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中小企業診断士トップランナー訪問

(株)ブレインコンサルティング 代表取締役 保科悦久さん

取材・文:宮崎 洋一

【第2回】 自分はスターのコンサルタントではない

保科 悦久さん中小企業診断士を志した学生時代。コンサルタントってかっこいいなと思った。

― では少し話題を変えまして、創業当時のことをお話しいただければと思います。

先ほどお話ししたように、中小企業診断士の資格を取ったので会計の大きな事務所を辞めることにしました。そのときの思いとしては、監査という仕事自体が数値の粗探しをするようなところがあって、粗探しは嫌いではないのですが、もう6年もやってきたからいいかなと。

また企業の監査は、その社会的な役割上、いわばお客様と敵対するような位置関係にありますが、そのような位置関係ではなく、同じ方向を向いて何かつくっていくような仕事をしたいと思い、会計を中心としたコンサルティングをやり始めたのです。お客様に対して仲間、参謀、ブレインになりたいということで、このコンサルティング・ファームをブレインコンサルティングという名前にしました。

― 実際、創業してみていかがでしたか。

週末起業などというかたちもあるように、通常、自分が会社にいるうちにある程度お客さんと下準備をしておくべきだ、ということがいわれていますね。最近になって多少の反省もあるのですが、そのときはお客さんがゼロの状況で辞めてしまいました。何とかなるのではないかと思っていたのです。そうしたら世の中はだいぶ冷たかった。私のイメージの3倍ぐらい冷たかったです(笑)。氷河期でしたね。

そういった中でやはり大事にしようと思っていたのが、中小企業診断士としての活動でした。自分としても中小企業診断士になりたいと思ってやっていましたので、資格取得後は、いろいろなところに顔を出しました。そういった中で、「こういう原稿を書いてみないか」、「こういう仕事ができないか」というようなお声をかけていただいて今の規模になる礎ができたのです。これは本当の話ですが、中小企業診断士のつながりの中で仕事をもらえなかったら、早めに店じまいしていたと思います。持たなかった。

会計士の先生のおつき合いももちろんありますが、同じ会計屋ですから何か仕事があっても「いや、自分のところでやるからいいよ」と(笑)。

― 中小企業診断士になりたいと思ってやっていたというお話ですが、中小企業診断士の資格を意識されたのはいつ頃でしたか。

はい。話は大学時代に戻りまして、今から20年ほど前、大学時代に卒業後会社員になるのではなく、何か自分で商売をやりたいと思いました。そういう中で考えていたのが中小企業診断士です。コンサルタントってかっこいいなと思ったのです。

ですから中小企業診断士の1次試験は大学3年生のときに受け、めでたくクリアしました。大学生で時間があったのです。それで、続けて2次試験を受けたのですが、「何億円というお金を出してこういう商売をしたいのだけれど、どうか」というアドバイスを求められるような問題だったのです。その頃のぼくは1万円がすごく高価なお金で、10万円なんて持ったらもう大喜びの世界でした。「1億円のお金でこうだ」というアドバイスをするという問いに、まともな答えが書けなかった。やはりわからなかったのです。これではいかん、会計のほうも深堀しておこうということで、大学を卒業した年に会計士試験を受けて合格しました。

それで勤めはじめたのですが、1次試験を取って会計士の資格を取った、でも何かやり残しているという思いがいつも心に残っていました。何となく10月10日の試験日が来ると、受けたり受けなかったり。そんなこんなしているうちに、28歳ぐらいになってしまい「これはいかん」と気合いを入れ直して(笑)。取れたのが30歳ぐらいのときでした。2次試験を取るのには非常に苦労しましたね。

自分は「辞書持込可のコンサルタント」。スターのコンサルタントではない。

― 経営者としてのご自身を、どんな経営者だと思いますか。

当社規模の小さい事務所では、自分がバリバリでコンサルタントとしても超優秀である経営者という方も多くいらっしゃると思います。でもうちの場合は違います。ぼくがスターのコンサルタントだというものではない。ぼくは生まれつきのなまけ者ですので、優秀なコンサルタントに「助さん、格さん」になってもらいぼくをなまけさせてほしいと思っています。そういうのがぼくのビジネスモデルかもしれませんね(笑)。

今はそういう優秀なコンサルタントが会社の中に2人ほどいますので、彼らががんばれる状況をつくるのが、すでにぼくの役割になっているのかもしれません。信頼のおけるコンサルタントが社内にたくさん増えることが理想であり、そのためにはどのようになっていくのがいいのかということを強く意識しています。

― そのあたりのお考えは、社外にさまざまな専門家のパートナーを持っていらっしゃるということにつながるのですね。

そうです。会計士の業界でも中小企業診断士の業界でも、やはり優秀な方はたくさんいるのです。その優秀な人よりも自分が勝ろうと思うと、時間がいくらあっても足りないのです。能力の問題もあるし、無理なのです。ぼくはそういう見切りが早いのでしょうか...。

これは試験のときに思ったのですが、中小企業診断士の試験も辞書の持込は不可ですね。しかし実務は辞書の持込は可です。辞書の持込が不可の世界というのは、自分の頭の中にすべてのソリューション、知識が入っている世界なのです。だからトップのコンサルタントとしてバリバリやるという世界に近いと思います。

実務は辞書の持込可の世界だから、どこに何が書いてあったか、どこを見ればいいかということがわかっていることが大事である。ぼくの今の仕事にあてはめれば、依頼された仕事について社内で彼にはできそうだとか、社内では無理だから社外のこの人だったらできるということが、辞書を持っているから瞬時にわかる。それが大事なような気がします。

ですから、ぼくは「辞書持込可のコンサルタント」なんです。ただしその辞書は一番新しい辞書でなければいけないというのは意識しています。中小企業診断士のつき合いもけっこう多くやるし、会計士の他の方々のおつき合いも多くしておかないといけないと思っています。(この項続く)

保科 悦久さん:(株)ブレインコンサルティング代表取締役

保科 悦久(ほしな よしひさ)/1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、監査法人に在籍。1996年、中小企業診断士登録、同年、株式会社ブレインコンサルティングを設立し、同社代表取締役、経営コンサルタントとして活躍する。また2005年からは大学で教鞭を執るなど多彩な活動を展開している。中小企業診断士、公認会計士・税理士、ITコーディネータ。

会社名 株式会社ブレインコンサルティング
設立 1996年11月1日
資本金 10百万円
社員数 7名
所在地 東京都千代田区飯田橋2-6-3 N&Kビル5F
TEL 03-3556-9481
FAX 03-3556-9482
ホームページ http://www.braincon.co.jp