J-Net21レポート

03.企業と一緒に「考える」 専門家継続派遣事業

専門家が会社に訪問して、企業の課題解決をサポートしてくれる「専門家継続派遣事業」。どんな問題も対応できる体制で、気軽に相談が出来て、しかも親身に見てくれます。こんな素敵な支援ってありません。
  今回は、この「専門家継続派遣事業」についてさらに詳しくご紹介すべく、担当課(中小機構関東 経営支援部 経営支援課)にお話を伺ってきました。

いざ、経営支援課へ!

中小機構関東 経営支援部経営支援課 三澤課長

中小機構関東 経営支援部経営支援課 三澤課長

J-Net21編集部(以下J-Net):こんにちは。こちらが、専門家継続派遣事業の担当課ですか?

三澤課長(以下 三澤):はい、そうですよ。

J-Net:専門家継続派遣事業についてお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか。

三澤:どうぞ。どうぞ。
  中小機構の支援にもいろいろありましてね。例えば、こちら(※1)をご覧いただくとわかりやすいのですが、その企業のステージや課題によって、有効な支援策が異なると考えられます。専門家継続派遣事業というのは、創業・新事業をどう展開していくか、あるいは、企業の課題解決などを目的としている支援なんですよ。
  現在利用されている企業には、最初は窓口相談で経営課題を整理して、集中的に課題解決をする際に専門家継続派遣事業を利用している企業もあるんですよ。

関連情報

※1 「創業・新事業展開支援のご案内」の4ページ上部の図をご覧ください。

専門家継続派遣事業の流れ 〜調査から計画策定まで〜

J-Net:予備調査というのは、どういうことを調査されるのでしょうか?

三澤:予備調査では、おもに、企業の全体の概要、財務内容、経営にどんな課題があるのかといった企業の現状を見させていただきます。
  さらに重要なのは、経営者の考え方や課題解決に取り組む姿勢です。

J-Net:申込みのときに、用紙には「支援を志望する事業の経営課題」を書く欄がありますよね。(※2)この場合、記載された課題、つまり企業側が主観的に認識している課題と、支援すべき課題が異なることというのは、あるのでしょうか?

三澤:勿論、そういうこともあります。だからこそ、企業にとって本当に成果の出る支援をするために、予備調査は重要だと考えています。

J-Net:派遣が決定したあとに、ニーズ調査や、専門家とのマッチングとありますが、これは具体的にどういったことが行われるのでしょう。

三澤:企業の側と、再度、支援の要望のすり合わせを行っています。結果的にどういう成果を期待しているのか、そうしたことの確認になりますね。また、企業の側に支援の受け入れの体制ができているかといったことを見させていただいております。専門家とのマッチングというのは、相性などを見るんです。やはり、人同士のおつきあいなので相性が合うかどうかといったこともとても大事ですから。

J-Net:受け入れ体制というのは、どういったことを指しますか?

三澤:そうですね。一言でいえば、「全社的な取り組みをする体制ができているか」といったことでしょうか。例えば、社長だけが意気込んでいても、実際の業務を行うのは従業員ですから、従業員が課題解決に取り組むのだということをきちんと認識して取り組んでいただかなくては、なかなか成果は出ません。また、取り組むのは一部の部署だけではなくて会社として取り組むので、社長をはじめ、幹部役員の意識も重要になるでしょう。
  会社の「やる気」、取り組むときの「気持ち」や「姿勢」も重要です。
  なんとか会社をよくしたいと思って本当に頑張って取り組む気持ちがあるか、つまり、依存しないで自立的に取り組んでいける素地が会社全体としてあるかということなんです。
  その意味では、はじめに相談に来られるのが、社長ではなくて幹部役員の方という例などもあるのですが、この支援を受けられて一番変わられるのが、社長さんなんですよ。もちろん、従業員の方の意識も変わります。でも、従業員さんにきくと「一番かわったのは社長ですね」とおっしゃる。
  それくらい、特に中小企業では、社長の意識や理解、姿勢というのが会社全体に与える影響が大きいということです。

J-Net:むしろ、全社的であるということは、社長の意識・姿勢、そのものが問われているということですね。それはとても厳しそうですね。

三澤:そうですね。でも、そこは社長さんも何とか「会社を変えていきたい、よくしよう」という気持ちがありますから、アドバイスを真摯に受け止めて、一生懸命取り組んでくださいます。だからこそ、専門家も一緒になって頑張れるのだと思います。

J-Net:「気持ち」と「姿勢」があれば成果が必ず出る、ということでしょうか?

専門家継続派遣事業の本質

中小機構関東 経営支援部 斎藤統括プロジェクトマネージャー

中小機構関東 経営支援部
斎藤統括プロジェクトマネージャー

斎藤統括プロジェクトマネージャー(以下 斎藤):われわれが行う支援というのは、会社を変えたい、何とかよくしていきたいと思っている「気持ち」や「姿勢」を具体的に形にして実践していけるように、経営のノウハウや、企業が自分で考えて次の手段を講じていく方法をアドバイスして、それを仕組みとしても個人としても身につけてもらうことなのではないかと思います。
  一言で言うと「ハンズオン支援」ですね。モノやお金の提供ではなくて考え方やノウハウを提供して課題の解決を図ると同時に人材の育成も進めるようにしています。
  ハンズオン支援の成果として業績が良くなることは勿論ですが、更にそれを継続することの方がもっと重要と考えています。自立的な企業成長とともに自律的な組織運営をできる企業、経営者になっていただけるように心掛けています。

J-Net:なるほど、「解決策」という「答え」を出す支援ではなくて、自らが「答え」を導き出せるようにする、そういう意味で自立と自律を手助けする支援なんですね。
  ということは、予備調査もニーズ調査も、「答え」を出すための調査ではないということですね。

斎藤:主には「派遣計画」をたてるための調査ですね。企業の現状を分析して、「結果的に、こういう企業になりたい」という企業の意向をきいて、その姿になるようには、どのような支援をしたらいいのかということを考える。それが「派遣計画」となります。

J-Net:この計画も、専門家の方が策定されるのでしょうか?

斎藤:いえ、違います。予備調査、ニーズ調査から派遣計画をたてるのは、プロジェクトマネージャー(PM)の仕事なんです。

J-Net:ということは、斎藤さんのお仕事ということですね。

斎藤:はい。専門家継続派遣事業の支援というのは、専門家だけが担当するわけではないんです。一つの企業の支援が一つのプロジェクトですが、支援を行う際は、必ず、PM、それに専門家と2人でチームを組んで行われます。さらに必要に応じてチーフアドバイザーがPMの補助をする場合があります。
  企業の支援現場に赴くのは専門家ですが、プロジェクトの全体を統括するのはPMですので、現場を担当されている専門家にお話をききながら一緒に考えて支援を進めるようにしています。

J-Net:チームが組まれての支援というのは、受ける側にとっては心強いですね。立場が異なれば視点も異なる。視点が多いということは、支援の安定につながりますものね。PMが企業に赴くということはあるのでしょうか?

斎藤:予備調査、ニーズ調査はPMとチーフアドバイザーが行います。また初回はキックオフミーティングを行なうのですが、この時は一緒に伺います。そのほかに、四半期ごとの調査を行うときや、都度、必要があるときに訪問したりしますよ。

支援の種類と期間

J-Net:この派遣計画を策定されるのが、PMということですが、策定時に派遣の期間が決定するのでしょうか?

斎藤:そうです。企業の現状と意向をお聞きして、こういう成果を求められているのであれば、これくらいの期間が必要かなと、計画をたてるときに逆算しておおよその期間を決めています。  だいたい単一のテーマに取り組む課題解決型の場合は6ヶ月。新事業開発など経営全般にわたる支援の場合は6ヶ月から1年間というのが目安でしょうか。(※4)

J-Net:新事業開発のほうが期間が長いのですね。この場合、「どういったスケジュールになるのでしょうか?

三澤:最初の3ヶ月は現状分析や経営力調査を行なって、企業と一緒に真の課題を抽出します。そして次に、これまた企業と一緒に中・長期計画を立てて戦略を考えていきます。だいたいこれに3ヶ月。ですから、ここまでで半年かかります。
  それから、この計画や戦略を実践していく具体的な活動やOJTで課題解決に取り組んでいくのですが、これに6ヶ月。全部で1年間というスケジュールが一般的ですね。
  最後に終了調査というのを行なって、支援の目的は達成できたか、さらなる支援の必要性はあるか等について確認を行っています。

中小機構関東 経営支援部経営支援課 向井課長代理

中小機構関東 経営支援部経営支援課 向井課長代理

J-Net:最長でどの程度派遣できるのですか?

向井課長代理(以下 向井):1回の派遣期間は最長1年間ですが、継続して複数年の支援も可能となっています。

J-Net:継続をされることは多いですか?

向井:難しい質問ですね。経営全般にわたる支援の場合、継続を希望されることは多いですが、もうご自分たちで十分やっていけるだけの力は身についたということで、こちらが、「大丈夫ですよ」とお断りすることもあります。

J-Net:でも、継続の希望が多いということは、それだけ支援に満足されているということですよね。

向井:私共としましても、ご期待に添えられるよう、更なる支援の質の向上を目指してまいります。

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※2 申し込みの方法については、「募集・応募要領」(専門家継続派遣事業)をご覧ください。

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