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中小企業診断士トップランナー訪問

コンサルティング・オフィス高橋代表/中小企業基盤整備機構新現役チャレンジ支援事業全国事務局マネージャー/NPO経済活動支援チーム代表理事 高橋順一さん

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

3つの"顔"で走り回る日々
【第3回】独立を志す皆さんへ

取材日:2009年4月27日

着実な歩みで年々、活躍の場を広げてこられた高橋さん。独立当初のお話をおうかがいするとともに、新たに独立を志す皆さんに熱いメッセージをいただきました。

勇気をもらった言葉

― 独立するときに不安はありませんでしたか。

髙橋順一さん

私は、2000年に食品会社を45歳で辞めましたが、そのときはまだ診断士になっていなかったんです。2002年に中小企業診断士登録をしましたが、まわりの先輩診断士の方々からは、「中小企業診断士になっても食べていけないよ」と言われ、不安になっていました。

でも、たまたま行った中小企業診断協会東京支部城東支会の花見で隣に座られた、今はお亡くなりになった岡崎英明先生に、「いやぁ君、一番いいときに独立したね」という言葉をかけていただいたんです。この言葉には、本当に励まされました。

自分でも、仕事をとっていくのは大変だろうなという予想をしていたので、まわりから「大変だよ」と言われても、「そうだろうな」と思っている部分が大きかったんですが、そんな中で岡崎先生からの励ましの言葉には、勇気づけられましたね。

― 1年目の仕事は何でしたか。

私は会社員時代に仕入れ担当で、営業が得意ではなかったので、1年目の収入は微々たるものでした。この頃は、研究会に参加したりなど、完全に人脈形成に力を入れていましたね。

そんなとき、私の地元である埼玉県和光市が経営相談員の設置を始めました。さっそく応募したところ、たった1名の枠にもかかわらず、採用していただきました。相談員は私1人なので、食品に関することだけでなく、資金調達からITに関する相談の対応まで、1人ですべてやっていました。知らないことまで相談を受けるので、仲間に聞いて解決していましたね。和光市の相談員は、それから3年半やらせていただきました。

― 相談業務をやるうえで大切にしていたことは、何かありますか。

特に大切にしていたのは、「聴く」ことですね。「聴く」ことができないと、コンサルティングもうまくできないと思います。私は口下手なタイプなので、真剣に聴いて社長さんに心を開いてもらうよう、努めていました。それができれば、あとはちょっと話せばいいんです。もちろん、当を得ていないとダメですが。でも、「聴く」ことがきちんとできていれば、ある程度できると思いますよ。

今もさまざまな方とお仕事をさせていただいていますが、「聴く」ことができている人とできていない人では、社長さんたちのその後の対応が全然違ってきます。やっぱり、口だけじゃダメ。同じことを言ったとしても、その人が信頼されているかどうかによって、相手の受け止め方も全然違ってくると思います。

だからこそ、相談業務は若い人にも積極的にやってほしいんです。経営者と一緒になって考えるのは、とても大切なことだと思いますが、その機会を一番得られるのは公的機関でしょう。私も和光市の相談員をしていた3年半の間に、500人以上の方と話をする機会がありましたが、今思い返しても、謝金以上に大きなものを得られたと思いますね。

今後の夢と、皆さんに伝えたいこと

― 今後の仕事での夢を教えてください。

できれば、自分だけでお客さんを増やしていくというより、中小企業診断士にこだわらず、周囲の仲間に紹介していきながら仕事をしていきたいと思っています。そういう輪を広げていければいいな、と。私自身、人の輪の中で育ててきてもらったので、これからはそれを返しながら、仕事ができればいいと思いますね。

― 最後に、若手診断士の方へのメッセージをお願いします。

髙橋順一さん

まず、依頼された仕事は絶対断らないことですね。そして、依頼主が期待していると思われる出来映えの120%の仕事をする。さらに、それをスピーディに行うことだと思います。相手のことを考えたら、報告書を出すにしても、何日もおくのではなく、できるだけ早く出したほうがいいと思います。

それから、「お礼の姿勢」というか、「感謝の姿勢」というか、それは絶対に必要ですね。コンサルタントは、人と人との付き合いで仕事をさせてもらっているので、とても大切なことだと思います。それを忘れたら、成功するのは難しいんじゃないかな。

お礼を言われたら、仕事をお願いしたほうはうれしいだろうし、それが信頼関係につながっていくんです。まずは、中小企業診断士としての基本というよりも、「人としての基本」を大切にすべきだと思います。それが次の仕事にもつながる。中小企業診断士になると、まわりからは「先生」と呼ばれるようになりますが、それを聞いて天狗になっていちゃダメですね。それを忘れずに、頑張っていただきたいと思います。

(おわり)

高橋順一さん:コンサルティング・オフィス高橋代表、中小企業基盤整備機構新現役チャレンジ支援事業全国事務局マネージャー、NPO経済活動支援チーム代表理事。

高橋順一(たかはし じゅんいち)
昭和30年生まれ。北海道大学水産学部卒業。(株)北商を経て昭和55年、(株)なとり入社。取締役原料部長、取締役原資材調達本部副本部長、関連会社監査等を歴任し、同社退社後、平成14年、中小企業診断士として独立。平成20年度からは中小企業基盤整備機構新現役チャレンジ支援事業全国事務局マネージャーを兼任するなど、食品関連業(農水産含む)や建設業を主たる専門分野とする経営コンサルタントとして活動中。