J-Net21レポート

01.相談窓口は、わが社のアドバイザー

本題に入る前にさらりと中小企業基盤整備機構の相談窓口についてご紹介。中小企業基盤整備機構が全国9つの地域本部に設置している「相談コーナー」では、経営・技術に関する幅広い相談、情報提供を行っています。


  • 株式公開を目指しているベンチャー企業
  • 経営革新、第二創業、新事業開拓を目指している中小企業
  • これから創業しようと考えている方、創業間もない方
  • 経営課題を解決したいという方

など、中小企業・ベンチャー企業のためのこの制度、利用のポイントはずばり、

  1. 無料で何度でも利用できる
  2. 資金調達の方法、公的支援制度の紹介、ビジネスプランの作成方法、マーケティング、法律、IT活用についてなど、幅広い分野に対応
  3. 公認会計士、中小企業診断士、税理士、技術士、弁護士、弁理士、社会保険労務士や起業実務経験者など、経験豊富な専門家が対応

パンフレットを見ると、課題が複合的な場合には、複数の専門家に相談するもよし、無料なので継続・反復利用が効果的だとか。

それでは、生の声を聞きにいざ現場へ!

突撃!関東本部

 J-Net21編集部(以下J-Net)、東京・虎ノ門にある中小企業基盤整備機構関東本部の扉を開く。

J-Net:こんにちは!

受付:(笑顔で)こんにちは。

J-Net:あの、無料で経営の相談に応じてくださる、と聞いたのですが。

受付:はい、承っておりますよ。相談のお申し込みは予約制を取っておりますので、電話やFAX、インターネットで申し込みいただければ、日程が決まり次第ご連絡いたします。

J-Net:なるほど。

受付:お申し込み書には、先生が適切なアドバイスを行えるように、ご相談内容はできるだけ具体的にお書きくださいね。

J-Net:はい!了解しました。

関連情報

中小企業基盤整備機構の相談窓口

経営相談は中小企業基盤整備機構のほか、都道府県などでも行っています。

窓口所在地
また、このほか「経営相談ホットライン」、「メール経営相談」などもあります。

中小企業基盤整備機構・チーフアドバイザーの稲田裕司先生、登場!

稲田:こんにちは、J-Net21さん。

J-Net:先生、こんにちは。今日は(経営者に代わって)経営相談を受けに来ました。実は、絶対売れると思って、画期的な商品を作ったんですが、全然売れなくて・・・。 売れないだけじゃなくて、爆発的に売れると思って新規に設備も入れてしまいまして。先生、どうしたらいいでしょうか。

稲田:おやおや、困りましたね。でもね、完成した状態で持ってこられると、私も困っちゃうのよ(笑)。というのも、完成品だと、販路が限定されてしまうからなんです。これから何か商品を作るときは、まずサンプルを作ってから私のところに持ってきてください。こういうケースの場合、えてしてユーザーニーズを無視している場合が多いんです。開発段階で相談に来て頂ければ、どんな風にお客さまのニーズに近づけるか、発展的な話し合いの場を設けることができますからね。

 自社のコア技術は何なのか、そこにユーザーニーズをどうプラスしたのか、とか。作り手の勝手な都合でユーザーニーズを無視しちゃだめですよ。

 まずユーザーニーズ調査をすること。しかも自分で作った商品が出て行くマーケットとのパイプや競合先を意識すること。こういうことが大切なんです。

J-Net:なるほど。早めの相談が大事ですね。ユーザーニーズのつかみ方とかもっといろいろ教わりたいものです。(と感心したところで、今後のためにもなるし、もう少し、窓口のこと、先生ご自身のことを聞いてみよう)
ところで先生は、いつもこうやって相談に応じてくださるんですか?

稲田:私は毎週月曜日は、こうやって経営者の相談にのっています。窓口で相談を受けるのは月間1、2回くらいかな。

J-Net:そうなんですか。

稲田:中小機構の相談窓口は、自画自賛のようだけど、専門性が高いんですよ。私が在籍する関東本部には330人ほどの専門家が登録されていて、そのうち、私みたいに窓口に出ている先生は4、50人くらいかな。

関連情報

アドバイザー一覧(関東本部)
窓口予定表(関東本部)
なお、全国9地域本部のサイトにアドバイザーリスト、毎月の窓口予定表が掲載されています。

J-Net:1回の相談時間はどれくらいですか。

稲田:そうだね。相談時間は原則1時間ですが、もしこの時間内で足りない場合は、何回でも利用できますよ。

J-Net:えっ、何回も来ていいんですか!無料だしてっきり1回だけかと思ってました。

稲田:(笑)何回でもいいんですよ。

J-Net:でも、いくらなんでも無料で際限なくというわけにはいかないでしょ?

稲田:実際に僕がお相手できるのは1日当たり5コマ。月10コマしかない。半年くらいでスパンを区切って、相談に応じるようにしています。例えば、マーケット戦略をきっちりもちましょうとか、課題をつくる。半年後に事業者が達成できていた場合には、今度は売り先をつくりたいよね、となる。窓口相談は1回だけでは終わらないんです。しっかり面倒みるから、悩み事や心配事が合ったら気軽に申し込んで欲しいですね。

J-Net:はい!それなら遠慮なく先生にご相談させていただきます(笑)
先生がこれまで受けた相談の中で、印象に残っている事例を教えてください。

稲田:僕は8年前から窓口相談を始めているけど、78回相談に来ているという事例があります。

J-Net:えっ!78回ですか!すごい。

稲田:そうそう(笑)。その人の場合、働いて会社を辞めて独立したいと、最初は右も左も分からない状態だったんですよ。1年間窓口相談をした後、満を持して独立。独立後に専門家派遣に切り替えました。現在は都心の有名ショップに紙袋が採用されて、成果を上げている。資本家がついて、現在は資本金が1億7,000万円くらいになり、店舗数は8つ。今度、フランチャイズ店をつくるそうです。この話には続きがあって、彼女は現在、埼玉県の専門家として登録されているんだ。

J-Net:それはすごいですね!先生冥利につきますね。

根本の原因を突き止める

J-Net:今回、いきなり冒頭で先生に漠然とした経営の悩みを投げかけてしまいましたが、自分で何が経営課題とか、何がしたいのかが分からずに先生を訪ねる人は多いですか?

稲田:そういう人も多いけど、困ったらまずは来てください。実際、経営課題をはき違えてくる人もいることは確かですね。例えば、お金がなくて相談に来る場合、お金がない理由の根本は何か。売上げが上がらないことなのです。だから例え、一時的にお金を借りられたとしても、瞬間的になくなってしまう。それでは何の解決にもならないですよね。まず、なぜ資金繰りがうまくいかなくなっているのか、根本的な原因を突き止めてあげるのが私たちの役目なのです。

J-Net:経営課題を間違ったまま、一人で悩んでいては経営改善はできないですね。まず、専門家の先生にアドバイスをもらいに飛び込んでみるのがよさそうですね。
ところで今、先生のところにはどんな相談がありますか?

稲田:例えば、長野から相談にいらしている案件があります。その相談企業は、卵の黄身と白身を反転する装置を作りました。わざわざ長野から卵を持ってこられる熱心な経営者さんです。

 その卵は成分を分離しながらかき集めて凝固させます。本当は装置を売りたいんですが、1台160万円する。例えば中華街のように卵を大量に使うところならいいけれど、なかなか難しいので、まず卵を売ることから始めるように指導しています。今の段階では、地元産というところで諏訪の名産として売ることにしたんです。

 それと、会社をどう畳んだらいいかという相談が、誰も予期していなかった展開をもたらした事例もあります。その会社は半導体の製造装置を作っている会社で、でも相談にきたときは半導体不況の時期でした。会社を閉めたいが、借金をたくさんしているため、どうしたらいいか分からない、という相談内容でした。

 でも、事業者から話を聞くうちに、すごく特殊な技術があることが分かった。この技術ってどんなものなの?と聞いたら、取引先から仕事を頼まれていたときにノウハウを習得していたことが分かった。これをコアに事業を立て直そうとしたときに、投資家たちも親身に相談に乗ってくれる展開が生まれたんです。窓口相談では、企業の相談がメーンだけど、投資家たちも集まります。そういう人を紹介したら、自分が3,000万円のお金を出すという人が現れた。

J-Net:すごい!

稲田:しかも、その投資家は自分が資本を入れたら不安だろうから、と社長さんに自分で投資する形にしなさいと助言したんです。お金は返さないなら返さないでいいからと。

 新会社をつくって3,000万円を資本金にあてました。投資した人は副社長に就き、現在では資本金1億7,000万円の企業に成長しています。

 飲み物の容器に使われるペットボトルは、通常、酸素が透過するのを防止するために薄い膜を張っています。内壁をコーティングすることで、酸化して味が落ちるのを防いでいるんです。その企業がもっている技術はダイヤモンドに近い特性をもつ非結晶=ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を応用したんです。それまで使われていた装置に比べ、10分の3の価格でコーティングできるようになりました。

J-Net:なるほど。早め早めの相談で別の方向性を見出してもらえることもあるんですね。可能性が広がりますね。

稲田:うん。悩んでいるなら、相談することが大切。1回目の相談ではヒアリング、2回目に回答の準備をする。お医者さんと患者さんのような関係が続く。悩んでいるなら、相談にくることが何よりも大切です。

J-Net:無料相談ということで、通り一遍の回答しか返ってこないのかなと思っていたら、今回訪問してかなり深く専門的な内容まで突っ込んで、しかも親身になって相談していただけることがわかりました。ありがとうございました。
皆さんも億劫がらずに、一度お近くの相談窓口に行ってこの制度の魅力を直に確かめてみてください。敷居はかなり低いですよ。

 最後になりましたが、突然の突撃取材に協力いただきました中小企業基盤整備機構の担当者、稲田アドバイザーに感謝いたします。

関連情報

相談申込みは各地域本部サイトから(FAX、E-mailなど)
北海道本部
東北本部
関東本部
中部本部
北陸本部
近畿本部
中国本部
四国本部
九州本部


中小企業基盤整備機構 関東本部経営支援部長(兼)地域振興部長
齋藤 三さんに聞く

 中小機構には、北は北海道から南は沖縄事務所まで10の拠点があって地域に密着したさまざまな支援を行っています。私の所属する関東本部では、大きく分けて8つの仕事があります。

  1. アドバイス、販路開拓などのソフト支援
  2. 共済事業
  3. 産業用地の分譲
  4. 地域資源活用促進プログラム
  5. 新連携推進事業
  6. 中心市街地活性化事業
  7. サポインの支援事業
  8. 中小企業大学校の運営など

 この中にさまざまな支援メニューを用意しています。中小企業経営者が適切な支援事業を活用していただくためにも、窓口相談は重要な役割を果たしています。 というのも、窓口で全般的な経営相談をするほか、相談の中で、例えば首都圏で販路を開拓したいということが分かれば、販路開拓コーディネート事業を活用していただくとか、相談者にあった支援事業をご紹介することができるのです。

 例えば、販路開拓コーディネート事業では、150人近くが登録する販路開拓コーディネーターの中から、ルートをもっている人を選び、企業とマッチングします。ときには、コーディネーターが同行してアプローチすることもあるんですよ。

 関東本部では、平成19年度は95先の支援にいたりました。同行販売では7割以上の商談に至っています。成約にいたらなくても、取引先から貴重な意見が得られることで商品の改良や今後の販売に活かせます。さらに磨き上げることで、自立的にマーケティングができるようになります。

 また関東本部独自の施策として、「通販マッチング会」という催しを実施しています。通販企業が集まり、中小企業がルートに乗せたい商品をプレゼンし、評価を商品改良につなげます。ローコストで高い成果が得られています。

 このようにいろいろな中小企業支援事業がありますので、中小企業者がどの支援事業が活用できるのだろうかと悩んでいたり、あるいは支援事業そのものを知らない場合が多々あります。窓口相談はそうした方を適切に導く機能もありますので、窓口相談を上手に活用してほしいですね。各地域本部に気軽にご連絡ください。

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