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中小企業診断士トップランナー訪問

有限会社アックス代表取締役 山北浩史さん

取材・文:平村 一紀(中小企業診断士)

【第2回】「士」(サムライ)業の営業活動

我々はシゴトを創り出すことができる。「市場は自らが創るもの」です

山北浩史さん― 中小企業診断士の資格を取得してから、どのように営業活動をされたのでしょうか。

営業するための名簿を入手して、電話による営業活動を行いました。たとえば、『社長、コンサルを受けませんか』と1件1件電話するのです。ちなみに電話営業のときに話す営業トークは「社長、経営に困っていませんか」などと、抽象的な問いかけはしません。

具体的に、『資金繰りを解決します!』『経営コンサルティングを受ければ利益がでますよ』等々、思い切った言葉を投げかけていました。

だいたい1日で100件~200件くらいは電話営業をしていたでしょうか。それだけかければ、何件かは話を聞いてくれそうなところがでてきます。後日、その会社に実際に直接訪問します。

『近くまで来ましたので、立ち寄りました』などと挨拶しながら...。なかには『お前があの変な電話をしてきた奴か』といった反応もありましたが、意外と話は聞いてくれるものなのです。「顔」が見えるのと、見えないのとでは相手方の対応が変わってくるものです。

このように電話営業をして、反応が良いところは後日訪問するという流れでコンサルティング業務を受注していました。きっと、こんな経営コンサルタントはあまりいませんよね。営業トークの中で『経済産業大臣登録の中小企業診断士です』という文句を入れることで関心を持ってもらえたり、覚えていてもらったりしたことも少なくありませんでした。

また、中小企業診断士は受験科目の中にマーケティングがある唯一の国家資格です。モノを売ることや業務開拓をすることの「原則」は身についているはず。営業活動によって、「理論」を「実務」に落とし込めば、きっと『これはこういうことだったのだ』という気づきがあると思います。

― よく中小企業診断士は"食えない資格"と表現されることがありますが、その点についてはいかがでしょうか。

よく「資格」と「収入」が関係するようなことをおっしゃる方がいますが、「資格」と「収入」に相関関係はありません。どのような「士」業であっても、営業できない「士」は廃業しています。取った資格そのものがどうかということよりも、取った資格を実際にどのように活用していくのか、ということが重要なのです。

たとえば、生産管理の経験がある方がいらっしゃるとすれば、その経験を活かして、これを強みとして営業活動をすれば良い。もし、営業活動が苦手であれば、誰かと連携して仕事を受注することもできる。どのように活動していくのか? これが重要なポイントであって収入は資格そのものに左右されるというものではありません。

『仕事がない』と嘆いている士業の方がいると聞いたことがあります。それは間違いで、我々はシゴトを創り出すことができる。「市場は自らが創るもの」です。一度、お付き合いがはじまれば、入り込めば入り込むほど、課題は増えていきます。"仕事"がないということではなくて、普通に活動をしていれば、必然的に"ひま"がないという状態になってくる。

特に中小企業診断士であれば、1つの課題をクリアすれば、必然的に次の課題が見えてきます。たとえば、最初に新製品の開発のお手伝いをしたとする。次は実際にそれをどのように売っていこうかという販売促進上の課題となってくるでしょう。私自身も開業してから後、20年近いお付き合いをしているクライアントもいます。経営課題は次から次へと創出され、途切れることはありません。

NOと言わせない仕組みさえ作れば、仕事をとるのは簡単なことです

― 同じ士業の方などから営業活動について相談を受けることもあるのでしょうか。

ありますね。ある技術系の中小企業診断士から、ISO9000sの認証取得支援に関するコンサルティング業務を紹介してほしいという依頼を受けました。営業の方法を提示し、これを共に実践し、数百万円の案件をいくつか受注いたしました。もっと営業して業務を紹介しようとしておりましたが、『これ以上は手が一杯で無理』ということでした。また、他の診断士の方から、その営業開拓の方法が書かれた書類を欲しいと所望され、差し上げたこともあります。

営業開拓の流れは、ISO9000sを認証取得しなければならない企業、ISO9000sを認証取得すると競争上優位に立てる企業等の名簿を入手する。そこに、目に触れやすいDM(ダイレクトメール)を打つだけです。

案内文には、取る必要性、メリット、必要経費等を明示する。さらに、利用できる補助金等の案内をあわせて行い、その申請のお手伝いをすることも強調するのです。その提案は「良い」、しかし、断る理由は、「金がない」ことが多い。この言い訳を言わせないことが営業のポイントなのです。

腹を空かせた魚のいる池に、釣り糸を垂れる。餌も適切に選択する。ただ、それだけです。要はNOと言わせない仕組みさえ作れば、仕事を取ることは簡単なのです。これはノウハウでも何でもない。

山北浩史さん

もちろん、こうした営業活動を支援することでのフィーはいただいておりません。「士」という仲間を顧客にしてはいけないと考えているからです。同じ仲間である中小企業診断士のお手伝いをしているだけです。

自分で仕事を開拓できないという中小企業診断士にはこうした支援をもっともっと行いたいと考えています。自分自身を含め、仲間が所属するフィールドが良くなるということは、私自身に跳ね返ってくると信じています。

重要なのは、仕事をとることそのものが仕事ではなく、その仕事をすることによって企業を支援すること、業界を支援すること、経済の活性化を支援することが、我々にとっての「真の仕事」なのだということです。

― 独立したばかりの診断士は業務開拓や営業面で悩んでいる方もいらっしゃると聞きますが、いかがでしょうか。

特に独立したばかりで"仕事のとり方"がわからないという中小企業診断士がいれば、積極的に支援させていただきたいと思っています。自分自身が25歳で独立したということもあり、特に若い人にどんどん活躍してほしいと思っています。そのための課題が業務開拓であれば、その方法はオープンに伝えていきたいと考えています。

しかし、私自身は徒弟関係とか師弟関係のようなものは持たないようにしています。独立したからには、

"自分の道は自分で選ぶ"
  "「士」(サムライ)として独立する"

ということが重要であると考えているからです。

山北 浩史さん:有限会社アックス代表取締役

山北 浩史(やまきた ひろし)/大学卒業後、2年10ヵ月の製薬会社での勤務を経て、1985年経営コンサルタントとしての起業を果たす。1990年中小企業診断士資格を取得、コンサルタント業務の業容拡大を図り、現在に至る。有限会社アックス代表取締役、山北事務所代表、特定非営利活動法人 経済活動支援チーム(NPO-EAST)代表理事、有限責任中間法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)常任理事、経済産業大臣・国土交通大臣委嘱地域中小企業サポーターなどを務める。中小企業診断士、行政書士、商業施設士。

会社名 有限会社アックス
資本金 300万円
所在地 東京都豊島区池袋4-25-12-305
TEL 03-5992-6463
FAX 03-3980-6335
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