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公設研究機関編

NO.502
機関名 独立行政法人 理化学研究所 中央研究所
研究テーマ分類 1.2 繊維製造 1.2.2 バイオファイバー
研究者名 高分子化学研究室 副主任研究員 岩田 忠久
概要(文献)

再生可能な天然資源から作られるバイオベースポリマー(ポリエステル、多糖類、ポリアミノ酸など)と環境中の微生物の力により分解される生分解ポリマーから、高性能な高分子材料を創出するための基礎研究を行っている。バイオポリエステルの高性能化技術の開発、バイオベースポリマーの高次構造解析と機能予測、生分解性制御技術の開発、高分子加水分解酵素の構造解析と新規酵素の開発を推進している。また、酵素タンパク質構造解析に加え、高分子材料の成形過程におけるミリ秒オーダーの構造変化やナノオーダーの構造解析などに大型放射光を用い、新たな高分子科学研究分野の創出を目的としている。



1.バイオベースポリマーのナノ構造制御による高性能化技術の開発

再生可能資源から生産されるバイオベースポリマーの高強度繊維やフィルムの高次構造や分子鎖局在構造を、大型放射光のマイクロビーム回折や三次元トモグラフィーの手法を用いて分子レベルで解析している。得られた結果をもとに、新規な延伸方法などの成型加工技術を開発すると共に、ナノオーダーの構造を制御した様々な高性能材料の創製を目的としている。



具体例

ポリヒドロキシアルカン酸(P(3HB))繊維の高強度化

遺伝子組み換え大腸菌により生合性した超高分子量P(3HB)繊維に、冷延伸、二段階延伸を施すことによりP(3HB)高強度繊維の作成を可能にした。超高分子量P(3HB)の溶融紡糸繊維をガラス転移温度以下に急冷することで、結晶化を抑制し、非晶質状態の繊維を作成し、これを氷水浴中で冷延伸し、さらに室温で二段階延伸することにより破壊強度1.3GPaの高強度繊維の作成に成功した。



2.バイオベースポリマーの結晶構造と表面構造

高分子材料の物性および生分解性は、化学構造、結晶構造、表面構造に大きく依存している。高分子は、単一のラメラ結晶である単結晶からシシカバブ構造や、ふさ状ミセル構造を含むフィブリル状結晶など様々な結晶形態をとる。本研究では、糖や植物油などの再生可能資源から合成されるバイオベースポリマーの結晶構造、表面構造および分子鎖構造をX線回折、電子回折、原子間力顕微鏡、コンピュータによるエネルギー計算の手法を用いて解析している。



3.生合成・分解酵素の構造と機能相関及び高機能化

バイオポリエステルは生合成系酵素によって合成され、また分解酵素によって分解される。バイオポリエステルの構造はそれらの酵素の機能と密接に関わっており、酵素の機能を変換することにより新規なバイオポリエステルをデザインすることが可能である。そのためには、酵素の作用メカニズムを原子レベルで明らかにすることが必要である。本研究では、優れた性能と特異な機能を持つバイオポリエステルの次世代型生産および分解システムの開発に向けて、生合成および分解に関わるタンパク質酵素の立体構造を解明し、酵素の機能変換技術の基盤を確立することを目的としている。



4.高分子材料と分解酵素との相互作用評価

生分解性高分子の酵素分解は、基質である材料表面への分解酵素の吸着、次いで分子鎖の加水分解と二段階で進行する固液界面での反応である。本研究では、生分解性高分子材料の分解速度を吸着段階から制御する手法を確立するため、原子間力顕微鏡などにより酵素の高次構造を視覚的に解析するとともに、材料表面における酵素の吸着機構を解明することを目的としている。



5.生分解性制御技術の開発


生分解性高分子材料の環境分解性および酵素分解性は、高分子の化学構造、分子鎖構造、固体構造によって支配されている。本研究では、生分解性に及ぼす構造因子の解明と目的に応じた生分解性速度を有する高性能材料の分子設計および材料設計を目的としている。図のように化学構造が同じでも、らせん構造や平面ジグザグ構造などの分子鎖構造により、酵素分解性速度が異なることを見出した。

キーワード バイオベースポリマー、構造解析、高強度化、生分解挙動