J-Net21レポート

04.まだ間に合う!
   小規模企業の強い味方「小規模企業共済」

第1回では、「小規模企業共済」の節税対策としての効果に焦点を当ててお話しました。もちろん、個人事業主や小規模企業の役員の「退職金」としての制度本来のメリットもたくさんあります。
 今回は、そんな小規模企業共済について、担当課長(経営安定再生部 経営安定企画課長)に詳しいお話をうかがいました。

小規模企業共済制度の目的

経営安定再生部 経営安定企画課 占部課長

経営安定再生部 経営安定企画課 占部課長

J-Net21編集部(以下J-Net):先日、お話をうかがって、実際に小規模企業共済の申込に行ってきました。本当に簡単で、すぐ加入できましたよ。

占部課長(以下、占部):それはよかったですね。一ヶ月程度で共済手帳が送られてきますから、大切にしてください。特に契約者番号は重要です。これから問合せ時などには、契約者番号と名前、生年月日で本人確認をしますので、この番号を控えておいていただくとよいと思います。

J-Net:それで、今日はあらためて、この共済制度の特徴をうかがいたくて来ました。よろしくお願いいたします。
 11月頃だとやはり、時期的に節税対策としてのメリットが強調されるようですが、パンフレットなどを見ると、本来の趣旨である将来の生活の安定や、事業の再建のための積立金としても制度に加入するメリットは大きいようですね。

占部:そうですね。ご加入いただくときには、制度の本来の趣旨もしっかり理解していただきたいと思います。
 小規模企業共済は、節税メリット以外にポイントが3つあると思っています。
 その前に、小規模企業共済制度の目的を簡単に説明しましょう。この制度は、小規模企業を経営する個人事業主や会社役員の方が、廃業や退職のときの生活資金として、又は、事業再建資金とするために日ごろから準備しておこうというものです。なので、廃業時・退職時に共済金を受け取ることができる仕組みになっています。

J-Net:加入するからには、共済金を受け取りたいですよね。

占部:共済の目的にそって共済金を受け取りいただくパターンはいくつかありますが、一番オーソドックスなのが「事業をやめたときに受け取る例」でしょう。どのくらいの額になるかは、この表を見ていただくとわかると思いますが、

月額掛金を10,000円として、30年納付しますと、掛金合計は360万円になりますよね。この時に事業を廃止して共済金を受け取れば、「共済金A」のパターンで4,348,000円受けとることができます。

占部:この他、「老齢給付」として受け取られる方も多いですよ。老齢給付の条件は、「契約者の年齢が満65歳以上で、15年以上の加入期間」を満たしていれば、「共済金B」が受け取れるというものです。言わば「退職給付金」のようなものですが、この条件を満たしている契約者に自動的に給付されるわけではありません。個人事業主の方だと生涯現役の方もありますし、可能な限り積み立てて、本当に引退したら受け取りたいという方もあります。そのため、「老齢給付」は共済金の請求をいただいた契約者の皆様にお支払いすることになっています。当然、条件を満たしても共済金を受け取らずに契約を継続しておくことも可能です。
 共済金以外には、会社役員が退任を事由に受け取る準共済金や、契約者が任意に契約を解約したときに受け取れる解約手当金があります。準共済金は、納付月数が18年以下の場合は掛金合計額で、それより長くなると金利が付きます。解約手当金は、納付月数が240か月(20年)未満だと、それを下回る額しか受け取れませんので注意してくださいね。

J-Net:制度を上手に活用するという意味では240か月(20年)以上掛け続けるということがポイントといえますね?

占部:そうですね。共済制度の目的は、退職金を積み立てていただくイメージですので、長く掛けていただくことだと思います。
 とはいえ、事業を経営されているわけですから、順調な時もあれば低迷する時もあるでしょうし、小規模な事業では景気変動の影響も大きいかと思います。
 そこで、1つ目のポイントですが、小規模企業共済では契約を継続しやすいように掛金額が自由に設定できるようになっています。

関連情報

制度の紹介(中小機構・小規模企業共済)



共済金、解約手当金の受け取りの詳細については、こちらをご覧ください。
共済金・解約手当金(よくあるお問い合わせ)









掛金月額の変更の詳細については、こちらをご覧ください。
掛金 増額・減額(よくあるお問い合わせ)

コツコツ長く、上手に積み立て

J-Net:たしか、1,000円からでしたよね。

占部:そうです、1,000円〜70,000円の範囲で、500円刻みで掛金の月額を選ぶことができます。
 一度選んだ掛金は、契約途中で何度でも額を変更することが可能なので、経営状態がよくない時には1,000円に減額し、売り上げが伸びてきて儲かるようになったら、また増額するということが可能なのです。

J-Net:1か月1,000円だったら、たばこ数箱、コーヒーを数杯我慢すれば捻出できる金額ですから、これなら継続ができそうですね。

占部:契約期間の共済金の金額は、掛金の多寡で差はなく、納付月数がカウントされますので、継続していただくことが大切ですね。目標としては「15年以上65歳以上」の老齢給付の条件を達成するよう頑張っていただければと思います。

受け取るときもカシコク節税

J-Net:ところで、ずいぶん先の話ですけど、共済金を受け取るときの課税についてお聞きしたいのですが、積み立てるときは所得控除の対象ですよね。受け取るときには税法上のメリットのようなものがあるのでしょうか?

占部課長B

占部:共済金の受取には1回で受け取る「一括受取」と、何度かに分けて受け取る「分割受取」の方法があります。税法上の扱いは、「一括受取」は「退職所得扱い」、「分割受取」は「公的年金等の雑所得扱い」となっています。

J-Net:受取りの方法で課税が異なるんですね。

占部:そうです。これが2つ目のポイントですが、小規模企業共済は、共済金の受け取りを「一括」、「分割」、「一括・分割併用」の3つの方法の中から選択できるということです。
 課税は、「退職所得扱い」の場合、勤続年数(契約年数)が20年以下なら「40万円×勤続年数」、勤続年数が20年を超えていれば「800万円+{70万円×(勤続年数-20年)}」の控除が受けられます。「公的年金等の雑所得扱い」の場合は、給付時の年齢と、共済金の額によっては、控除額が異なります。
 ですから、契約者の皆さんが契約月数(勤続年数)、掛金額、共済金額、給付時の年齢、他からの所得等を考慮して、最も有利になる受取方法を選ぶことができます。

J-Net:なるほど、掛金も共済金も、うまく選択すればこれはとても大きな節税対策ですね。例えば、一括受取りが有利か、あるいは、一括・分割の併用では幾らを一括で受け取り、幾らを分割にするかといった相談はできるのでしょうか?

占部:はい。先ほど説明したように、事業を廃止した時や本人が退職した時の生活安定のための共済制度ですから、請求手続きや節税の考え方は勿論のこと、これからの生活や家族を含めたライフプランも相談にのりますので、上手に活用していただければと思います。
 相談先はこちらになります(右記参照)。共済金の試算や手続きだけでなく、共済制度に関する質問はなんでも御相談ください。

関連情報

退職所得の控除額の詳細については、こちらをご覧ください。
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) (国税庁)




小規模企業共済制度についてのご照会、ご相談等は、「共済電話相談窓口」までお問合せください。
TEL:050-5541-7171
・受付時間
平日:午前9時〜午後7時
土曜:午前10時〜午後3時

特に11月〜12月にかけては電話が混み合い、休日明けや月曜日、午前中や休憩時間明けはつながりにくくなりますが、16時以降や、土曜日はすいています。



貸付制度の詳細については、こちらをご覧ください。
貸付制度 一般貸付(よくあるお問い合わせ)

「もしも」のときに役立つ貸付

占部:最後に、3つ目のポイントですが、事業を継続的に経営していく上では、経営リスクが付きものです。長年にわたって事業を続けていると、色々な場面で資金が必要になります。本人が病気になる、災害に被災するといったケースもあるでしょうし、息子が別な事業を創業するといった場面も考えられます。こうした時に、共済で預かっている掛金の中から緊急時に即日貸付を実施する「契約者貸付」の制度を行っているんです。

J-Net:それは、病気の時や災害の時だけ利用できる制度ですか。それ以外の場合は利用できないのでしょうか?

占部:いえ、「一般貸付」といって、用途に関係なく融資を受けることが出来る制度もあります。先の病気や災害時の貸付以外にも、新たに事業を開始するときの「創業転業時貸付け」「新規事業展開貸付け」、同居親族の福祉向上のための「福祉対応貸付け」、経済環境の悪化などで事業資金の資金繰りに対応した「緊急経営安定貸付け」などがあり、これらを総称して「特別貸付」と呼んでいます。
 ただし、「一般貸付」は「特別貸付」と比較して利率を少し高目に設定しています。とはいっても、年利1.5%ですから他で借りることを考えたら非常に低いですけどね。

J-Net:そういった意味では、加入のメリットというのは、将来の生活の安定に備えられるということだけでなくて、事業を安定的に継続することにも非常に役立つのですね。

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