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中小企業診断士トップランナー訪問

(株)あきない総合研究所 代表取締役 吉田雅紀さん

取材・文:平村 一紀(中小企業診断士)

【第3回】 プロデューサーとしての役割を果たす

ドリームゲートというプロジェクト名は後からつけたものだった

吉田雅紀さん― パブリックビジネスは3年で卒業されるということですが、あきないえーどの事業を卒業されたあとはどうされたのですか。

あきないえーどの最後の1年は公的機関の委員でもできたらいいなと考えていました。ちょうどその時期に沖縄のイベントでパネラーとして呼ばれ、経済産業省の新規産業室の審議官の方とご一緒させていただきました。

何と、その2、3日後にその審議官の方が、大阪のあきないえーどのオフィスを突然、訪れてこられたのです。
私はあいにく不在だったのですが『連絡が欲しい』ということで、すぐに連絡をして東京でお会いすることになりました。

― お会いされてどのようなお話をされたのですか。

開口一番、『来年度、最低資本金の特例制度を広げたいが、あきないえーどのモデルを使って何かできないか』というご相談でした。これがドリームゲートプロジェクトのスタートです。実はドリームゲートというのは後からついた名称でして、当時はアントレクラブって呼んでいたんです。

その後、6ヵ月のFS(フィージビリティスタディ)を経て、2003年2月にドリームゲートプロジェクトがスタートしました。起業文化を広げることを目的とする国家プロジェクトです。

― ドリームゲートプロジェクトをリードするにあたり、中小企業診断士の資格は役立ちましたか。

ベンチャー支援は中小企業診断士の役割だと思います。また、僕の天職は小さい会社を大きくすることです。1998年に「ベンチャー支援は中小企業診断士の仕事」というテーマで論文を書いて、シンポジウムに応募したこともありました。

― 起業文化を広げるというミッションに対して、吉田さん自身は、どのような想いがあったのでしょうか。

意図して次世代のビルゲイツを育てることは不可能だと思います。しかし、政策的に次のビルゲイツを生み出すような社会をつくることは可能です。

起業文化を形成する三角形の頂点がビルゲイツだとすれば、起業文化を広げること、いわゆる底辺である裾野を耕すことは行政が取り組むべきことだと考えています。実際に起業して成長しはじめれば、裾野から頂点までの間で行う成長を支援する役割は民間企業が担えばよいのです。

俳優と監督のキャスティングが終わったらプロデューサーの役割は終わり

― あきないえーどからドリームゲートと次々に大きなプロジェクトで成功されていますね。それぞれに、共通することはありますか。

士業でも役割は3パターンあると思うのです。アクター・ディレクター・プロデューサーの3つです。映画作りに例えれば、良い映画をつくるためには、まず大前提として良い脚本が必要です。次に俳優をキャスティングする。最後に監督を決めます。

良い脚本をベースにして、それぞれの役割を担うメンバーが全て揃えば、絶対にスポンサーはつきます。大きな興行会社に売りつけることもできる。観客動員数が多ければ、投資家に配分すれば良い。

要は事業そのものが面白ければ、お金を集めることが一番簡単なのです。

プロデューサーの役割は、実現するためのリソースを集めることです。プロデューサーの仕事を遂行するためには、脚本にあたる持論や独自のアイデアを持っていることと、キャスティングができるネットワーク、人的なつながりをもっていることが求められます。1999年に中小企業指導法が中小企業支援法になり、大阪市でやったことがディファクトスタンダードになりました。これも持論をもっていたからだと思うのです。

全てのキャスティングが終わったら、プロデューサーの役割は終わり。あるベンチャー企業の社長さんが社員の名前をカードに書いて、カードの配置を変えながら人事異動を考えていた。『吉田さん、優秀な人材ばかりで誰を昇格させようか迷いますわ』といっていました。こんな悩みをもつことができれば、起業家も幸せですよね。やはりカードはたくさんもっているほうが良いのです。(この項続く)

吉田 雅紀さん:(株)あきない総合研究所 代表取締役

吉田 雅紀(よしだ まさき)/大学卒業後、就職した会社にて社内ベンチャー「ポムアレー」発足。1993年分社化、代表取締役社長に就任。1999年有限会社ベンチャー・サポート・ネットワークを設立、代表取締役社長に就任。2006年株式会社あきない総合研究所に社名変更。大阪産業創造館 「あきない・えーど」所長、経済産業省後援プロジェクト起ち上がれニッポンDREAMGATE総合プロデューサーなど歴任。関西学院大学専門職大学院でも教鞭をとる。中小企業診断士。

会社名 株式会社あきない総合研究所
設立 1999年7月
資本金 5,500万円
社員数 4名
所在地 大阪府箕面市粟生新家3丁目1番16号
TEL 072-728-0002
FAX 072-729-0008
ホームページ http://www.akinaisouken.jp