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中小企業診断士トップランナー訪問

有限会社ワークショップ代表 川口 佐和子さん

取材・文:田中 聡子(中小企業診断士)

現場支援と人材育成を柱に走り続ける
【第1回】コンサルタントの素養

取材日:2010年4月12日

今回、インタビューをさせていただいたのは、小売チェーンのコンサルタントとしてご活躍のほか、「人を育てる」観点から、起業塾などの創業支援も行っていらっしゃる川口佐和子さん。私の受験生時代の恩師でもあります。当コーナーにご登場いただくのは2回目となりますが、当時から変わることなく走り続ける川口さんに、お話を伺いました。
※前回の取材内容は、こちらです。⇒特別編:座談会・活躍する女性診断士の仕事術

利他の心

― 川口先生に初めてお会いしたのは、私の受験生時代、受験校が途中でつぶれてしまったときでしたね。当時は中小企業診断士第2次試験の講師をされていらっしゃいましたが、行き場を失った受講生を集め、ご自身の事務所を使って、寺子屋スタイルで授業を続けてくださったのが、本当に嬉しかったのを覚えています。なぜ、あのようなことをしよう、と考えられたのでしょうか。

私にとっては、自然なことでした。「助けたい」とか、「支援したい」というより、目の前にある課題やトラブルに手を差し伸べるのは、コンサルティングを仕事にした人間の性なのでしょう。私は、コンサルタントとはそういうものだ、と思っています。自分の中で矛盾がないから、違和感なくできるのでしょうね。年齢にかかわらず、きちんと仕事をされている方には、そのようなコンサルタントマインドを持った方が多く見受けられますね。

― あれ以来、ずっとお付き合いをさせていただいていますが、先生のまわりには、仕事以外の「人としての絆」でつながっている方が大勢いらっしゃいますよね。皆さんから感じるのが、「利己的」の対になる言葉、「利他的」な方だな、ということです。

独立している人間の集まりですから、人のことを大切にできないと、仕事も人間関係も続きません。「何かのため」というより、「誰かのために」だとか、「自分が何かをしてもらったら、いつか返そう」といったことが自然にできるセンスが必要ですね。

過去にさまざまな中小企業診断士の集まりをみてきましたが、お金をもらうことだけを考える人が集まる組織ができてしまうと、うまく機能しなくなります。組織になれば、事務や連絡係、会計担当も必要ですが、それを誰が引き受けるか、で混乱するケースが多いようです。「仕事だけもらえればいい」という人の集まりなら、こういった集団をつくる必要はない。会社という形態を選択すべきです。

私は、ピラミッド型の組織ではなく、円状のフラットな組織でやっていきたい、と考えています。その円が回転するには、独楽(こま)のように芯が必要です。そして、芯がなくては回らないのならば、多少手間でも自分が芯になればいい、と思っています。

受験校の講師をしていたときも、毎回、講義の後に飲み会を開いていました。「川口は、講義よりも飲み会のときのほうが、いいことを言う」という受講生まで現れたぐらいです(笑)。正直な話、講師でもらえるお金は少ないですから、収支を考えたら、「つまらない」という人もいるでしょう。でも、講師をしたり、講義の終了後に飲み会を催したりすることで、教えるために学習を続けて自己成長できるのと同時に、受講生の悩みを解決するという、問題解決の役にも立てるのです。それを面白いと捉えられるかどうかは、その人の考え方次第です。一見ムダにみえることでも、「私には有益です」と感じて、どれだけ楽しめるか。これは、個人で仕事をするうえで、欠かせない素養でしょうね。

― 現在、有限会社ワークショップのほかに、任意団体のマネジメント・ワークショップも運営されていますよね。それも、円状のフラットな関係にしたい、という思いの表れでしょうか。

そうですね。有限会社のほうは、「仕事の受け口」、「箱」として機能させているイメージです。一方、任意団体のマネジメント・ワークショップは、独立診断士のグループですが、縦の関係ではなく、「メンバーが思いを一緒にし、共同で仕事をする場」として運営しています。メンバーの中小企業診断士が、私の会社で働いているかのように、外部の方たちに誤解してほしくないので、ホームページも敢えて、任意団体のマネジメント・ワークショップで作成しています(コンサルタントグループ -マネジメント・ワークショップ-)。

仕事とは、生活そのもの

川口佐和子さん

― 高知県など、遠方のクライアントさんも多く、相変わらず忙しくされているようですが、オンとオフは分けていらっしゃるのでしょうか。

出張は、月に5~6日ですね。オフの日をはっきりさせ、休日も1週間に1日くらいはとるようにしています。また、年に何度かは、海外も含め、旅行に行っています。仕事以外の仲間と一緒に行動することは、とても重要だと思っています。仕事を通じた人間関係だけでは、どうしても感性が偏りますからね。多様な価値観を持つ方たちと一緒にいる時間は、私にはとても貴重です。

一方で、仕事とは、生活そのものだ、と捉えています。私の実家は商店を営んでいたので、休日でも店舗が営業していたり、お客様の都合で急な配達が必要になったりと、仕事と生活がつねに一緒でした。これが、私の仕事観にも影響しています。

― 受験生時代、先生から、「第2次試験の学習はどこでもできる」と習いました。「街を歩いていても、お店の中にいても、第2次試験につなげて考えられるんだ」と言われたのに似ている気がします。

そうですね。私は、休日でも、映画の帰りにスーパーマーケットをみに行きますが、それは自然なことで、そこに仕事とプライベートの境界はありません。中小企業診断士の勉強も同じですよね。ある瞬間に、「この仕事は、中小企業診断士の勉強で習ったあのことだ」とつながったり、今までしてきた仕事の脈絡をつけるうえで役立ったりもします。そういう意味では、中小企業診断士の勉強と会社で働くことは、まったく別モノではないですよね。それと似ていると思います。

(つづく)

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川口 佐和子(かわぐち さわこ)
(有)ワークショップ代表取締役。中央大学文学部哲学科心理学専攻卒業。GMS(量販店)でベビー用品・子供服のバイヤーに従事。現在は、食品スーパーチェーン、アパレル・服飾関係の小売チェーンを主なクライントとして、顧問コンサルティングを行っている。また、中小企業の事業再生支援、創業支援にも実績がある。

会社名 有限会社ワークショップ
設立 1997年12月
代表取締役 川口 佐和子
所在地 東京都千代田区神田小川町3-24-1-406
TEL 03-5283-3371
FAX 03-5283-3372