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高知工科大学と共同開発した新製塩システムで製造したミネラルバランスの良い塩製品の販売促進活動【室戸海洋深層水】




新製塩システムで製造した「室戸の塩」
室戸海洋深層水株式会社は、高知県が推進する海洋深層水の活用化事業に呼応して、平成10年(1998年)に10名の地元事業家が4,650万円を出資して設立した企業で、海洋深層水から塩とにがりを製造し、販売することを目的としています。設立当初は、太陽熱による自然乾燥が主体の流下ネット方式で、塩およびにがりを製造していました。
平成15年ごろの海洋深層水ブーム時に、塩およびにがり製品の生産が追いつかず、生産量を増加するために、海水濃縮槽で海水を熱して水分を蒸発させる生産方式に変更しました。
平成18年から高知工科大学と共同で、製塩効率を高めると共にミネラルバランスの良い製塩システムの研究を行い、平成20年に新製塩システムの開発に成功しました。
平成21年からは新製塩システムで製造した塩、にがり、塩分含有量が24%の濃縮海水および脱塩水の販売を開始しました。
新製塩システムの特徴は、濃縮工程時の初期に析出する硫酸カルシウムの発生を防止するために、海水を濃縮工程前に逆浸透膜装置を通して硫酸イオンを除去する工程を追加しました。硫酸イオンを除去することで、濃縮工程時に硫酸カルシウムが析出されず、海水に含まれているカルシウムイオンが水和性の高い塩化カルシウムとなり、カリウム、カルシウム、マグネシウムの3元素のバランスの良いまろやかな製品ができるようになりました。また、濃縮海水を製造する際に、硫酸カルシウムが析出しないために、海水濃縮槽内に配管されている蒸気管に硫化カルシウムが付着せず、熱伝導率が良くなり重油燃料の削減が可能となりました。
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企業名 | 室戸海洋深層水株式会社 | ||
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代表者名 | 小松 静雄 | 従業員数 | 16名 |
資本金 | 4,650万円 | 売上高 | 1億2,600万円 |
住所 | 高知県室戸市室戸岬町3490 | ||
電話番号 | 0887-22-3202 | ||
主要製品 | 食塩、にがり、濃縮海水、脱塩水製造販売 |
硫酸カルシウムイオンを除去した新製品の販売に当たって、従来の「塩」や「にがり」との優位性を明確にして、有利な販売促進活動を展開したいとの考えを地元の室戸市商工会に相談しました。同商工会は、新事業展開や新たな経営方法の導入に取り組む中小企業を支援する旧・地域力連携拠点事業を活用することが適切と判断し、拠点事業を主管している高知県商工会連合会のコーディネーターに相談するよう手配しました。
高知県商工会連合会の旧・地域力連携拠点事業のコーディネーターが同社を訪問して、社長および担当者へのヒアリング、生産現場の視察並びに新商品の特徴を確認しました。コーディネーターは、新製塩システムが商品の新たな生産または販売の方式の導入に該当し、中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認が得られると判断しました。そこで、小松静雄社長の了解を得て、経営革新計画作成に精通する専門家の派遣を決め、経営革新計画作成の支援が始まりました。
経営革新計画の作成に当たって、専門家は新製品の販売が軌道に乗るには4年間の期間が必要と判断し、経営革新計画の承認を得るために必要な2つの指標である「付加価値額または一人あたりの付加価値の伸び率(12%以上)」および「経常利益の伸び率(4%以上)」を達成するよう助言しました。
そこで同社は、示された指標を達成するための売上高予測、設備投資計画、雇用人員、販売促進費用および資金調達額と調達先を専門家と協議し、4年間の「経営計画および資金計画」を作成しました。
また、高知県産業振興センターが主管する各種展示会出展等の販売促進活動に必要な経費を補助する経営革新支援事業の補助金申請書の作成について、専門家の支援を受けました。
支援の結果、こうち産業振興基金事業の補助金の交付を受けて、平成21年度から展示会への出展、カタログの作成、ホームページの全面改訂等の積極的な販売促進活動を開始しました。
また、経営革新計画の承認を受けたことにより企業イメージが向上し、新規取引先と有利な営業活動が展開でき、平成22年7月までに県外の大企業を含めて8社と新たな取引が始まりました。さらに、平成22年7月以降も多くの企業と商談中です。
- お問い合わせ先
- 高知県商工会連合会
- 088-874-2111