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中小企業診断士トップランナー訪問

株式会社ヒロ・マネジメント代表取締役 田中浩さん

取材・文:松林 栄一(中小企業診断士)

研修・セミナーは年間200日、本音と本気の「研修コンサルタント」
【第2回】実力をつけるには

取材日:2010年8月14日

全国を飛び回る忙しい毎日の中でも、常に上を目指し続けている田中さん。特に、若手や経験の少ない中小企業診断士はどのようにして実力を高めていくべきか、ご経験に基づくアドバイスをお願いしました。

メンターを持つ

― 田中さんがいままでに影響を受けたのは、どのような方々ですか。

田中浩さん

中小企業診断士の先輩であった長谷川和正先生、その先生に紹介していただいた帝京大学名誉教授の佐藤允一先生、そして前回紹介した著書で知り、それから指導していただいた宮本邦夫先生、また、駆け出しの頃から仕事のチャンスをいただいている(株)日本経営協会総合研究所取締役の柴野数郎氏ですね。僕は、節目節目でそういったメンターと出会って、いまがあるんです。

― そうした方々との交流は、田中さんにとってどのような意味を持っていますか。

僕はこうみえても、いや見た目どおりですけど(笑)、結構天狗になっちゃうんですよ。仕事がたくさんきて忙しくなると、「俺ってやっぱり、能力あるな」とか思っちゃう。そうすると、メンターがたまに鼻を折ってくれるんです。「田中さん、その考え方はおかしい」とかいわれて。

その場では、「いえ、いいんですよ」なんて偉そうにいって終わっても、家に帰ってきてから、「やっぱり、俺が間違ってたなぁ」とか思うわけです。皆、いわゆる「うるさ型」の人ですが、厳しいことをいわれないと、いいと思っちゃう。だから、ありがたいです。

年上の人とリアルに付き合う

― いま、おっしゃった皆さんは全員、田中さんより年上の方ですね。

そうです。特に若い人は、自分より10も20も年上の人と付き合ったほうがいいんじゃないですか。先人のいいところは必ずありますから、そこを学ばないと。「年上の人には、いいくるめられちゃうから」といやがっていたら、伸びませんよ。

うるさ型の先輩って、懐に入っちゃえば、意外と親切に教えてくれるんです。「お前、そんなことも知らないのか」とかいいながらも。とにかく、その人の近くに行けばいいんです。「近くにきたので、会食させてください」とかいって。

― 若い後輩をご覧になっていて、そうしない人が多いですか。

田中浩さん

ええ。で、メールなんですよ(笑)。メールはラクですからね。でも、それだけだと、人付き合いは希薄になってしまいます。そうなると、人付き合いをちゃんとやっている人が目立つようになって、やっぱりそっちに仕事が行くんですよ。そういうことに気づかない人が多いです。

研修講師やコンサルタントは山ほどいて、その中で誰かっていったら、最初は「あの人はマメで、義理堅いな」とか、「一生懸命やっているから、一度頼んでみようかな」とか、そんなところからじゃないですか。そういう意味では、どうしても営業的なセンスが必要になりますよね。

化学反応を起こす

― 最近は、若手の中小企業診断士同士でグループを組むことも多いようですが、どうご覧になっていますか。

似たような人ばかりで集まっていないか、自己点検したほうがいいですね。「あの人は厳しいけど、いっていることは間違っていないな」と思う人を、勉強会なり仕事の場なりに呼んだらどうでしょう。そういう度量の広さがないと、ね。

同質では化学反応が起きないので、いいアイデアは出てきません。僕の場合、特に新しい研修やコンサルティングの案件のときは、中小企業診断士以外の外部の人にも入ってもらい、オズボーンのチェックリストでアイデア出しをしたりします。

― グループを組むメリットとして、自分では受け切れないものを分担できるという点はありそうですが。

そう、それ自体はいいと思いますよ。僕もビジネス創造研究会という勉強会を主催して、グループ化しています。ただし、弱いから群れるのと、1人ひとりの能力が高い中で組むのとは、全然違います。たとえばサッカーと一緒で、組織でいい仕事をしようとするなら、1人ひとりの力が強くなければいけません。群れることで安堵感を覚えることって、あるじゃないですか。それではやっぱり、マズいんです。まずは、個々の実力をつけたほうがいいですね。

書くことの大切さ

― 実力をつけるということでは、中小企業診断士の仕事が「診る・話す・書く」に分類される中で、最初はどれを重視してやるべきでしょうか。

僕は、まず「書く」ことを重視するように勧めていて、「話す」ことは最後です。書くのは、一番時間がかかるし、お金にもなりませんが、雑誌でも本でも、とにかく時間をみて書き続けることです。本を書くにはエネルギーがいるので、10人ぐらいで共著でという方法もありますが、できれば単著で。書くことは面倒くさいけれど、これをやらないと、話に深みは出てこないと思っています。

著書「提案営業を極める」
著書「提案営業を極める」

― 研修講師が最初ではマズいのですか。

なぜ「話す」ことを最後にするかというと、研修講師は、すぐにお金になるんですよ。それに飛びついて、深く勉強せずに研修講師で食べていこうとする人は、 時間と手間がかかる「診る」ことも避けるようになっていって、すぐに 限界が来てしまいます。

だから、書くことが大切なんです。ここがスコーンと抜けて、「話術をこうしよう」とか、パワーポイント資料のつくり方などを考えるのも、悪くはないでしょうけどね。むしろ、「資料なんてまったくなくても、研修はできます」ぐらいの意識でやらないと、パワーポイントばかりに頼ってしまうんじゃないですか。

(つづく)

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田中 浩(たなか ひろし)
株式会社ヒロ・マネジメント代表取締役、研修コンサルタント、中小企業診断士。(社)中小企業診断協会東京支部中央支会副支会長。食品卸売業・営業課長を経て、1997年2月に独立。3C(コンセプト、コミュニケーション、クリエイティブ)の実践をモットーに活動している。JA、民間企業、自治体などを対象に、プレゼンテーション、問題解決、リーダーシップ、目標による管理、営業力強化などの研修を行う。診断実績に人事制度の構築、店舗診断、市場調査などがある。昨年度の研修・セミナー実績は200日。単著に、「提案営業を極める」(同友館)、「トップ営業マンの交渉術」(ぱる出版)がある。2010年秋、「技術者のためのプレゼンテーション力向上講座」(同友館)が出版予定。

会社名 株式会社ヒロ・マネジメント
設立 2006年11月
代表取締役 田中 浩
所在地 東京都大田区南蒲田2-8-8-101
TEL 03-5654-7890
FAX 03-5705-0580