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中小企業診断士トップランナー訪問

(株)ブレインコンサルティング 代表取締役 保科悦久さん

取材・文:宮崎 洋一

【第3回】 個性的でおもしろい中小企業診断士の世界

保科 悦久さん中小企業診断士の世界は個性的でおもしろく、自分の居場所を確保できるのがありがたい。

― 中小企業診断士を意識した活動としては最近はどういったことをされていますか。

会計が中心のコンサルティング・ファームということは変わりませんが、例えば他の会計専門家の方が決算書をつくってお客さんに「売上高が増えたね(減ったね)」とか、「利益がどうだね」ということ。それが通常の会計専門家のやる仕事だとすれば、それにプラスして同時に「御社のここが悪いのではないですか」と、さらに一歩踏み込んだ、報告書でなくてもいいのですが、コメントをしたいと思っています。それがうちの強みを生かすという意味においては非常に大事なことなのです。

「会計の数字がこうですよ」ということをきっちりとお客さんにつかんでもらう。当然、顧問契約ということをイメージしていますが、そのお客さんに対してもう1枚レポートを出す。「課題書」といえばいいのでしょうか。診断士的な視点のSWOT分析のようなものをあわせて、お客さんに対して半年とか3か月に1回ぐらいの頻度で出していきたい。

― それでは少し視野を広げて、中小企業診断士の業界全体として、こんなところが素晴らしいというのはありますか。

どう表現するか難しいのですが、もともとぼくが入ったのは会計士の業界なのです。そこには業界の専門家としての先輩がたくさんいました。そういう先輩方を見て感じたのは、非常にスマートな方が多い。その後、もともと目指していた中小企業診断士の世界に入ったのですが、いい意味で個性的な先生が多い。

個性的なというのは、お酒を飲んだり、いわゆるネットワークの世界でいうとぼくからしてみるとおもしろいのです。ぼくはどちらかというとスマートではなかろうかと自分では思っているのですが(笑)、そういう自分の立ち位置から見ても個性的な方というのは非常に惹かれるわけです。飲んでいて話もすごくおもしろい。まずそういう違いがあります。

会計はルールが決まっている世界です。だからある意味で没個性(こういう言い方がいいのかどうかわかりませんが)。中小企業診断士の世界は、いろいろなところでのルールはあるのでしょうが、もしかしたら共通のルールはない世界です。それが大きく左右している。だから会計だけの世界はすごく狭い世界だったなと今は思います。ただ、狭いがゆえに、いろいろなことに関して詳しく知っている先生がいるということになるのでしょう。

― 中小企業診断士という資格を持たずに経営コンサルタントをされている方もいらっしゃると思います。資格がなくてもコンサルタントはできる。中小企業診断士の資格を持っていることについて、何か強みみたいなものを感じられたことはありますか。

ネットワークを組むときに自分の居場所が、資格があることで確保できる。それは非常にありがたいことです。毎年毎年新たな合格者が入ってくるではないですか。いろいろな年齢の、いろいろなバックボーンを持っておられる方が入ってくる。ということは、ぼくが動かなくても向こうでぼくに興味があるような人は来るだろうし、ぼくもそういう人たちと会えるチャンスができる。

そういうことが経営コンサルタントということだけの人にはあまりないような気がします。もしかしたら他の機会をつくっているのかもしれません。異業種交流会でこういうものもあるのかもしれませんが、自分でネットワークを組んで一緒に仕事をする仲間の出会いのチャンスが中小企業診断士には非常に多いと思います。そこは非常にいいと思いますね。

学生とつきあうなかで独りよがりに気づかされた。お客様にもわかりやすく話すように心がけたい。

― 話は変わりますが、保科さんのもう1つの顔である大学教員としての側面にちょっと焦点を当ててお話をお聞きしたいと思います。まず、きっかけはどういうことでしたか。

3年ぐらい前のことですが、経営学の大学院に入りました。独立開業して7年も経つと、教えてもらうということが減ってきてしまいます。コンサルタントというのは何か売り物がなくてはいけないのです。もちろん自分で本を読んだりして吸収するのも大事ですし、研修などに出て新しい知識を吸収するということはしていました。でも、なかなか売り物になるようなものはない。もう少し長いスパンでいろいろな教えを請うような師匠を見つけたいなと思うようになりました。中小企業診断士の先輩方はもちろんいるのですが、もう少し深いつき合いでいろいろなことを教えていただける先生がほしいと思ったのです。

そこで明治大学大学院に入り、鈴木先生に師事することになりました。鈴木先生は銀行系のコンサルタントご出身の大学教授で、普通のアカデミックご出身の大学の先生とちょっと違うのです。こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、理論的なもの、実務的なものを併せて経営の勉強をかなりされていますし、昔ご自分がお客様にコンサルティングをやっていますから、そういう間合いもすごくうまい。この先生だったらいい勉強をさせてもらえると思って、2年間勉強をさせていただきました。いろいろ吸収することが多かったです。

そのようにしてお世話になっている中で、「誰かこの大学で教えてくれる人はいないか」ということで鈴木先生にお話があって、「保科君、やってみなさい」ということでした。ぼくも教えるのは嫌いではないものですから、「ではやってみます」と、引き受けさせていただいたわけです。

― 教えているのは学部の学生さんですね。

そうです。自分の大学時代を振り返ると、先生に教えてもらったことはほとんど覚えていないのです。知的なものとして財産になっているのは、実は大学3年のときに勉強した中小企業診断士の知識なのです。大学の先生の講義のテキストではなく、中小企業診断士の先生が書かれた中小企業診断士用のテキスト。そこでかなり自分としてはいろいろな知識を吸収できたと思っています。

そういった体験もふまえて、知的好奇心は学生時代のほうが高いでしょうから、いろいろな実務的な話を交えながら会計的、経営的なことを学生に教えています。

― 学生さんに教えるという経験を、ご本業のほうにフィードバックできているようなことなどは何かありますか。

わたしも含めてコンサルタントの報告・アドバイスというのは独りよがりなところがあるケースがあります。例えば「こういうことをやったらいいよ」というときにその本質的な意味が伝えられなかったり、目的とか必要性を十分に伝えられなかったりということがある。相手もこのぐらいのことはわかっているよな、ということで話をしてしまうことがよくあるんですね。しかし、学生の場合はもともと知らないので、知らないことを前提に教えたりアドバイスをしたりしなければいけません。

学生に「今の話、わかったか」と聞いた場合、わからなければ正直に「わかりません」と答えると思います。しかし経営者の方々は「わからない」とは言わない。「わかった」とうなずいてくれる。でも、真に意味するところが伝わっていないことがありうるのではないか、ということは大いに考えさせられました。

経営者の方々とぼくの持っている会計的な知識は必ずしも共有化されているわけではないですから、そういうことに関してはもう少し気をつけてわかりやすく話すように心がけなければいけないと思っています。(この項続く)

保科 悦久さん:(株)ブレインコンサルティング代表取締役

保科 悦久(ほしな よしひさ)/1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、監査法人に在籍。1996年、中小企業診断士登録、同年、株式会社ブレインコンサルティングを設立し、同社代表取締役、経営コンサルタントとして活躍する。また2005年からは大学で教鞭を執るなど多彩な活動を展開している。中小企業診断士、公認会計士・税理士、ITコーディネータ。

会社名 株式会社ブレインコンサルティング
設立 1996年11月1日
資本金 10百万円
社員数 7名
所在地 東京都千代田区飯田橋2-6-3 N&Kビル5F
TEL 03-3556-9481
FAX 03-3556-9482
ホームページ http://www.braincon.co.jp