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中小企業診断士の仕事

プロコン×企業内診断士のコラボレーション—協働による診断士活動機会の創出

文:鎌田 浩一(中小企業診断士)茂木 崇(中小企業診断士)

【第1回】「書籍出版コラボ」の巻

中小企業診断士には、大きく分けて2つの活動形態があります。独立コンサルタントして活動する「プロコン」と称される形態と、勤務先企業に所属しながら活動する「企業内診断士」と称される形態です。比率としては、企業内診断士が圧倒的多数を占めており、せっかく取得した診断士資格を、本来の目的である中小企業支援に役立てられずにいる状況も見受けられる一方、プロコンとの協働を通じて、中小企業支援活動を実践している企業内診断士も数多く存在します。
 ここでは、プロコンとの協働による企業内診断士の数ある活動事例の中から、「書籍出版コラボ」、「セミナーコラボ」、「業務タイアップコラボ」の3つのケースをご紹介します。少しでもご参考になれば、幸いです。

きっかけは「マスターコース」

夢をカナエル! プロコン養成マスターコース

1つ目にご紹介するのは、「書籍出版コラボ」です。書籍出版は、プロコンでもその実現に苦労する憧れの1つであり、企業内診断士であればなおさらです。本稿は、偶然(シンクロニシティ?)の手伝いも借りつつ、プロコンと企業内診断士が共著出版を実現した事例です。

きっかけは、「マスターコース」でした。マスターコースとは、(社)中小企業診断協会東京支部等の中に設けられている「中小企業診断士同士の自発的な資質向上活動」の1つのことであり、東京支部中央支会には現在、14のマスターコースがあり、多くの中小企業診断士が参加して相互研鑽を行っています。

当事例は、そのマスターコースの1つである「夢をカナエル! プロコン養成マスターコース」(以下「夢カナ」)に所属したプロコンと企業内診断士の体験談です。「夢カナ」は、企業内診断士にも独立志向診断士にも即戦力となる実践型マスターコースで、中小企業診断士の3大業務である「診る」(企業診断)、「話す」(講演・セミナー)、「書く」(執筆・出版)のうち、「話す」と「書く」にフォーカスし、1年間をかけてスキルアップを目指すものです。そのカリキュラムの1つに、「自主セミナー」という課題があります。講師陣の指導を受けながら、塾生たちがセミナーを企画し、会場設定から集客活動、開催まで、一連の活動を実践してみるというものです。

プロコンと企業内診断士が混在したそのチームは、自主セミナーのコンセプトを「一度だけで終わらない、次につながるセミナー」にしようと決め、シリーズ化しやすいテーマとして「創業」を選定しました。そして、メンバーの人的リソースとして、「Webクリエイター」に特化した講義が可能だったことから、「夢を現実に! 独立開業セミナー」と称し、Webクリエイター向けの創業セミナーを開催することとなったのです。最初の運命が動き出した瞬間でした。

シンクロニシティの風が吹く

自主セミナー

自主セミナーは、手づくりのブログやメルマガでのPRに加え、マスターコース諸先輩のご協力をいただいて集客を進め、21名の参加者を得て無事、開催することができました。そして、開催から3ヵ月ほどが経ち、次なるセミナーを企画し始めていたある日、とある出版社より出版企画のご提案と執筆に関するご相談をいただいたのです。

出版社の名前は、株式会社ワークスコーポレーション。『DTP WORLD』や『CG WORLD 』を手がける、クリエイター系の出版社でした。同社の担当者は、ブログ経由で先の自主セミナーを知り、参加してくださっていました。担当者曰く、「クリエイター向けの独立応援書籍の制作を検討中です。さまざまな専門家の共著スタイルで企画中なのですが、執筆者としてご協力願えませんか?」とのこと。もちろん、2つ返事でOKでした。自主セミナーのテーマや内容、セミナー後のお礼メール等が、偶然にも執筆の話につながったのです。「一度だけで終わらない、次につながるセミナー」にしたい、という思いが通じたのかもしれません。私たちに、シンクロニシティの風が吹いたのでした。

共著出版実現

クリエイターの渡世術

執筆のご相談をいただいた後、さっそく先方と打ち合わせを開始しました。チームからはプロコンと企業内診断士が1名ずつ執筆を担当し、互いの知識や経験を混ぜ合わせながら、コンテンツを作成していきました。

協働作業による執筆と校正作業を経て、約2ヵ月半後、書籍が発売されました。タイトルは、『クリエイターの渡世術~20代が語るやりたいの叶え方』。自分らしい働き方を実践しているクリエイターを多数紹介するとともに、本当に使える行政等の支援サービス情報を提供するというコンセプトのもと、実践的で役立つ書籍を目指した1冊です。マスターコースのメンバーだけでなく、他の専門家集団である弁護士、税理士、行政書士の皆さんとの共著となりました。

同書を手にとってくださった、クリエイターをはじめとする独立志望の方々が、1人でも多く独立開業を決意され、新規創業者として歩み始めていただければ、中小企業経営をサポートし、あるいは開業率を向上させて、国内経済の活性化を担う中小企業診断士として、これに勝る喜びはありません。

企業内診断士は、「平日の時間がとりにくい」、「遠方での業務は困難」等、時間と場所の制約があり、どうしても診断士活動へのトライアルを敬遠しがちです。しかし、週末や自宅中心の作業であれば、大きな問題などなく、こなすことができ、チャレンジへの抵抗感も少なくなります。その意味でも執筆は、プロコンと企業内診断士が協働するのに適した仕事と言えるのではないでしょうか。

企業内診断士が研鑽し、診断士活動を体験して、あるいはさらなる予期せぬ喜びを得るには、当事例のように中小企業診断協会、あるいはその中に設置されたマスターコースのような「プロコンと企業内診断士が集う場に参加して活動すること」が、1つの契機になるものと思います。

(つづく)

【参考ホームページ】

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