大と共に力学的性質が向上することが分かった。



PHAのフィルム化(文献2)

PHAのフィルム化

加熱成形されたPHAフィルムは、徐々に粗大な球晶を形成するため、延伸が困難であり力学的性質の向上が達成されていなかった。

本研究室では、粗大球晶からなるPHA圧縮成形フィルムに低倍率のロール延伸(〜2倍)を施すことにより球晶を変形させると、フィルムの延伸性が著しく向上することを見出している。ロール延伸したPHAフィルムに対して10倍以上の延伸を施すことが可能であり、強度180MPa、弾性率1.4GPa、破壊伸び35%の強くしなやかなPHAフィルムの成形に成功している。フィルムの高次構造を調べた結果、フィルムの延伸方向に配向した2/1ヘリックスタイプのα晶、プラナージグザグタイプのβ晶以外に、フィルム面に垂直に配向したα晶が混在しており、単純な一軸配向性の構造ではないことが明らかとなっている。現在、PHA二軸延伸フィルムについて検討中である。



2. ポリ乳酸の高性能繊維化

ポリ乳酸は、再生可能資源由来の高分子として最も期待されている材料の一つである。ポリ乳酸の耐熱性向上策として、ナノフィラーの混在により結晶化を向上させ、熱湯に耐えるポリ乳酸容器が開発されている。しかしながら、アパレル繊維としてはこの程度の耐熱性では不十分であり、アイロンがけや高温での染色には耐えられない。我々は、ポリ(L乳酸)(PLLA)とポリ(D乳酸)(PDLA)の等量混合物に発現する高融点のステレオコンプレックスを主な構成要素とする、高耐熱性ポリ乳酸繊維の開発に取り組んでいる。



ステレオコンプレックスタイプ高耐熱性ポリ乳酸繊維の開発(文献3)

PLLAとPDLAとの等量混合物の溶融紡糸により非晶性繊維を得、種々の温度(60, 90, 120oC)で延伸を施したところ、60℃で延伸した繊維は配向した非晶状態、90℃では配向したステレオコンプレックスとPLLAまたはPDLAのホモ結晶、120℃では配向度と結晶化度の低いステレオコンプレックスの繊維となった。これらをさらにホモ結晶の融点以上である190℃で延伸したところ、60℃で延伸した繊維は配向したステレオコンプレックスからなる繊維となったが、90℃延伸繊維では配向度は高いものの、ステレオコンプレックスとホモ結晶とが混在していた。また、120℃延伸繊維はステレオコンプレックスのみが広角X線回折で観察されたが、配高度と結晶化度は低かった。繊維の力学的性質は第1延伸工程を60℃と90℃で行なった場合は優れていたが、120℃で延伸した場合は劣っていた。60℃で延伸した繊維はステレオコンプレックスを主要な構成要素としており、200℃程度までの耐熱性を示した。



3. ポリ(D-乳酸)添加によるポリ(L-乳酸)の結晶化挙動と溶融レオロジー特性の変化 (文献4,5)

4. 酵素合成アミロース溶液のレオロジー的性質とアミロース繊維の開発(文献6,7)



文献

  1. Higher order structures and mechanical properties of bacterial homo poly(3-hydroxybutyrate) melt spun fibers prepared by cold-drawing and annealing processes, Yukiko Furuhashi, Yoshitaka Imamura, Youhei Jikihara and Hideki Yamane, Polymer, 45, 5703-5717 (2004)
  2. . Mechanical Properties and Higher Order Structures of the Bacterial Polyester Highly Oriented Films, Jae-Chang Lee, Yukiko Furuhashi, Yutaka Kawahara, Hideki Yamane, Sen’i Gakkaishi (in press)
  3. Higher-order structure and Mechanical Properties of Stereocomplex-Type Poly(lactic acid) Fibers, Yukiko Furuhashi, Hideki Yamane, Naoko Yoshie, Yoshiharu Kimura, Polymer, Vol.47(16), 5965-5972 (2006)
  4. Effect of the Addition of Poly(D-lactic acid) on the Thermal Properties and the Crystallization Behavior of Poly(L-lactic acid), Hideki Yamane and Kosuke Sasai, Polymer, Vol.44, 2569-2575 (2003)
  5. Poly(D-lactic acid) as a Rheological Modifier of Poly(L-lactic acid):Shear and biaxial extensional flow behavior, Hideki Yamane, Kosuke Sasai, Masayuki Takano and Masaoki Takahashi, J. Rheol. 48(3), 599-609 (2004)
  6. Rheological Properties of Enzymatically Synthesized Amylose Concentrated Solutions, Hideki Yamane, Hideto Morishita, Masashi Kitagawa,Takeshi Takaha, Michihiro Sunako, Jun-ichi Takahara, J. Soc. Rheol., Japan, Vol.33, No.4, 167-172 (2005)
  7. 酵素合成アミロースの繊維化,森下豪人、砂子道弘、高原 純一、鷹羽武史、山根秀樹,繊維学会誌、Vol.61, No.10, 261-266 (2005)
キーワード 高分子構造・物性(含繊維)