J-Net21レポート

06.中小企業を支える「人づくり」 中小企業大学校

さて、第1回、第2回と、東京校で開催されている後継者育成コースを中心に大学校の研修事業を見てきましたが、もちろん、大学校の研修の内容はこれだけにとどまりません。分野ももっと幅広く、地域も全国にわたって展開されています。今回は、そんな大学校の研修事業の全体についてご紹介いたします。

 

地域を重視 全国同じレベルの研修

まず、中小企業大学校といえば、全国で広く展開されているというのが、その特長の一つ。ビジネススキルの向上など、企業向けの研修は、さまざまな内容のものが、それこそいろんな機関で幅広く実施されていますが、どうしても開催は首都圏に偏りがち。地域では、受講したいと思っても開講しているところがない、あるいは、遠くて通えないといった声がきかれることがよくあります。

でも、中小企業大学校なら、全国9ヶ所に研修機関が設置されているので、地域のそうしたニーズにも対応できます。しかも、どんな地域にいても、全国同じレベルで、同じ研修内容を学ぶことができます。研修のクオリティが均質であるというのも、受講の上での重要なポイントです。

中小企業大学校・東京校

中小企業大学校・東京校

もちろん、だからといって、地域の特性がないかといえば、まったく逆で、地域特性を重視しながら、かつ、全国同一レベルの研修内容を展開できるというのが、大学校の強みでもあるのです。

具体的に、地域特性を重視している点とはどういうことなのか。例えば、地域には必ず特有の習慣、文化などがあります。企業の経営においては共通とされる課題も、こうした地域の習慣、文化の影響から、問題が複雑になっている場合などがあります。大学校の研修の基本は、さまざまなことを自社企業に照らして把握する、自社企業分析を中心としていますが、このとき、その地域の経営環境も射程に入れて分析するので、研修の内容が、その地域での課題に対応した形で非常に役に立ちます。確かに、学ぶべき経営の基本論理は同じなのですが、それが、地域の環境特性などを踏まえながら、学び、分析できるという点が、大学校の研修の大きな特長なのです。

関連情報

「中小企業大学校」の詳細については、こちらをご覧ください。
人材支援(中小機構)



旭川校

仙台校

三条校

東京校

瀬戸校

関西校

広島校

直方校

人吉校

基本から最新まで ニーズに応じた多彩な研修

では、どんな研修が実施されているのでしょうか。

大学校では、中小企業向けの研修、商工会・商工会議所などの支援機関向けの研修、そして中小企業診断士養成コースの、主に3つのコースがあり、なかでも、今回、ご紹介している中小企業向けの研修では、特に、経営幹部や管理者の育成に力を入れています。

経営後継者研修は10ヶ月間、経営幹部育成のための研修のなかでも経営管理者研修は60日間と長期に及びますが、例えば、実施期間が1日間、2日間といった短期のものから、3日間、6日間、18日間など中期の研修も実施されています。ただし、18日間のような中期研修も3日間を6カ月にわたって実施するなど、仕事を続けながらでも、無理なく受講できる仕組みになっています。

具体的な研修内容については、各大学校のHPから確認できます。例えば、東京校ならば「研修一覧」それから、自分にあった、また自社課題にあった研修を探すには、こちらの「中小企業向け研修の検索」がよいでしょう。地域や課題についてチェックすれば、それに応じた研修が検索されます。

分野としては、「経営企画・財務力」「人材開発・組織力」「販売・営業力」「生産・技術力」など多岐にわたっており、これに加えて、ビジネスリーダーの総合的なスキルアップを目指すコースがあります。内容をより具体的見てみると、リーダー向け研修であれば、女性リーダー向けの研修、あるいは、販売・営業力であれば、クレーム対応力向上など、ターゲットや分野も絞ったきめ細やかな設計がなされていることがわかります。

それから、これらを見ていて気がつくのは、研修内容が驚くほど、中小企業目線にたっているということ。これが、大学校のもう一つの大きな特長で、うちは「中小というよりは零細なんです。」という企業の実情、レベルを理解した内容、すなわち、企業の規模や基礎にも配慮した研修を行っています。

ただし、それはレベルが低いということではありません。内容としては、高度な専門性を有しているのですが、説明の際に難しい専門用語を使ったりせず、非常に基本的で具体的なところからはじめる、現場の感覚で、中小企業の規模にあった身近な事例で説明するなど、中小企業に寄り添う形で行われるということです。

それから、もちろん、基本的であることも重要ですが、現場の状況に対応するためには、「最新」であることも欠かせません。

ですので、研修内容は、例えば、決算書の読み方をその仕組みから理解するという基礎的な研修「決算書の仕組みを知る」(経営企画・財務力)もあれば、「CO2削減関連セミナー」などの最新の経営状況にまで対応しており、非常に多彩なコース設計がなされています。

関連情報

中小企業診断士養成課程について詳しくはこちらをご覧ください。
中小企業診断士養成課程について(中小企業大学校 東京校)


そのほかにも、
インターネットを利用して学習できる
Web-Training


最新の経営課題に関する情報をタイムリーに提供する
中小機構のブランドセミナー
虎ノ門セミナー
梅田セミナー
があります。

充実した設備で研修に集中

それから、大学校では、せっかくの研修ですから、しっかり研修に集中して、効果がさらにあがるよう、受講の環境を非常に大事にしています。そのため、宿泊室も個室を完備。また、これはどの大学校もそうなのですが、身体が不自由な方も受講できる宿泊室を用意しています。各個室には学習机だけでなく、LANも設置されているので、各自、部屋に戻ってから勉強することもできますし、また、パソコンが設置されたビジネスコーナもありますから、そこで皆さんと一緒に予習や調べものをするということもできます。

また、経営後継者コース同様、他の研修でも、他社とのネットワーク形成を重視しています。ですので、大学校の宿泊施設を利用して受講ができる3日以上のコースなどでは、交流を深めることができる、談話室や交流室の活用にも注力しています。
 そして、見てください、この浴室を。

宿泊施設の浴室(東京校)

宿泊施設の浴室(東京校)

ちょっとした温泉旅館のようでしょう。実際、研修を見学してみて感じるのは、受講は結構ハードだということ。でも、これだけの大浴場につかれば、1日の疲れも癒えて、明日も頑張ろうという意欲もわいてこようというもの。

日本全国の中小企業の実情・実態をよく理解し、研修内容から、受講の手段・方法、それに受講環境にいたるまで、中小企業に寄り添った研修を展開できるのは中小企業大学校だからこそ。

関連情報

東京校の宿泊施設、及び、施設概要については、こちらをご覧ください。研修のための充実した施設が整っています。
宿泊施設のご案内(中小企業大学校 東京校)

利用企業の評価

それら大学校の研修の特長は、「わかりやすくて、役に立つ」という利用企業の満足度としても表れています。アンケート調査では、大学校の研修に派遣する目的の第一位に、「管理者の総合能力育成」があげられており、その達成度については、79%が「達成された」「ある程度達成された」と回答。大学校の研修を利用する理由の第一位は「研修内容が良い」で、96%が「役に立つ」と回答しています。

そして、実際、研修で学んだ内容が、自社企業でどれくらい実践されているかについては、第2回でもご紹介したとおり。
 利用した企業の多くはリピーターとなっており、中長期研修については、年間計画に組み込んで派遣する企業や、実際にご自分が受講されて、他社に受講をすすめる例なども多く見られます。

大学校をうまく活用した企業の事例については、
 「成長企業にみる人材育成」でも紹介していますから、是非、ご覧ください。

今回は、全国展開している大学校の「特長」について簡単に紹介しました。次回は、さらに突っ込んで、その「魅力」や活用企業の実態について、東京校の吉沢校長のインタビューを通じてお伝えしたいと思います。お楽しみに。

 

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